【ソニック映画】彼は怒りと愛を背負って走る【感想/後半】
東京が舞台だと思ったらいつの間にかロンドンにいた
※ 壮絶ネタバレにつき映画視聴後読むこと推奨。
※ 今回は後半です。前半の感想は『』をチェックチャオ
ソニックといえば知らない人はいない日本がほこるマスコットキャラクターです。だよね?
日本での人気は、まあひいき目に見てマリオやピカチュウに及ばないものの、海外ではアメリカを中心に絶大なる人気を誇っており、マリオピカチュウと同列扱いになっております。
いやマジで。
でも日本だと影がうすくイマイチ。この現象はナゾだとして一部海外ファンの方々からも話題にあがったりするのですが、まあ『ソニック』というゲーム自体がけっこーハードル高めな印象があるのかもしれません。
マリオとかはほら、けっこーゆったり難易度でがんばるとクリアできる! くらいの絶妙な難易度じゃん? ただソニックはコースを把握してスムーズにクリアしないと「キモティー!」が味わえなかったりするからそのヘンが難しいのかもしんない。当時の子たちはゲームキューブで発売されたソニアド2の難易度でみんな受け止めてると思うし、そのイメージがずっと続いちゃった感じなんでしょうかね。
言うて、セガさんもソニックを浸透させようと奮闘してらっしゃいます。それ故か、個人的にここ最近の3Dソニックは初心者向けのとっつきやすいソニックが発売されているように思います。
そんななか、2020年から映画ソニック・ザ・ムービーがはじまって今回三作目。これらのシリーズでぜひともソニックの魅力が伝わればなと願いつつ、いちファンとして観てきた感想をつれづれしていきたいと思います。
今回後編。前編はなんかTOKYOじゃなくてLONDONミッションじゃない? とツッコミを入れたくなった感じですが、はてさてどのような展開を迎えるでしょうか?
:正しいことをする:
エッグマンたちより先にエクリプスキャノンを抑えるため、ソニックたちは仲間と協力して侵入ミッションを計画します。まずは変装によりトムとマディがGUN内部へ。テイルスを司令塔としてそれぞれ指示を飛ばしていく。
一方そのころ、エッグマンらもGUN本部に侵入済みで、まさに最後の関門を突破しようというところでした。目の前に広がるレーザービームの壁。これはアレだ、映画『バイオハザード1』にあったあのシーンを思い出すわ。とあるキャラが網目状にさっくりヤられてしまったあのシーンは今でもみんなのトラウマでしょうねぇ(遠い目
が、彼らは天才なのですよ。レーザー程度じゃどうしようもないスーツを着込み、ふたりは余裕のダンスで突破していきます。まじジムキャリーの独壇場。っていうかたまに手ぇつないだり持ち上げたりしてるシーンあるけどどうやってるの? それぞれのシーンを影武者といっしょに撮影して合成してるかんじ? なんにせよ、彼らは家族の絆パワーで関門を突破しました。
そのままエッグマンの勝利におわるのか? 言うたらそうは問屋が卸さないってことでソニック登場! エクリプスキャノンを起動させるにはそこにあるもうひとつのカードキーが必要。ソニック、エッグマン、そしてGUNのみつどもえでカードキーの奪い合いが始まります。最後の罠、重力装置とナッコーズの脳筋突入でてんやわんやになりつつ、紆余曲折あってさいごはトムがカードキーをゲット! ――と思ったのですが、そこには憤怒の表情を浮かべたシャドウが立ちはだかっていました。
トムはこのときウォルターズに変装していました。テイルスお手製の装置による完璧な変装です。そして、ウォルターズはシャドウを50年間闇に放り込んだ当時の司令官です。
マリアを失った怒り。そのすべてがトムの胸に突き刺さりました。あとから駆けつけたソニックの声に応えず、彼はただ地面に倒れたまま。
なぜこんなことを! そう叫ぶソニックに、シャドウはただ「正しいことをする」とだけ言って消え去ります。エクリプスキャノンに乗り空へ登っていく彼らを追いかけるため、ソニックはみんなで相談して「何があろうとゼッタイに使わない」と決めていた"マスターエメラルド"の使用を決断しました。
その目には、ただ憤怒だけが満ちていました。
一度は拒否したナックルズですが、彼はソニックの意志を尊重し、ソニックのこころを信じてその在処を教えます。そしてソニックは独り、スーパーソニックに変身して宇宙へと飛び立つのでした。
:復讐に勝者はいない:
