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作者: 犬物語
AIの判断は正しいし阿部慎之助氏は逮捕されるべきだった
それぞれができる範囲でそれぞれの判断を下しただけ
 ニュースが目に入った。
 衝撃を受けた。
 思わず「は?」と口にした。

 阿部あべ 慎之助しんのすけ監督、逮捕。

 現役の、しかも「常に紳士たれ」言われとる読売ジャイアンツ監督の逮捕劇。フェイクニュース? あちこちの情報媒体を確認した。マジだ。本当に逮捕されたっぽい。しかしなんで?

 娘への暴行容疑だ。このニュースはまたたく間に全国へ拡散され話題となった。あちこちのSNSで話題になり、つい先日は本人の記者会見も行われた。その混乱のなか沸き起こった話題がいくつもあって、それぞれ深く考えさせてくれるテーマを含んでた。

 AIが仕事を奪った。
 監督辞任は厳しすぎる。
 それぞれの対応の是非。

 令和ならではの課題だね。ってことで、今回はこれらについて書いていこう。





:AIが仕事を奪った:

 AIが仕事を奪うこと、それ自体は大いにあり得る。たとえば『士業しぎょう』と呼ばれる弁護士、公認会計士などの仕事はAIと相性が良く仕事を奪われやすいのでは? とされているようです。

 奪うは言い過ぎだけど、大部分が代替可能なので「その仕事をする必要がなくなる」と書いたほうが良いかもしれない。それはそれで歓迎すべきことだと思う。だって空いた時間に他のことできるし、別に一日八時間たっぷり苦しみつつメンドウな作業をしまくれ! って派じゃないので。

 今回の場合、問題はそこじゃなくて『娘がAIに相談したことをキッカケに、親が仕事を失った』という事実にある。でもこれ〝罠〟やねん。

 AIと仕事に因果関係ないねん。

 AIはネット上のあらゆる媒体を参照して、質問されたことに答えを提示するだけだ。娘はChatGPTに相談したとのことだから、恐らくChatGPTがプログラムに沿って「親から暴力を受けた場合は、身の安全を確保して児童相談所や警察に相談してください」と紹介したのでしょう――娘さんがAIでなく近所のオバちゃんにアドバイスを求めたとして「近所のオバちゃんが阿部慎之助の仕事を奪った」とはならんやろ?

 AIは道具。実際に行動するのは人。殺人事件があったとして、だれも包丁を罪に問うことはできない。人工知能が自らの意思をもって~なんて主張あるけど、少なくとも現段階のAIは意思のカケラすら発芽してないので……あるいは、スカイネットのようなAIができたらAIを逮捕できる時代が訪れるのだろうか?


・AI、人双方の理解とムーブ

 AIに罪はないとはいえ、AIもたまーにとんでもない返答をする場合がある。それはハルシネーションだったり論理クイズの誤答だったりいろいろ、以前パラドックスが起こる論理パズル(つまり答えが出ない問題)を出題してみたら「答えは〝ふたり〟です」と自信満々に答えやがりましてね? んで解説を読んでったら「~となり矛盾が生じます――矛盾が生じたので答えが〝ふたり〟は間違いですね。もう一度最初から~」とかいい出してめっちゃかわいかった。(イライザ効果

 一方、人間側もAIの使い方を工夫しなきゃいけない。どんな質問をすればハルシネーションを抑えられるのか? 適切に答えてくれるのか? あるいは、AIはあくまでアドバイスや情報提供をするだけのもので、実際に行動を起こすのは自分自身だということを押さえておかなければならないんだろう。

 それらを子ども――娘さんは十八歳だったそうだが――に求めすぎるのも難しい。いくらテクノロジーが身近で当たり前になった時代に生まれたとはいえ、うまく使いこなすには試行錯誤が要るもんだ。その上で娘さん本人がどうしたいのか? どんな気持ちを伝えたかったのか? どのような展開こそ望ましかったのか? を加味した相談ができたら良かったんだけど……でも「親から暴力を受けた」言われたら問答無用で「身の安全を確保して児相か警察に相談しましょう」と返さざるを得ないので、AIや相談者にそこまで求めるのは難しいのかもしれない。





:それぞれの対応の是非:

 AI談義はそこまでとして、その後の人間側の対応も話題になってるね。事の経緯をザックリ整理してみよう。

・娘がChatGPTに相談し、児童相談所へ連絡
・児童相談所が警察へ連絡
・警察が阿部氏を逮捕

 普段から暴力を振るうなどはなかったそうだが、今回は姉妹同士でケンカをしていたそうだ。で、親である阿部慎之助氏が窘めて、言い返されたことにカッとなって胸ぐらをつかみ投げ飛ばした? らしい。その後、娘はAIに相談して逮捕につながった。

 それぞれの対応は正しかったのだろうか? ――それはニュースやネット上のありとあらゆる情報媒体で議論されてるよね。情報が少ない現時点であれこれ書くのもなんだけど、わたし個人としては『適切だった』と思ってるのですよ。

