残酷な描写あり
R-15
二千二十四年駅
紅杉林檎です。カクヨムの作品の転載です。
はぁー私、このままでいいのかなぁー」
そんな言葉を、深いため息と同時に吐きながら今日も今日とて冷たい風を真正面から浴び、すっかり冷たくなった瞼を指で擦り、渋谷行きの電車に乗るため、駅のホームに足を落とした。
「昨日投稿した小説、今どんぐらい読まれるかな」
ポケットからスマホを取り出し、昨日、web小説投稿サイトに投稿した自作「夢の最中」のpv数を確認した。
だけど、そこにあったのは一向に動かないpv数、〇の数字だった。
「嘘......最近書いた中で一番手応えがあったのにpv数〇!?」
ショックのあまり、手からスマホが滑り落ちそうになった。
pv数〇......それは、流行りに乗らず自分が書きたい物を書いても評価されると、web小説界隈に触れたら弾けそうなシャボン玉の夢を見る十六歳の未来ある小説家の卵の筆を折るのに充分過ぎる結果データだった。
「私って才能無いのかな......」
そんな事を頭の中でぼやいていた。
そんな時____
「まもなく〜快速急行渋谷行き〜列車が到着します。危ないですから黄色い点字ブロックまでお下がり下さい」
駅のホームに、電車到着のアナウンスが鳴り響いた。毎朝聞いてるからもう慣れたがこう......気分が下がってる時に聞くと少々腹が立つ。
(どうせ車内では暇だし、「夢の最中」の推敲でもするか......)
遠くの方から電車の走る音が聞こえてきた......
それに合わせて、周りの人達も再度、二列になった。
ホームに電車が入ってきた。だが、それは、その電車は私が想像してた電車とは姿形全てが異なっていた。
まず、車体の色はいかにも無機物な銀色では無く、まるで、星空のような、暗いけど明るい、暗さの中に青色のアクセントを加えたような、まさに幻想的という言葉がピッタリな見た目だ。
私は眼前に立つ幻想世界から来たかのような列車に気付かぬうちに目をキラキラと輝かせていた。列車の星空を映したような車体に、負けず劣らずの輝き。
「わぁ......」
ホームに入ってくる外の風が私の背中を、列車の方へと押してくる。
この列車に乗りたい....全部を失ってでも乗りたい......!
「二千二十四年駅〜二千二十四年駅でございます〜。次は〜二千二十六年駅でございます〜」
二千二十四年駅、二千二十六年駅......どちらも聞いた事の無い駅名だ。明らかな異常事態、これに乗ったらただじゃ済まないだろう。でも私は____
「そこの茶髪お客様〜ご乗車ならないんですか〜?」
車掌と思わしき者の声が、今にも飛び出しそうな私の背中を後押しした。
私はこの列車に......乗るんだ!
私の名前は「近来 故生」
今、幻想世界から来たかも知れない列車に、飛び込む。
「この列車に乗って未来を、見に行きましょう」
「この列車は、乗客の未来を見せる幻想列車【ミライ】でございます。どうぞ、ごゆっくり下さい」
そんな言葉を聞きながら、私は列車に乗った。
もしも未来が、本当に見れるなら私は____
「理想像を、創りたい!」
私が列車に乗った瞬間、列車の扉はプシューと音を立てながら閉まってった。
スマホで書くの辛い......