スーパー化したソニックは宇宙を駆け抜けエクリプスキャノンを貫きます。しかしそこにシャドウが立ちはだかり、一瞬ではありますがソニックのスーパー化を解くほどの攻撃を浴びせました。
ソニックの焦りからエメラルドに"なにかある"と察したシャドウ。それの奪い合いになろうと両者が衝突して巨大な閃光がはしり――そこにはスーパーしたソニックと、おなじようにスーパー化したシャドウが佇んでいました。
スーパー化したふたりの戦いはゲーム版にはないパターンですね! これはちょっち興奮しましたし、その間に繰り広げられるふたりの会話もジーンとくるものがありました。
マリアを失った悲しみ。それをソニックも味わったであろうことを指摘するシャドウ。ソニックは「おまえとはちがう!」とそれを否定しつつ、テイルスやナックルズを見捨ててこの場にやってきたソニックをシャドウが嘲笑います。ふたりの戦いは地球から月へと至り、やがてソニックがシャドウの変身を打ち砕きトドメの一撃を――そこで拳が止まりました。
とどめを刺せと叫ぶシャドウ。しかしソニックにはそれができなかった。彼の内側には激しい怒りが巻き起こりつつ、それと同時に失った者への愛が胸いっぱいにふくらんでいたからです。
ふたり。ソニックはグリーンヒルズに訪れるまえ、一匹のふくろうと共に過ごしていました。ロングクローはソニックを守るために自らを犠牲にし、そしてトムは"正しいことをする"ために散っていった。かけがえのない存在を失えば当然怒りが湧く。でも、それいじょうに愛する存在からもらった愛情こそ、他のなにものより尊いものだとソニックは言ったのです。
彼の言葉を受け、シャドウはマリアとの日々を思い出します。堅苦しい基地でもマリアといれば楽しかった。いっしょに遊んで、ローラースケートで狭い通路を走り回って、こっそり基地から出て星空を眺めたり、いっしょに映画を観たり――それは間違いなく"愛"だったでしょう。そして彼は、怒りよりも深いところにその感情があることに気づきました。
マリアがほんとうに望んでいたことはなにか? ほんとうに正しいことはなにか? シャドウは決意して、ソニックと共にエクリプスキャノンを止めるため動き始めたのです。
しっかしおまえら月にいるのによー呼吸できるな。
一方その頃、エッグマンはジェラルドの本当の目的に気づきます。それはゲームで彼が放った言葉とおなじ『全人類を滅ぼす』というものでした。
自分にはもはやなにも残っていないと言うジェラルドにエッグマンは「家族がいる」と懸命に訴えます。しかし、ジェラルドが返した言葉は「私の家族はマリアだけだ」という冷酷なものでした。
彼の目的に気付いたエッグマン。そしてソニックとシャドウ、さらにテイルス、ナックルズまで駆けつけ最後の戦いに挑み、ジェラルドは超高エネルギーに晒され完全消滅してしまいました。しかしエクリプスキャノンは起動しておりもはや止めることはできない。
ではどうすればいい? ――エッグマンとテイルスが出した答えは"軌道を逸らす"でした。スーパー化したふたりがビームを防いでいる間、我らが頭脳が協力して、ついでにナックルズのパワーもあり地球への直撃は免れました。
なおお月さま。
力を使い果たしたソニックを助けるため、テイルスとナックルズは宇宙に飛び出していきます。そしてリングを使い地球へ戻りましたが――ここにはまだふたり、取り残されたままでした。
エッグマン、そしてシャドウ。ビームを防いでもエクリプスキャノン本体が落下してしまえば同じこと。それを防ぐにはエッグマン自身がここにとどまり、文字通り命と引き換えに本体を消滅させなければなりません。
シャドウが落下を防ぎ、エッグマンはエクリプスキャノンを自爆させます。そのときに彼が残した言葉がもうね……今までさんざんっぱら自分を否定され続けてきたんだもの、今更ありがとうとかだいすきとかそんな言葉があるわきゃないわ。ろくな人生じゃなかったかもしれないけど、彼は最期に、自分を最後まで慕い傍にいつづけてくれた相棒ストーンに感謝のことばを伝えました。ここがまたギャグっぽくて笑えるのと感動するのとでいろいろな感情が爆発してしまいましたよ、ええ。
:これゼッタイ続編あるわ:
騒動が収まり地球に平和がもどり、ソニックたちは冒頭にも訪れていたグリーンヒルズの森にいました。
マディがいろいろ準備を進めていますが、そこにトムの姿はなく――ってのは冗談で、ソニックが呼ぶとテントの中から腕に布巻いたトムが登場。改めてレッツパーティーターイ! って感じだね。
犬かわいい!!!
