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第0話「1年前の私へ」
西暦2035年7月21日。
中学2年生。
天上院咲は日記を手に取り、記録する。
この時代だと、既に鉛筆よりかはパソコンでデジタル的にタイピングをしている形だ。彼女は記憶する。記録する。これまでの事を、これからの事を。
〈初めまして過去の私。1年前の私。私の名前は天上院咲。て、過去の自分に宛てて書いてるんだから名前ぐらい判るか〉
彼女はただ記録している。決して過去には戻れない事は重々承知だ。
だが、〈もしも、過去にこの日記が届いたら〉という夢物語で、何となくで書いているに過ぎない。オカルトだが、でもそれぐらい彼女は夢乙女なのだ。
〈この本を読んでると言うことは、きっと新しいVRゲームに心を踊らしている頃だと思う。でも、その前に落ち着いて。聞いて欲しい〉
自分に言い聞かせるように。過去の咲に助言出来るように書く。
〈まず、最初に。家族を信じてあげてください。特にお姉ちゃん。天上院姫(てんじょういんひめ)お姉ちゃんのことを。何を言ってるんだ? と思うかもしれませんが。私もお姉ちゃんも湘南桃花さんという人にそりゃあもうもの凄く振り回されます。私に責任は無いとしても。お姉ちゃんは結局、過去の事に振り回される。正直観ていて辛かった……。〉
それは自分に対して反復横跳びで飛んできそうなブーメランであっても。遙か先の未来の事であっても。どうしても言っておきたいことがあった。
〈私達、天上院家を。……家族を信じてあげてください。いつもそばに居て励ましてあげてください。それだけが私からの心からの願いです〉
誰に宛てるでもなく、自分へ宛てる手紙というのは。何とも中二病をくすぐられる内容であった。
〈この内容を読んだ私へ。どうか楽しんでください。荒唐無稽でも。無骨でも心折れる事はあっても挫けないで。泣かないで。眼を背けないで。諦めないで。最後に勝つのは継続は力なり。の人だと私は思うから〉
世の中が、世間や環境が変わっても。当時のアクシデントを言い出すと霧が無いので。心構えだけで留めておく。これから、本当の夢と魔法の世界へ引き込まれる。なんて当時の私は知らないのだから。
〈何? ネタバレして欲しいって? そうね、別に言っても問題なから言うけど。これから先、あなたは、浄土の炎に焼かれ。空飛ぶ城で姉妹喧嘩をしたり。豪華客船でゾンビと戦ったり。新しい仲間と出会ったり。過去へ行ったり。ヒーロー達と触れ合ったり。全ての空は繋がってたり。違う私と出会ったり。システムが故障したり。セミプロになったり。神様と出会ったり。……兎に角沢山の人達と出会う。今の私の称号は最長文学少女サキ。なんて通り名で呼ばれている。そう、皆が総称する称号。ゲームの中じゃ無くて。現実世界での称号よ。それは私がこうやって記録してることからも判るとおり。他のプレイヤーと比べて、ずば抜けて記録記事が多いの。そりゃあ勿論、完璧な記事は無いように。私の記録は欠点だらけの穴だらけ。でも、それでも残ってるの。こうやって……〉
楽しく書こうと思っていたのに、何故か奥歯を噛みしめながら2035年の咲は悔しい力を奥歯で噛みしめる。あの時こうしておけば……という後悔の念は絶えない。
〈だから信じてあげて。自分を。他人を。家族を。お姉ちゃんを……〉
だからだから。彼女は強く書き記す。
〈いつも通り。最終決戦のつもりで。今を全力で生きて。ゲームを楽しんで。そしたら何も後悔は無いから! ね! メ!〉
こうして、彼女は日記を書くのを止めた。また書くときもあるかもしれないが、それはそででまた別の物語である。
「よし! じゃあ今回もログインしますか!」
こうして、彼女は眼を閉じる。瞼を微か閉じる。
始まる大冒険。後にも先にも二度と無い。今はまだ。最大最長の物語が幕を開ける。千幕冒魂の意思は、ココにも確かに刻まれていた。
◆
西暦2035年7月21日。
《ようこそサキ様、EWO2の世界へようこそ!》
盗賊なモブ男はプレイヤーキルをする、違法プレイヤーだった。そこへゲームマスターの代わりに。サキが目の前に現れる。
「ろ! 最長文学少女サキ!? て! げえ!? レベル101!?」
男は勝てないと悟った。しかしこの強者に、この先いつ会えるか判らない。中級者プレイヤーであっても。サキはもう、それだけの存在へ成長していた。
「さあ! 盗んだアイテムを返しなさい! 変なことをしなければ。自首をオススメするわ!」
「俺はレベル50だし、逃げ切れねえか……しかしタダで自首するのはごめんだぜ! ……手合わせ、させてくれねえか?」
「ただのバカじゃなさそうね。PVP戦か、いいわよ」
そして始まる超人同士のバトル。先手は盗人からだった。
「シュ!」
片手剣が剣線を描く……。だが、サキは指一本でそれを受け止める。
盗人はステータス画面を観て「な! 何じゃそりゃ!?」と驚愕する。
「〈エボリューション・極黒〉全てのステータスがMAXになる!」
名前:エボリューション・極黒(きょくこく)。
攻撃力:MAX/防御力:MAX/素早さ:MAX/賢さ:MAX/幸運:MAX。
(どれだけの代償を払えば、そんな力を得られるんだ……!?)
