残酷な描写あり
妖精郷への入り口
アイヴァンはティリオンに連れられ、エルフの村の奥、妖精郷への入口に歩を進める。入口にはミスリルで補強され、金銀で飾られた樫で作られた扉がある。そこには二人のエルフが出迎えに来ていた。
ーーサイラムとサリオン! 湖畔の城ラコス・カスタルムを守護するエルフ最強の戦士たち!
アイヴァンはこの二人が出迎えに来ていることに妖精王ニヴィアンが事態を重く見ている事を実感する。数千年もの間、妖精王の居城を守護し続けた二人が揃ってラコス・カスタラムを離れたことは、160年前の『真魔大戦』以外にアイヴァンは聞いたことがなかった。
「エルミアの子アイヴァンよ。少し見ない間に逞しくなったな」
「私のことを覚えておいでなのですか?」
サイラムの言葉にアイヴァンは驚く。ティリオンよりも永い時間を生きるこの二人の記憶に残っているとは思っていなかったからだ。
「お前の母エルミアは我らの後を継ぐに相応しいと思っていた。その子であるお前のことを忘れることなぞできまいよ」
サリオンの懐かしむような言葉の中に悲しそうな色が混じる。アイヴァンの母であるエルミアは幼い頃から才能を発揮し、将来を期待されていた。しかし、エルフの村に迷い込んだ人間と共に村を出奔してしまった。後にアイヴァンを身に宿した状態で戻って来て、アイヴァンを産んだが、当時70歳くらいだったエルミアの母体への負担が大きく、アイヴァンが20歳になった頃に土に還ってしまった。
--私のことをそのように思っていたエルフがいたのか……
アイヴァンはハーフエルフということもあり、エルフの村で疎外感を抱えながら育った。そこで、40歳になった辺りで母と同じように出奔して冒険者となった。アイヴァンが冒険者となった頃に『真魔大戦』が勃発したが、駆け出しであったことから仲間たちはアイヴァンを危険な場所から遠ざけていたように思える。そのことに対する負い目を持ちながら冒険者を続けていた。
このため、故郷であるこの村に思い入れはなく、昔の仲間たちから受けた恩を返すために生きてきた。そんなアイヴァンにサリオンの言葉は意外なものだった。
「では、参ろう」
サイラムは入口の扉を開けるのだった……。
ーーサイラムとサリオン! 湖畔の城ラコス・カスタルムを守護するエルフ最強の戦士たち!
アイヴァンはこの二人が出迎えに来ていることに妖精王ニヴィアンが事態を重く見ている事を実感する。数千年もの間、妖精王の居城を守護し続けた二人が揃ってラコス・カスタラムを離れたことは、160年前の『真魔大戦』以外にアイヴァンは聞いたことがなかった。
「エルミアの子アイヴァンよ。少し見ない間に逞しくなったな」
「私のことを覚えておいでなのですか?」
サイラムの言葉にアイヴァンは驚く。ティリオンよりも永い時間を生きるこの二人の記憶に残っているとは思っていなかったからだ。
「お前の母エルミアは我らの後を継ぐに相応しいと思っていた。その子であるお前のことを忘れることなぞできまいよ」
サリオンの懐かしむような言葉の中に悲しそうな色が混じる。アイヴァンの母であるエルミアは幼い頃から才能を発揮し、将来を期待されていた。しかし、エルフの村に迷い込んだ人間と共に村を出奔してしまった。後にアイヴァンを身に宿した状態で戻って来て、アイヴァンを産んだが、当時70歳くらいだったエルミアの母体への負担が大きく、アイヴァンが20歳になった頃に土に還ってしまった。
--私のことをそのように思っていたエルフがいたのか……
アイヴァンはハーフエルフということもあり、エルフの村で疎外感を抱えながら育った。そこで、40歳になった辺りで母と同じように出奔して冒険者となった。アイヴァンが冒険者となった頃に『真魔大戦』が勃発したが、駆け出しであったことから仲間たちはアイヴァンを危険な場所から遠ざけていたように思える。そのことに対する負い目を持ちながら冒険者を続けていた。
このため、故郷であるこの村に思い入れはなく、昔の仲間たちから受けた恩を返すために生きてきた。そんなアイヴァンにサリオンの言葉は意外なものだった。
「では、参ろう」
サイラムは入口の扉を開けるのだった……。
ゼニスの仲間のアイヴァンの話はもう少し続きます。
アイヴァンが妖精郷に行くことは考えていなかったのですが、冥王さまが「妖精王サンと戦うのもいいですねえ」なんて言ってしまったので、急遽、アイヴァンが行くという事になりました。
お陰でアイヴァンの掘り下げができて良かったと思っています。
アイヴァンが妖精郷に行くことは考えていなかったのですが、冥王さまが「妖精王サンと戦うのもいいですねえ」なんて言ってしまったので、急遽、アイヴァンが行くという事になりました。
お陰でアイヴァンの掘り下げができて良かったと思っています。