でもってまたレースしようぜ! って流れ。今回はサプライズもなしのガチ勝負なんでソニックもテイルスもナッコーズもホンキで走ってるぜさあだれが勝つんだ? ――って感じで幕引き。エンディングはセガサターン時代を彷彿とさせる3DCGのソニックたちが駆け巡り、今作をデフォルメ化ダイジェスト形式でお送りしていきました。
スタッフロールが続くなか、お客さんのだーれも帰ろうとしない。そりゃそうだ、だってこの後ちょっとだけ続くんじゃ展開だもの。このさ、スタッフロールの後にもうワンシーンあるっていつから始まったんだろう? 昔はそれで終わりだったからスタッフロール中に帰っちゃうお客さんが多かった記憶あるけど今はもうこのスタイルが常識だよね。
ってことで、えー最後のさいごにもうワンシーンあるんだけど――えっ?
マジで? メタルソニックいる! しかもたくさんいる! やっべってことはエッグマン生きてる!? いやまあそうだろうとは思ってたけど映画次元のエッグマンとシャドウは今後どうなってくんだろうね?
さらにさらにですよ! なんとピコハンでメタルをばったばったなぎ倒していくローブ姿の女性が! いやここまで来たらみなさんもうわかりますよね?
なんとびっくりエミーローズも参戦ですわよ。んでちゃっかりシャドウも生存匂わせてるしこれもう続編確定やろゼッタイ観に行くわ。
ってことで、映画を楽しんだオッサンはるんるん気分で映画館を後にするのでした。
:ソニックはシャドウになっていたかもしれない:
アメリカ産の映画には総じて『家族の絆』というテーマが用意されています。子ども向け映画ではとくにそうですね。ソニックにはロングクロー、シャドウとマリア、そしてエッグマン(イーヴォ)でさえジェラルドというじいさんと共に『未完の行為』をこなしていくシーンが描かれています。
まあ、ジムキャリーがジムキャリーを自転車に乗せてたりいっしょに花火観たりするシーンはいろいろお腹にダイレクトアタックでしたが――とにかく、彼らを通して『家族の姿』というものを描写しています。
家族以外の絆もあります。たとえばストーンがエッグマンに対して感じている愛着心なんかがわかりやすいですね。その絆が深ければ深いほど失った悲しみもまた深く、そして怒りも大きくなっていきます。
ソニックもロングクローを失った悲しみを抱えていたでしょう。もしかしたら、彼がグリーンヒルズの片隅で隠れ暮らしたままだったら、ソニックもまたシャドウのように復讐心にとらわれていたかもしれません。いつかロングクローを亡き者にしたヤツらを、というように。まあ、ロングクローには直接的な描写が無かったのでワンチャン生きてそーな気もしますが。
ソニックが負の感情を抱えてもおかしくはありませんでしたが、彼は持ち前の明るさでそれを乗り越えました。しかし、これはただ彼がそうだったという理由だけではありません。彼のまわりにいる家族や相棒が――トム、マディ、テイルス、ナックルズという頼れる仲間がいたからです。
しかし、シャドウにはそれがいなかった。いないまま50年間その感情を抱え続けた。それだけではありません。今回の悪役を引き受けたジェラルド・ロボトニックもまたマリアを失った悲しみを抱え、ただただマリアを奪い去った人間に復讐したくて、そのこころがいつしか膨らみ、復讐の対象が全人類へと肥大化してしまった。
