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作者: 神無城 衛
*ルイーサと子供たちの場合*
休憩を終えたルイーサと子供たちは艦内ツアーに出かけることにした。これはユカが提案した企画で、いろいろな知識に触れておけばそれだけ今後の見識が広がるだろうという計らいだった。
 昼食の仕込みを終えたユカの案内のもと、子供たちはナイアガラ号の船尾を目指して廊下を歩きだした。

 最初に見学したのは機関部で、ちょうどユカの父でもあるヤマモト機関長が機関部の隅に腰かけて水筒に入れた冷たい麦茶を飲みながら休憩しているところだった。
「こんにちはぁ!」
「おう、こんにちは。元気がいいなぁ」
大きな声で挨拶した子供たちにヤマモト機関長も笑顔で応じる。
「ちょうど手すきだし説明してやろう。見学は構わねぇが、危ないから機械には触るなよ」
「はぁい」
そうしてヤマモト機関長の解説が始まった。
子供たちは各機関を見て回る。機関部の大部分を占め、通常航行から亜光速、アルクビエレドライブまでをこなせる四基のメインエンジン、元々荷運びのために発達した反重力装置の応用によってできた技術であり、全体で50センチ程度の大きさに収まる艦内重力発生装置、ごうごうとエンジンに負けない轟音を放つ空気と水のリサイクル装置について説明を受けながら見て回った。
次に行ったのは母であるルナがいる主計局で、ルナは船の収支明細を見ながら次の寄港地での補給についての予算をまとめていた。ルナは子供たちが来たのを見て笑顔で挨拶した。ユカが船内を見て回っていることを伝えると仕事の手を止めて簡単に説明をしてくれた。
主計局を出ると船の下の方にある格納庫に来た。
格納庫内には何機かの空間戦闘機があり、ナイアガラ号のクルーとヤマトから派遣されているクルーが協力し合って機体を整備しており、今はコリント大尉と乗機であるアンサラー空間爆撃機のチューンについて話していた。
整備士の一人がユカたちのところへきていくつかの説明をしてくれた。
ナイアガラ号の備える多用途空間戦闘機である瑞雲Ⅱはヤマトの誇る工業企業である白陵はくりょう重工が開発したロングセラーな傑作機で、偵察、索敵、対艦攻撃、空間戦闘を一機でこなすことができる。企業のロゴは白と緑の菱型を三個ずつ配置したマークで、地球圏の寒冷地で白い花をつける“エンレイソウ”という植物がモチーフになっているという。
一方で対艦攻撃を主任務とするアンサラーと空間戦闘を担うスペースインセクトはヤマトがユニオン自治領から技術供与され、同じく白陵重工がライセンス生産する機体で、瑞雲Ⅱとは義姉妹的な主力艦載機となっている。
格納庫を出た一行は次に艦橋の方へ向かうことにした。途中で医務室を通り、レーダー室を通りすぎた。どちらも見学はNGということで触り程度の説明にとどめた。
艦橋に出るとセシリアが艦長席に座っている。前面を見渡せる窓からは青い光が見える。
時々クルーが状況を報告し、それに対してセシリアが指示を出す。通常航行とは違って特に気を配らなければならない要素がないため、別段忙しそうではなかった。
「船長、説明をお願いしてもいい?」
 ユカの問いかけにセシリアは少し思案して、操艦を一時的にクルーに預けると、簡単にブリッジのことを説明した。

「お疲れ様」
 食堂に戻ってきた子供たちのツアー一行はユカが出したアイスココアで一息ついた。
 子供たちもそれなりに楽しめたようで、大まかな説明のツアーは盛況のうちに終わった。
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