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作者: 里年翠(りねん・すい)
新たな絆
夕暮れ時の柔らかな光が、イチ、ニゴロ、ナナ、そして彼女たちの新しい仲間である雑種犬を包み込んでいた。
一日の探索を終え、彼らは基地に戻り休息を取っていた。

「ねえねえ、」ニゴロが犬の背中を撫でながら嬉しそうに言う。
「この子、すっかり元気になったね!」

イチが優しく微笑む。
「そうね。良かったわ。でも、まだ完全に回復したわけじゃないから、気をつけてあげないと。」

ナナが分析的な口調で言う。
「この個体の回復速度は予想以上です。生命力の強さが顕著に表れています。」

すっかり元気になった中型の雑種犬が尻尾を振りながら、三人の間を行ったり来たりする。
その姿に、アンドロイドたちの表情が柔らかくなる。

「ねえ、」ニゴロが突然真剣な顔で言う。
「この子に名前をつけようよ!」

イチが少し驚いた様子で答える。
「名前?そうね...でも、私たちにそんな権利があるのかしら。」

「興味深い提案ですね」ナナが言う。
「名前を持つことで、この個体との感情的な繋がりがより強化される可能性があります。」

三人は沈黙し、考え込む。
夕日が地平線に沈みゆく中、柔らかな風が彼女たちの髪を揺らす。

「あ!」ニゴロが突然声を上げる。
「ホープってどう?希望って意味だよ。」

イチが優しく頷く。
「素敵な名前ね。この子が私たちに希望をくれたように。」

「その案にアグリーします」ナナが同意する。
「また、発音もシンプルで呼びやすいです。」

ホープと名付けられた犬が、まるで自分の名前を理解したかのように、三人の足元で嬉しそうに鳴く。

「ねえ、」イチが少し思い詰めた様子で言う。
「私たち、少しずつ変わっているのかもしれないわ。」

ニゴロが首を傾げる。「どういうこと?」

「私たちの感情反応は進化しているという事です。」ナナが説明を加える。
「以前では考えられなかった行動パターンを示しています。」

イチが静かに続ける。
「そう、でもね...それは悪いことじゃないと思うの。私たちは成長しているのよ。」

「うん!」ニゴロが元気よく答える。
「もっといろんなことを感じられるようになりたいな。」

ナナも感情的な口調で言う。
「悪くない。この変化は、我々のミッションにもポジティブな影響を与えます。」

夜の帳が降りる中、四人(三人のアンドロイドとホープ)の姿が、星明かりに照らし出される。

「さあ、」イチが立ち上がる。
「明日も新しい冒険が待っているわ。今度は四人で。」

「わくわくする!」ニゴロが嬉しそうに跳ね回る。

「オールシステム レディ。明日の探検に備えましょう」ナナが頷く。

ホープが小さく鳴き、まるで同意するかのように尻尾を振る。
彼らの前には、驚きと発見に満ちた世界が広がっていた。
そして、その一歩一歩が、彼ら自身を、そしてこの世界を少しずつ変えていくのだった。
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