人には感情があります。怒りだって人がもつ正しい機能です。だから人は怒りを覚えていい。怒りをぶつけていいんです。けど、その怒りが過ぎて過ちを犯してはならない。今回のソニック映画では、まあアメリカ映画でよくあるテーマでもあるのですが『正しいことをする』というものも主題になっていましたね。
ソニックは今回の映画でトムを失いました――失ったと思ってました。その悲しみが怒りに変化し、そのこころのままマスターエメラルドを手に取りシャドウを月まで飛ばしたのです。しかし最後のさいごで彼は踏みとどまった。それは彼が言うように、悲しみや怒りもありますが、それ以上にトムからもらった愛が大きかったからです。
家族、絆、そして正義。アメリカ映画の要素が三拍子そろってる感じがしておもしろいのですが、それと同時に"ソニック"というゲームシリーズの小ネタをふんだんにエッセンスしてるのがとてもすばらしい! 最終決戦字にソニアド2のメインテーマ『Live and Learn』アレンジが流れた時はもうゼッチョーしそーになりましたよ。
これは歴代ソニックファンはもちろん、派手なアクションシーンが見たい! って方にもおすすめできるし、アメリカド直球な映画が見たい! って方にも観てもらいたいし、なによりはじめてソニックシリーズに触れるという方にもおすすめできる作品です。
最近は『ソニック × シャドウ ジェネレーションズ』も絶賛好評中のようですし、これを機会にゲームもはじめていただきたいですね。最近のソニックはほんとうに練られていて、初心者でも気持ちよく走れるコースが多いのです。
わたしはソニックがすきです。音速ハリネズミがすきです。ここに記したあれこれが、ソニックの魅力を少しでも広めることができたらとても満足です。まだ映画を観てないって方、ぜひとも観に行きましょう。友人家族誘って行きましょう。
あなたと、あなたがもつ絆の数々に乾杯!
※ 今回は後半です。前半の感想は『』をチェックチャオ
ソニックといえば知らない人はいない日本がほこるマスコットキャラクターです。だよね?
日本での人気は、まあひいき目に見てマリオやピカチュウに及ばないものの、海外ではアメリカを中心に絶大なる人気を誇っており、マリオピカチュウと同列扱いになっております。
いやマジで。
でも日本だと影がうすくイマイチ。この現象はナゾだとして一部海外ファンの方々からも話題にあがったりするのですが、まあ『ソニック』というゲーム自体がけっこーハードル高めな印象があるのかもしれません。
マリオとかはほら、けっこーゆったり難易度でがんばるとクリアできる! くらいの絶妙な難易度じゃん? ただソニックはコースを把握してスムーズにクリアしないと「キモティー!」が味わえなかったりするからそのヘンが難しいのかもしんない。当時の子たちはゲームキューブで発売されたソニアド2の難易度でみんな受け止めてると思うし、そのイメージがずっと続いちゃった感じなんでしょうかね。
言うて、セガさんもソニックを浸透させようと奮闘してらっしゃいます。それ故か、個人的にここ最近の3Dソニックは初心者向けのとっつきやすいソニックが発売されているように思います。
そんななか、2020年から映画ソニック・ザ・ムービーがはじまって今回三作目。これらのシリーズでぜひともソニックの魅力が伝わればなと願いつつ、いちファンとして観てきた感想をつれづれしていきたいと思います。
今回後編。前編はなんかTOKYOじゃなくてLONDONミッションじゃない? とツッコミを入れたくなった感じですが、はてさてどのような展開を迎えるでしょうか?
