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作者: 神無城 衛
*3*
グリニッジ標準時5月29日7時

 それぞれが自分の船に戻り、老虎、セシリア、ルイーサの順に恒星のある宙域にジャンプし、先行していたギルド艦隊と合流した。
 アンダーソン元帥の旗下、先遣隊の集めた情報によると、反乱軍の立て籠もるヨトゥンヘイム要塞は恒星の太陽フレアの届くぎりぎりに陣取り、我の艦隊との中間には2列の艦隊が控えている。両陣営とも偵察機を飛ばして情報を収集しつつにらみ合っており、今のところお互いに動くことはなく、じっと相手の出方をうかがっている状態ということだった。
 我の艦隊に近い艦隊は学徒動員の艦隊で、統制はとれているが操艦はおぼつかない様子で、エックハルトは前面に展開する艦隊の指揮をとっているという。
 後方の艦隊は熟練した反乱軍の抱える正規軍とかき集めた傭兵団の混成艦隊で、統制、操艦ともに付け入る隙が無いと報告が上がっている。恐らく前面にいる学徒動員を後方にいる正規軍が援護するというのではなく、後方の艦隊は督戦隊とくせんたいの意味があるのだろう。

 一通りの情報を確認するとセシリアはルイーサと老虎の個人用端末に連絡を取った。本来なら敵機の偵察のあるこの状況で連絡することは情報漏洩ろうえいに繋がりかねない危険な行動だが、それぞれに対して今回の作戦で使われる暗号をさらに数字に置き換えてメールした。

 すぐに返信が来た。ルイーサも同じように暗号化したメールを送ってきて、提案に応じてナイアガラ号に移乗した。

格納庫に着艦したルイーサにセシリアが駆け寄った。
「ルイーサ、これはとても危険な賭けになるわ、私と老虎は軍規違反になる。正規軍ではないから罰則はある程度軽いけれど、軍法会議は覚悟しなければならないし、私の提案とはいえ本当はこんなことはしたくないのは知っておいてね」
「ごめんなさい、けれどそれに見合う結果を必ず出すわ。その後のことは私もできる限り手を尽くしてセシリアに迷惑のかからないようにする」
 人払いをした格納庫で二人きり、覚悟を誓い合った。
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