「す! スキル〈隠蔽〉! これで姿を隠して」
「ログが残ってるんじゃ丸見えだよ」
盗人には判らなかった。気配どころ。違法で手に入るログ解析器さえも機能しなかったからだ。データの上に何も存在しない。
「〈エボリューション・極白〉その存在はゲーム的なログすら残さない!」
「す! スキルが強いからって! お前の実力を見せろー! 卑怯だぞこんなの! 戦えー! 〈斬空剣(ざんくうけん)〉!」
「実力ねえ~……じゃあ〈パリィ〉!」
「ぎ! 技量で空飛ぶ斬撃を弾きやがった……! あ……!」
「とどめ! 〈森羅万象のワルツ〉!」
土水火風氷雷光闇の8連撃攻撃で、普通に倒した。
ガクリ! と膝をつく盗人は「わかった。自首する……。あ、あんた。何者なんだ」と問われたので。ありのままを言う。
サキはログアウトする。
「ただのゲームマスターの妹。そしてセミプロよ」
そう言ってサキは、ステータス画面を開き。盗人の行く末を見届けずに去って行った。
《ログアウト、サキ様お疲れ様でした。》
季節は春。この物語は2034年の4月1日ぐらいから始まる。
中学2年生。
天上院咲は日記を手に取り、記録する。
この時代だと、既に鉛筆よりかはパソコンでデジタル的にタイピングをしている形だ。彼女は記憶する。記録する。これまでの事を、これからの事を。
〈初めまして過去の私。1年前の私。私の名前は天上院咲。て、過去の自分に宛てて書いてるんだから名前ぐらい判るか〉
彼女はただ記録している。決して過去には戻れない事は重々承知だ。
だが、〈もしも、過去にこの日記が届いたら〉という夢物語で、何となくで書いているに過ぎない。オカルトだが、でもそれぐらい彼女は夢乙女なのだ。
〈この本を読んでると言うことは、きっと新しいVRゲームに心を踊らしている頃だと思う。でも、その前に落ち着いて。聞いて欲しい〉
自分に言い聞かせるように。過去の咲に助言出来るように書く。
〈まず、最初に。家族を信じてあげてください。特にお姉ちゃん。天上院姫(てんじょういんひめ)お姉ちゃんのことを。何を言ってるんだ? と思うかもしれませんが。私もお姉ちゃんも湘南桃花さんという人にそりゃあもうもの凄く振り回されます。私に責任は無いとしても。お姉ちゃんは結局、過去の事に振り回される。正直観ていて辛かった……。〉
それは自分に対して反復横跳びで飛んできそうなブーメランであっても。遙か先の未来の事であっても。どうしても言っておきたいことがあった。
〈私達、天上院家を。……家族を信じてあげてください。いつもそばに居て励ましてあげてください。それだけが私からの心からの願いです〉
誰に宛てるでもなく、自分へ宛てる手紙というのは。何とも中二病をくすぐられる内容であった。
〈この内容を読んだ私へ。どうか楽しんでください。荒唐無稽でも。無骨でも心折れる事はあっても挫けないで。泣かないで。眼を背けないで。諦めないで。最後に勝つのは継続は力なり。の人だと私は思うから〉
世の中が、世間や環境が変わっても。当時のアクシデントを言い出すと霧が無いので。心構えだけで留めておく。これから、本当の夢と魔法の世界へ引き込まれる。なんて当時の私は知らないのだから。
〈何? ネタバレして欲しいって? そうね、別に言っても問題なから言うけど。これから先、あなたは、浄土の炎に焼かれ。空飛ぶ城で姉妹喧嘩をしたり。豪華客船でゾンビと戦ったり。新しい仲間と出会ったり。過去へ行ったり。ヒーロー達と触れ合ったり。全ての空は繋がってたり。違う私と出会ったり。システムが故障したり。セミプロになったり。神様と出会ったり。……兎に角沢山の人達と出会う。今の私の称号は最長文学少女サキ。なんて通り名で呼ばれている。そう、皆が総称する称号。ゲームの中じゃ無くて。現実世界での称号よ。それは私がこうやって記録してることからも判るとおり。他のプレイヤーと比べて、ずば抜けて記録記事が多いの。そりゃあ勿論、完璧な記事は無いように。私の記録は欠点だらけの穴だらけ。でも、それでも残ってるの。こうやって……〉
楽しく書こうと思っていたのに、何故か奥歯を噛みしめながら2035年の咲は悔しい力を奥歯で噛みしめる。あの時こうしておけば……という後悔の念は絶えない。
〈だから信じてあげて。自分を。他人を。家族を。お姉ちゃんを……〉