:正しいことをする:
エッグマンたちより先にエクリプスキャノンを抑えるため、ソニックたちは仲間と協力して侵入ミッションを計画します。まずは変装によりトムとマディがGUN内部へ。テイルスを司令塔としてそれぞれ指示を飛ばしていく。
一方そのころ、エッグマンらもGUN本部に侵入済みで、まさに最後の関門を突破しようというところでした。目の前に広がるレーザービームの壁。これはアレだ、映画『バイオハザード1』にあったあのシーンを思い出すわ。とあるキャラが網目状にさっくりヤられてしまったあのシーンは今でもみんなのトラウマでしょうねぇ(遠い目
が、彼らは天才なのですよ。レーザー程度じゃどうしようもないスーツを着込み、ふたりは余裕のダンスで突破していきます。まじジムキャリーの独壇場。っていうかたまに手ぇつないだり持ち上げたりしてるシーンあるけどどうやってるの? それぞれのシーンを影武者といっしょに撮影して合成してるかんじ? なんにせよ、彼らは家族の絆パワーで関門を突破しました。
そのままエッグマンの勝利におわるのか? 言うたらそうは問屋が卸さないってことでソニック登場! エクリプスキャノンを起動させるにはそこにあるもうひとつのカードキーが必要。ソニック、エッグマン、そしてGUNのみつどもえでカードキーの奪い合いが始まります。最後の罠、重力装置とナッコーズの脳筋突入でてんやわんやになりつつ、紆余曲折あってさいごはトムがカードキーをゲット! ――と思ったのですが、そこには憤怒の表情を浮かべたシャドウが立ちはだかっていました。
トムはこのときウォルターズに変装していました。テイルスお手製の装置による完璧な変装です。そして、ウォルターズはシャドウを50年間闇に放り込んだ当時の司令官です。
マリアを失った怒り。そのすべてがトムの胸に突き刺さりました。あとから駆けつけたソニックの声に応えず、彼はただ地面に倒れたまま。
なぜこんなことを! そう叫ぶソニックに、シャドウはただ「正しいことをする」とだけ言って消え去ります。エクリプスキャノンに乗り空へ登っていく彼らを追いかけるため、ソニックはみんなで相談して「何があろうとゼッタイに使わない」と決めていた"マスターエメラルド"の使用を決断しました。
その目には、ただ憤怒だけが満ちていました。
一度は拒否したナックルズですが、彼はソニックの意志を尊重し、ソニックのこころを信じてその在処を教えます。そしてソニックは独り、スーパーソニックに変身して宇宙へと飛び立つのでした。
:復讐に勝者はいない:
スーパー化したソニックは宇宙を駆け抜けエクリプスキャノンを貫きます。しかしそこにシャドウが立ちはだかり、一瞬ではありますがソニックのスーパー化を解くほどの攻撃を浴びせました。
ソニックの焦りからエメラルドに"なにかある"と察したシャドウ。それの奪い合いになろうと両者が衝突して巨大な閃光がはしり――そこにはスーパーしたソニックと、おなじようにスーパー化したシャドウが佇んでいました。
スーパー化したふたりの戦いはゲーム版にはないパターンですね! これはちょっち興奮しましたし、その間に繰り広げられるふたりの会話もジーンとくるものがありました。
マリアを失った悲しみ。それをソニックも味わったであろうことを指摘するシャドウ。ソニックは「おまえとはちがう!」とそれを否定しつつ、テイルスやナックルズを見捨ててこの場にやってきたソニックをシャドウが嘲笑います。ふたりの戦いは地球から月へと至り、やがてソニックがシャドウの変身を打ち砕きトドメの一撃を――そこで拳が止まりました。
とどめを刺せと叫ぶシャドウ。しかしソニックにはそれができなかった。彼の内側には激しい怒りが巻き起こりつつ、それと同時に失った者への愛が胸いっぱいにふくらんでいたからです。
ふたり。ソニックはグリーンヒルズに訪れるまえ、一匹のふくろうと共に過ごしていました。ロングクローはソニックを守るために自らを犠牲にし、そしてトムは"正しいことをする"ために散っていった。かけがえのない存在を失えば当然怒りが湧く。でも、それいじょうに愛する存在からもらった愛情こそ、他のなにものより尊いものだとソニックは言ったのです。
