残酷な描写あり
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第10話「イディアニウムの歴史」
■■イディアニウム史■■
・およそ1800~2000年前
プロトス族が海を渡り、現在のイディアニウムへ上陸。(当時は北部大陸との間にいくつかの島があったと云われている)
島の名前をパトーサ(『神の足』)と呼称。
鉄の武器と魔法の源流である呪術(星詠み)によって、大陸全土に版図を広げた。(『鉄と祝詞』)
現在、【魔物】という分類に区分けされている生態系を破壊し、文明を築く。
・プロトス暦元年
プロトス族による王朝が成立。
権力争いに敗れた豪族の一部(現在のイデイン族)がパトーサ島からフテルシア(『神の踵』)島へ逃れる。
イデイン族の長が「天啓」を受け、呪術を体系化し、【古代魔法】と呼ばれている技術に昇華。
高い魔力を有したことにより、イデイン族の毛髪が群青色に変化する。
(神から力を授けられたと伝えられているが、実際は土着の少数民族の技術と呪術を融合させたと解釈されている)
・プロトス暦102年
イデイン族によるパトーサ島侵攻が開始。(【青き血の侵略】)
・プロトス暦158年
イデイン族がプロトス王朝の首都ディクテシア(現在の王都)を占領し、王位を簒奪。
賢王イディアが即位。(プロトス暦で初の女性君主)
プロトス王朝の法律・文化を引き継ぎ、プロトス族に対しても寛容な統治を行う。
・プロトス暦190年
イディアの孫・悪王イドラが即位。
現在の王国騎士団の前身である【銀の兵団】を編成し、軍事拡充を行った。
新税制の導入を行ったことにより、のちに国民の反感を買う。
・イディア暦元年(プロトス暦234年)
悪王イドラを妹・イディア(のちの女神イディア)が打倒。【神の一族】イデイン王族を排斥し、玉座をプロトス王族の生き残り・新王アインへと返還した。
女神イディアはこのとき悪王イドラへの対抗手段として、現在に伝わる魔法をプロトス族に広めたが、この際、木版画技術の開発と複数枚の絵画の頒布を通じて技術の伝授を行ったことから、この出来事は通称【『神とインク』の政変】と呼ばれている。
彼女へ敬意を表し、以降、島の名は「イディアニウム」へ改められたが、イディア自身は王都を離れ、フテルシア島へと拠点を移した。
※死と同時に悪王イドラは後世に呪いを残したと伝えられ、以降200年ごとにイデイン族の特徴(群青の髪と高い魔力)を有した【魔王】、およびその眷属(魔族)が出現するようになる。
・イディア暦201年
フテルシア島に初代【魔王】が現れ、魔族・魔物によるイディアニウムへの侵攻が始まる。
・イディア暦204年
異世界から召喚された【勇者】により、初代【魔王】が打倒される。
不死身の【魔王】を封印するため、【勇者】はその遺体を6つに分け、プロトス王家と当時の有力諸侯(現在の【五大貴族】)に管理させた。
遺骸が一か所に集まることを避けるため、各諸侯は王都から離れることとなったが、この時、彼らが各々選んだ土地は、のちに封建制度が導入された際の領土分割の基準となった。
【魔王】の打倒に伴い、フテルシア島を国土として取り込んだ。
・イディア暦401年
【魔王】の遺体を管理していた土地や建築物が突如として異界(【ダンジョン】)化し、プロトス王国に二人目の【魔王】が出現。
当時の王、夭逝王フライハイトを殺害し、王都を占領した。
・イディア暦415年
再び現れた【勇者】が【五大貴族】の嫡子たちと一党を組み、【魔王】を打倒した。
・イディア暦416~600年
【愚者の白暦】と呼ばれるイディアニウム史上の空白期間。
この時期について言及されている書物は、秘匿王アイン(イディア暦597年即位)によって全て焼却された。
封建制への移行と王都城壁(【王の壁】)の建造はこの時代に実施されたと云われている。
・イディア暦601年
イディアニウム最北部ゼーレン領の【ダンジョン】内に三人目の【魔王】が出現。
間もなく、同時期に初めて複数名の【勇者】が確認され、その数は計5名に上った。
・イディア暦630年
プロトス族自身の手によって初めて【魔王】が打倒された。
毅卒王アダ(イディア暦624年即位)が軍勢を率い、自ら【魔王】を打ち取ったとされる。
・イディア暦801年
四人目の【魔王】が出現。
同時に【勇者】の召喚も確認される。
※※最初は1名のみであったが、以降、断続的な召喚が確認され、イディア暦822年の段階で合計10名の【勇者】が存在している。
・イディア暦809年
撫民王ユーバが即位。
王都への通行税を廃止し、農民階級の騎士団徴用を行うなど、国民に寄り添った政治を行う。
かつて悪王イドラが採用した累進課税制度の軽減政策により、貴族層からも一定の支持を集めている。
▲▲~了~▲▲