だからだから。彼女は強く書き記す。
〈いつも通り。最終決戦のつもりで。今を全力で生きて。ゲームを楽しんで。そしたら何も後悔は無いから! ね! メ!〉
こうして、彼女は日記を書くのを止めた。また書くときもあるかもしれないが、それはそででまた別の物語である。
「よし! じゃあ今回もログインしますか!」
こうして、彼女は眼を閉じる。瞼を微か閉じる。
始まる大冒険。後にも先にも二度と無い。今はまだ。最大最長の物語が幕を開ける。千幕冒魂の意思は、ココにも確かに刻まれていた。
◆
西暦2035年7月21日。
《ようこそサキ様、EWO2の世界へようこそ!》
盗賊なモブ男はプレイヤーキルをする、違法プレイヤーだった。そこへゲームマスターの代わりに。サキが目の前に現れる。
「ろ! 最長文学少女サキ!? て! げえ!? レベル101!?」
男は勝てないと悟った。しかしこの強者に、この先いつ会えるか判らない。中級者プレイヤーであっても。サキはもう、それだけの存在へ成長していた。
「さあ! 盗んだアイテムを返しなさい! 変なことをしなければ。自首をオススメするわ!」
「俺はレベル50だし、逃げ切れねえか……しかしタダで自首するのはごめんだぜ! ……手合わせ、させてくれねえか?」
「ただのバカじゃなさそうね。PVP戦か、いいわよ」
そして始まる超人同士のバトル。先手は盗人からだった。
「シュ!」
片手剣が剣線を描く……。だが、サキは指一本でそれを受け止める。
盗人はステータス画面を観て「な! 何じゃそりゃ!?」と驚愕する。
「〈エボリューション・極黒〉全てのステータスがMAXになる!」
名前:エボリューション・極黒(きょくこく)。
攻撃力:MAX/防御力:MAX/素早さ:MAX/賢さ:MAX/幸運:MAX。
(どれだけの代償を払えば、そんな力を得られるんだ……!?)
「す! スキル〈隠蔽〉! これで姿を隠して」
「ログが残ってるんじゃ丸見えだよ」
盗人には判らなかった。気配どころ。違法で手に入るログ解析器さえも機能しなかったからだ。データの上に何も存在しない。
「〈エボリューション・極白〉その存在はゲーム的なログすら残さない!」
「す! スキルが強いからって! お前の実力を見せろー! 卑怯だぞこんなの! 戦えー! 〈斬空剣(ざんくうけん)〉!」
「実力ねえ~……じゃあ〈パリィ〉!」
「ぎ! 技量で空飛ぶ斬撃を弾きやがった……! あ……!」
「とどめ! 〈森羅万象のワルツ〉!」
土水火風氷雷光闇の8連撃攻撃で、普通に倒した。
ガクリ! と膝をつく盗人は「わかった。自首する……。あ、あんた。何者なんだ」と問われたので。ありのままを言う。
サキはログアウトする。
「ただのゲームマスターの妹。そしてセミプロよ」
そう言ってサキは、ステータス画面を開き。盗人の行く末を見届けずに去って行った。
《ログアウト、サキ様お疲れ様でした。》
季節は春。この物語は2034年の4月1日ぐらいから始まる。
豆知識『天上院咲の日記』
分類◇手紙_もしも_記録
解説◇もしも、1年前に咲が自分宛へ手紙を送れるとしたら……。そんな妄想をPCに向かってタイピングする。作った日記は誰に見せるでも無く。ただ自分の自己満足のために書いた。1年後の中学2年生の咲にとって。この日記は、自分が物語が好き。その予行練習として日記を書く習慣を作ろうかな? と考えた行動。なお、ゲームの世界を冒険する度量はあるが。書くのと読むのとでは違うように。書く方の日記は3日坊主で終わってしまった。が、確かに日記には記録された。
分類◇手紙_もしも_記録
解説◇もしも、1年前に咲が自分宛へ手紙を送れるとしたら……。そんな妄想をPCに向かってタイピングする。作った日記は誰に見せるでも無く。ただ自分の自己満足のために書いた。1年後の中学2年生の咲にとって。この日記は、自分が物語が好き。その予行練習として日記を書く習慣を作ろうかな? と考えた行動。なお、ゲームの世界を冒険する度量はあるが。書くのと読むのとでは違うように。書く方の日記は3日坊主で終わってしまった。が、確かに日記には記録された。
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