彼の言葉を受け、シャドウはマリアとの日々を思い出します。堅苦しい基地でもマリアといれば楽しかった。いっしょに遊んで、ローラースケートで狭い通路を走り回って、こっそり基地から出て星空を眺めたり、いっしょに映画を観たり――それは間違いなく"愛"だったでしょう。そして彼は、怒りよりも深いところにその感情があることに気づきました。
マリアがほんとうに望んでいたことはなにか? ほんとうに正しいことはなにか? シャドウは決意して、ソニックと共にエクリプスキャノンを止めるため動き始めたのです。
しっかしおまえら月にいるのによー呼吸できるな。
一方その頃、エッグマンはジェラルドの本当の目的に気づきます。それはゲームで彼が放った言葉とおなじ『全人類を滅ぼす』というものでした。
自分にはもはやなにも残っていないと言うジェラルドにエッグマンは「家族がいる」と懸命に訴えます。しかし、ジェラルドが返した言葉は「私の家族はマリアだけだ」という冷酷なものでした。
彼の目的に気付いたエッグマン。そしてソニックとシャドウ、さらにテイルス、ナックルズまで駆けつけ最後の戦いに挑み、ジェラルドは超高エネルギーに晒され完全消滅してしまいました。しかしエクリプスキャノンは起動しておりもはや止めることはできない。
ではどうすればいい? ――エッグマンとテイルスが出した答えは"軌道を逸らす"でした。スーパー化したふたりがビームを防いでいる間、我らが頭脳が協力して、ついでにナックルズのパワーもあり地球への直撃は免れました。
なおお月さま。
力を使い果たしたソニックを助けるため、テイルスとナックルズは宇宙に飛び出していきます。そしてリングを使い地球へ戻りましたが――ここにはまだふたり、取り残されたままでした。
エッグマン、そしてシャドウ。ビームを防いでもエクリプスキャノン本体が落下してしまえば同じこと。それを防ぐにはエッグマン自身がここにとどまり、文字通り命と引き換えに本体を消滅させなければなりません。
シャドウが落下を防ぎ、エッグマンはエクリプスキャノンを自爆させます。そのときに彼が残した言葉がもうね……今までさんざんっぱら自分を否定され続けてきたんだもの、今更ありがとうとかだいすきとかそんな言葉があるわきゃないわ。ろくな人生じゃなかったかもしれないけど、彼は最期に、自分を最後まで慕い傍にいつづけてくれた相棒ストーンに感謝のことばを伝えました。ここがまたギャグっぽくて笑えるのと感動するのとでいろいろな感情が爆発してしまいましたよ、ええ。
:これゼッタイ続編あるわ:
騒動が収まり地球に平和がもどり、ソニックたちは冒頭にも訪れていたグリーンヒルズの森にいました。
マディがいろいろ準備を進めていますが、そこにトムの姿はなく――ってのは冗談で、ソニックが呼ぶとテントの中から腕に布巻いたトムが登場。改めてレッツパーティーターイ! って感じだね。
犬かわいい!!!
でもってまたレースしようぜ! って流れ。今回はサプライズもなしのガチ勝負なんでソニックもテイルスもナッコーズもホンキで走ってるぜさあだれが勝つんだ? ――って感じで幕引き。エンディングはセガサターン時代を彷彿とさせる3DCGのソニックたちが駆け巡り、今作をデフォルメ化ダイジェスト形式でお送りしていきました。
スタッフロールが続くなか、お客さんのだーれも帰ろうとしない。そりゃそうだ、だってこの後ちょっとだけ続くんじゃ展開だもの。このさ、スタッフロールの後にもうワンシーンあるっていつから始まったんだろう? 昔はそれで終わりだったからスタッフロール中に帰っちゃうお客さんが多かった記憶あるけど今はもうこのスタイルが常識だよね。
ってことで、えー最後のさいごにもうワンシーンあるんだけど――えっ?
マジで? メタルソニックいる! しかもたくさんいる! やっべってことはエッグマン生きてる!? いやまあそうだろうとは思ってたけど映画次元のエッグマンとシャドウは今後どうなってくんだろうね?
さらにさらにですよ! なんとピコハンでメタルをばったばったなぎ倒していくローブ姿の女性が! いやここまで来たらみなさんもうわかりますよね?