 自治体にもよるでしょうが、児童相談所は午後五時以降は夜間扱いになるそうだ。常勤さんが退勤時間になって業務委託先に担当が代わるのかな? なんて妄想はさておき、娘さんは夜に相談を入れた。で、相談を受けた児相は警察に連絡する判断をした。

 児童相談所は子どもの安全のため一定の権力を持ってるけど、たとえば緊急性が高かったり〝事件〟に発展する可能性があれば警察に連絡するもの。娘さんから相談を受けているなかで判断したのなら、じゃあ適切だったんじゃない? と書いたほうがいいでしょう。

 いやわからないよ? 後々になって児相が「実は警察に連絡する必要ないと思ってたのに警察に連絡しちゃいました☆」とか言い出したらふざけんなコラってなるじゃん? でも、児童相談所だって子どもを守るためがんばってるんだしお遊びで警察い連絡なんてするワケないでしょ?

 警察だって何でもお構いなしに逮捕しまくる組織じゃないわけで、その中で逮捕という手段に踏み切ったのだから警察はそれが適切だと判断したんだろう。当時の阿部氏は酒に酔ってたようだし、被害を訴える人と同じ屋根の下であることを考えると警察さんの判断は間違いと言いにくいんじゃなかろうか?


・この程度で大げさすぎない?

 法治国家を目指すなら『阿部慎之助氏は逮捕されて当然だった』と書いたほうがいいね。

 どのような理由でも暴力はダメじゃん? 人間なんだから時としてそういう過ちを犯すこともあるけど暴力はダメじゃん? 暴行罪じゃん? ふつうだったら牢屋の中か罰金モノよ? え? 家庭内のありふれたケンカだって?

 いや暴力だから。
 児童相談所も警察も対応したから。
 アウトです。

 娘さんは児童相談所に連絡して、児童相談所は警察に連絡して、警察は権限を使って父親を逮捕した。その判断が適切だったか否かという議論とは別に、これらは法律で保証されたムーブなので大げさでもなんでもないですね。問題は別にあって、つまり「互いのコミュニケーションをどう取ればいいか?」っていう方向性だと思うのよね。

 娘さんはAIに相談して行動を決めた。これに対し、若者はなんでもAIに頼るようになったとか言われるかもだけど、若者はべつにAIじゃなくたって『頼れるものに頼る』ものなんですよ。親であれ近所のオバちゃんであれ相談できる人にはなんでも相談しちゃうでしょ。

 兄弟姉妹、母、親戚、あるいは友だち。それらの選択肢のなかでAIを選んだ。逆に捻くれた書き方をすれば『相談相手としてAIに負けた』と書くこともできるんじゃない?

 もちろん限度はある。恋愛沙汰や趣味など相談カテゴリによれば親を頼れないときもあるし、今回のように親から暴力を振るわれた場合はさらに相談相手が絞られるだろう。そんな時こそ普段の人間関係が活きる。キミは『何でも相談できる親しい相手』はいるかい?

 いなくていい。
 いなきゃダメなんてことはない。
 そういう時代になってるのかもしれない。
 いや、昔はだれもが〝そう〟だったとは言わんけど。

 自分を大切にしたり、プライベートを気にすることも大切だけど、たまーにでいいから、自分のすべてを打ち明けられるような相手を探す旅に出てみてはいかがだろうか?



 逮捕はしゃーないとして、処分を終えた後の進路は確保されるべきだよね。そういった意味で、わたしは阿部慎之助監督再登板があってもいいんじゃないかと思う派です。

 子どもに限らず人は過ちを犯すものですから……彼が逮捕されたことでコラボグッズも発売中止になり、関係者がそれぞれコメントを出すなど各方面に衝撃が走ってる。彼自身も監督を辞任して社会的制裁を受けている。彼に限らず、多くの人が罪を償った後、胸を張って堂々と生きられる日本であってほしいな。

 なお、現在は監督代行として『橋上はしがみ 秀樹ひでき』氏がジャイアンツを率いている模様。オフェンスチーフコーチという「なにその役職?」的な役割だったようですが、戦後初の現役時代読売ジャイアンツに所属したことがない監督ということで期待に胸を膨らませております。

 そのまま監督としてやるのか? それとも新たな監督が就くのだろうか? そうだとしたら誰になるのか? 中途半端に終わってしまうのはもったいないので、一定の謹慎期間を経て阿部監督に再チャレンジってのもアリアリだと思いますが、わたし彼について日本シリーズで『澤村さわむら 拓一ひろかず』氏の頭をぶっ叩いた記憶しかないんだよなぁ……あ、ウソです二◯一二年当時のバケモノっぷりすごかったです!

 何にしても、それらは未来の話ということでひとつ。阿部氏に戻ってきてほしいか二度と帰ってきてほしくないか、ぜひご意見を聞かせてください。
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