残酷な描写あり
彼女と彼への哀悼
僕らはインディゴの箱の中に居る。
僕が剣を顕現させる。
その剣を彼女の前に突き立てた。
「久しぶりね」
彼女は剣に語り掛ける。
「そうだね、いつぶりだろうか?」
彼はなんでもないように尋ねる。
「300年よ、バカ」
「そうかもうそんなに経つのか」
剣はしみじみと言った。
「久しぶりに会ったのに感動の言葉とかはないわけ?」
彼女は少し強く言った。
「嬉しいけど、彼が見てる前ではちょっと恥ずかしいの察して」
彼女は剣に向かってむくれる。
「300年ぶりなんだから、ちょっとは感情的になってよ」
「嬉しいのは、嬉しいよ」
彼は苦笑いをするように言った。
僕は少し離れたところで彼らのやり取りを見ている。
すこしだけ、疎外感を感じるがそれも彼らの間に流れる時間を表しているものなんだと思った。
僕はなんとなく彼女との別れを感じていた。
きっと今日彼女ともお別れになるんだろう。
そういう予感だけが胸を渦巻く。
僕が彼女らを眺めながらぼんやりしていると、しゃがんで話をしていた彼女は立ち上がりこっちに向かって歩いてくる。
「待ってくれてありがとう」
「もういいの?」
彼女に尋ねると。
「もういいのよ、ありがとう」
僕は剣を引き抜きに近づく。
「彼女と話したいことは話したのか?」
「ああ、もういいんだ。今はなかったはずの時間だからありがとう」
剣にお礼を言われるのか、少し滑稽で笑えた。
僕は剣を手に取って、剣を消した。
僕は彼女のそばまで歩く。
彼女の隣に行くと。
「私に付き合ってくれない」
そう言って、彼女は僕の前を歩いて行く。
彼女はインディゴを出ていく。
そのまま道を登っていく、少し上ると丘に出た。
そこは開かれた、場所で墓標がただ一つ置かれていた。
「ここには彼が眠ってるのよ、見晴らしのいい場所よね」
眼下には一面、海が見える。
「爺はああ言っていたけど、ちゃんと弔ってはくれてたみたいね」
僕は老紳士がどこか罪悪感めいたものを感じていてせめてもの手向けにと墓をココに建てたんだろうと思った。
彼女は地面を撫でて、少し驚いた顔をした。
「まさかあの時戦った場所か……。そうか、私はいずれここに来なければならなかったんだ」
地面に向かって呟いていた。
それから彼女は自分の血を地面に落とす。
血が地面に染み込むと、あたりが淡く光った。
その光が魔方陣を形成する。
「さぁ、ここで今私の心臓を貫いて!!」
彼女は何かに意を決したように、僕をまっすぐに見る。
僕は自分の手に剣を顕現させる。
その剣を彼女に放り投げて渡す。
彼女は放り投げられた剣を見ながら、少しポカンとした。
「僕が見届ける、だから最後くらい自分で選びなよ」
僕は少し突き放すように彼女に言う。
彼女は渡された剣をマジマジと見ると刃に指を当て、血を流す。
指先に伝った血を、刀身へこすりつけていく。
どんどんと剣の色が変わっていく。
初め青から緑、黄色、そしてピンクになりどんどん赤い、深紅へと色が濃縮されていく。
彼女はその剣を振りかぶり自身の心臓へ突き立てた。
切り口からは血が溢れ地面を染めていく。
淡く光る地面の光がドンドン強くなっていき、光に僕らは包まれる。
「バイバイ……」
彼女のその言葉だけが聞こえた。
しばらくして光が消えると、そこにあったはずの墓標はなく。
眼下はただの森の延長戦だった。
僕の立っているところもただの丘で、そこからインディゴへと向かって降りることにした。
下へと続く道をしばらく行くと、ようやく建物が見えてきた。
その建物は紛れもなくインディゴなんだが、近づかなくても分かった。
ただの廃病院だった。
そこから駅へと向かい、いつものように電車を乗ろうとしたら、その駅もすでに廃駅になっていた。
駅沿いをひたすら歩き、おおよそ2,3時間歩いてようやく家に帰れる電車の走るところにたどり着いた。
それからは記憶がおぼろげでどうやって部屋のベッドに辿り着いたのか全く覚えてはいなかった。