なんとびっくりエミーローズも参戦ですわよ。んでちゃっかりシャドウも生存匂わせてるしこれもう続編確定やろゼッタイ観に行くわ。
ってことで、映画を楽しんだオッサンはるんるん気分で映画館を後にするのでした。
:ソニックはシャドウになっていたかもしれない:
アメリカ産の映画には総じて『家族の絆』というテーマが用意されています。子ども向け映画ではとくにそうですね。ソニックにはロングクロー、シャドウとマリア、そしてエッグマン(イーヴォ)でさえジェラルドというじいさんと共に『未完の行為』をこなしていくシーンが描かれています。
まあ、ジムキャリーがジムキャリーを自転車に乗せてたりいっしょに花火観たりするシーンはいろいろお腹にダイレクトアタックでしたが――とにかく、彼らを通して『家族の姿』というものを描写しています。
家族以外の絆もあります。たとえばストーンがエッグマンに対して感じている愛着心なんかがわかりやすいですね。その絆が深ければ深いほど失った悲しみもまた深く、そして怒りも大きくなっていきます。
ソニックもロングクローを失った悲しみを抱えていたでしょう。もしかしたら、彼がグリーンヒルズの片隅で隠れ暮らしたままだったら、ソニックもまたシャドウのように復讐心にとらわれていたかもしれません。いつかロングクローを亡き者にしたヤツらを、というように。まあ、ロングクローには直接的な描写が無かったのでワンチャン生きてそーな気もしますが。
ソニックが負の感情を抱えてもおかしくはありませんでしたが、彼は持ち前の明るさでそれを乗り越えました。しかし、これはただ彼がそうだったという理由だけではありません。彼のまわりにいる家族や相棒が――トム、マディ、テイルス、ナックルズという頼れる仲間がいたからです。
しかし、シャドウにはそれがいなかった。いないまま50年間その感情を抱え続けた。それだけではありません。今回の悪役を引き受けたジェラルド・ロボトニックもまたマリアを失った悲しみを抱え、ただただマリアを奪い去った人間に復讐したくて、そのこころがいつしか膨らみ、復讐の対象が全人類へと肥大化してしまった。
人には感情があります。怒りだって人がもつ正しい機能です。だから人は怒りを覚えていい。怒りをぶつけていいんです。けど、その怒りが過ぎて過ちを犯してはならない。今回のソニック映画では、まあアメリカ映画でよくあるテーマでもあるのですが『正しいことをする』というものも主題になっていましたね。
ソニックは今回の映画でトムを失いました――失ったと思ってました。その悲しみが怒りに変化し、そのこころのままマスターエメラルドを手に取りシャドウを月まで飛ばしたのです。しかし最後のさいごで彼は踏みとどまった。それは彼が言うように、悲しみや怒りもありますが、それ以上にトムからもらった愛が大きかったからです。
家族、絆、そして正義。アメリカ映画の要素が三拍子そろってる感じがしておもしろいのですが、それと同時に"ソニック"というゲームシリーズの小ネタをふんだんにエッセンスしてるのがとてもすばらしい! 最終決戦字にソニアド2のメインテーマ『Live and Learn』アレンジが流れた時はもうゼッチョーしそーになりましたよ。
これは歴代ソニックファンはもちろん、派手なアクションシーンが見たい! って方にもおすすめできるし、アメリカド直球な映画が見たい! って方にも観てもらいたいし、なによりはじめてソニックシリーズに触れるという方にもおすすめできる作品です。
最近は『ソニック × シャドウ ジェネレーションズ』も絶賛好評中のようですし、これを機会にゲームもはじめていただきたいですね。最近のソニックはほんとうに練られていて、初心者でも気持ちよく走れるコースが多いのです。
わたしはソニックがすきです。音速ハリネズミがすきです。ここに記したあれこれが、ソニックの魅力を少しでも広めることができたらとても満足です。まだ映画を観てないって方、ぜひとも観に行きましょう。友人家族誘って行きましょう。
あなたと、あなたがもつ絆の数々に乾杯!