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作者: 神無城 衛
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 一方ハチカンでは、セシリアの属する艦隊が開いた血路を通じてルイーサの率いる医療、補給のための艦隊が到着した。先にハチカンに向かった艦隊はハチカンの地上部隊に医療物資とドクターを派遣し、それらと交換する形で強力なプラズマ兵器を受領し、ギルド、ヤマト連合艦隊に補給した。
補給を受けたヤマト艦隊はハチカンを進攻した旧アダルヘイム部隊に諜報部隊を派遣し、アダルヘイム艦隊喪失の情報を大々的に触れ回った。
元々補給に難があったハチカン進攻部隊の間にもたらされた情報は真偽の定まらないうちに枯れ野に火を放つがごとく広まり、アダルヘイム軍はヤマト軍に大隊規模で投降する動きまで出た。
前CEOについて行った諜報部は優秀で、先遣隊が遅れて到着する頃にはほとんどの戦闘はヤマト軍の勝利で終わっていた。
 捕虜になったアダルヘイム軍の聴取をとると、先遣隊が上陸して以降の補給が途絶え、弾薬どころか食糧さえままならず、満足に食べられないことで士気も上がらず、ついには部隊間で略奪や、指揮官が不審死した部隊まで出るありさまだった。一方で食料の代わりに薬物が蔓延して狂戦士化した部隊もあり、結局それらの薬物の分配をめぐるトラブルが味方同士で殺し合いに発展したところもあったようだ。ハチカンはまさに地獄の様相を呈していたと、後にルイーサの率いる救助隊の一人が証言した。到着したルイーサの部隊はそのような隊員の治療にも追われることになるだろう。一連の情報を得て素人目にもわかるのは、少なくともアダルヘイムのアシハラ星系攻略は絶望的で、アダルヘイム置かれている状況は日に日に悪化しつつあるということだ。
 今後の出方についてはギルドの情報部と旧アダルヘイムから離反し元CEOの傘下で活動する諜報部が探っているが、切羽詰まった敵を追い詰めすぎると何をしでかすか分からないため、今後の軍事的、政治的圧力は慎重にかけなければならない。
 少なくとも政治的なことについては私の関与するところではないし、ギルドの仕事が終わったらシリウスを経由して地球に戻るつもりだ。
 今後の動きについては元CEO、アシハラ星系軍総司令官、ギルドマスターの三者で話し合われることになり、その後の決定次第ではギルドの予備役として再び戦線に立つこととなる。
 そんな事情も相まってルイーサと護衛艦隊はそのままハチカンを離れるもアシハラ星系待機が下令され、セシリアを含む先遣隊もヤマト星国に向かった。
 通常航行でハチカンの引力圏を抜ける途中、交代でルイーサの艦隊の護衛と物資の補給に来たアシハラ艦隊と行き会い、艦橋からお互いに敬礼してすれ違った。
アシハラ艦隊を見送り、ハチカンの引力圏を抜けるとギルドの司令官から亜光速でヤマト国へ向かうように指示があった。先頭にいるヤマトの艦が一瞬にして亜光速でジャンプすると、続いて順番に、隊列を崩さないように各艦がジャンプする。ナイアガラ号は最後尾にいたため、すべての艦がジャンプしたのを見届けてから亜光速航行に入った。
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