僕が剣を顕現させる。
その剣を彼女の前に突き立てた。
「久しぶりね」
彼女は剣に語り掛ける。
「そうだね、いつぶりだろうか?」
彼はなんでもないように尋ねる。
「300年よ、バカ」
「そうかもうそんなに経つのか」
剣はしみじみと言った。
「久しぶりに会ったのに感動の言葉とかはないわけ?」
彼女は少し強く言った。
「嬉しいけど、彼が見てる前ではちょっと恥ずかしいの察して」
彼女は剣に向かってむくれる。
「300年ぶりなんだから、ちょっとは感情的になってよ」
「嬉しいのは、嬉しいよ」
彼は苦笑いをするように言った。
僕は少し離れたところで彼らのやり取りを見ている。
すこしだけ、疎外感を感じるがそれも彼らの間に流れる時間を表しているものなんだと思った。
僕はなんとなく彼女との別れを感じていた。
きっと今日彼女ともお別れになるんだろう。
そういう予感だけが胸を渦巻く。
僕が彼女らを眺めながらぼんやりしていると、しゃがんで話をしていた彼女は立ち上がりこっちに向かって歩いてくる。
「待ってくれてありがとう」
「もういいの?」
彼女に尋ねると。
「もういいのよ、ありがとう」
僕は剣を引き抜きに近づく。
「彼女と話したいことは話したのか?」
「ああ、もういいんだ。今はなかったはずの時間だからありがとう」
剣にお礼を言われるのか、少し滑稽で笑えた。
僕は剣を手に取って、剣を消した。
僕は彼女のそばまで歩く。
彼女の隣に行くと。
「私に付き合ってくれない」
そう言って、彼女は僕の前を歩いて行く。
彼女はインディゴを出ていく。
そのまま道を登っていく、少し上ると丘に出た。
そこは開かれた、場所で墓標がただ一つ置かれていた。
「ここには彼が眠ってるのよ、見晴らしのいい場所よね」
眼下には一面、海が見える。
「爺はああ言っていたけど、ちゃんと弔ってはくれてたみたいね」
僕は老紳士がどこか罪悪感めいたものを感じていてせめてもの手向けにと墓をココに建てたんだろうと思った。
彼女は地面を撫でて、少し驚いた顔をした。
「まさかあの時戦った場所か……。そうか、私はいずれここに来なければならなかったんだ」
地面に向かって呟いていた。
それから彼女は自分の血を地面に落とす。
血が地面に染み込むと、あたりが淡く光った。
その光が魔方陣を形成する。
「さぁ、ここで今私の心臓を貫いて!!」
彼女は何かに意を決したように、僕をまっすぐに見る。
僕は自分の手に剣を顕現させる。
その剣を彼女に放り投げて渡す。
彼女は放り投げられた剣を見ながら、少しポカンとした。
「僕が見届ける、だから最後くらい自分で選びなよ」
僕は少し突き放すように彼女に言う。
彼女は渡された剣をマジマジと見ると刃に指を当て、血を流す。
指先に伝った血を、刀身へこすりつけていく。
どんどんと剣の色が変わっていく。
初め青から緑、黄色、そしてピンクになりどんどん赤い、深紅へと色が濃縮されていく。
彼女はその剣を振りかぶり自身の心臓へ突き立てた。
切り口からは血が溢れ地面を染めていく。
淡く光る地面の光がドンドン強くなっていき、光に僕らは包まれる。
「バイバイ……」
彼女のその言葉だけが聞こえた。
しばらくして光が消えると、そこにあったはずの墓標はなく。
眼下はただの森の延長戦だった。
僕の立っているところもただの丘で、そこからインディゴへと向かって降りることにした。
下へと続く道をしばらく行くと、ようやく建物が見えてきた。
その建物は紛れもなくインディゴなんだが、近づかなくても分かった。
ただの廃病院だった。
そこから駅へと向かい、いつものように電車を乗ろうとしたら、その駅もすでに廃駅になっていた。
駅沿いをひたすら歩き、おおよそ2,3時間歩いてようやく家に帰れる電車の走るところにたどり着いた。
それからは記憶がおぼろげでどうやって部屋のベッドに辿り着いたのか全く覚えてはいなかった。