【心理学】人はなぜ"承認欲求"をもってしまうのか?【社会的報酬】
だれだって"自分"を認めてほしいよね
人は社会を形成する動物です
社会のなかで生きていくということは『集団』のなかに自分も含めるということ。そのような環境において、集団のなかで『個性』を出すことはなかなかはばかられることです
が、人はもともと上に向かいたいという欲求があります。だからこそ人は他者との"差"を意識するし、集団のなかにおいても上下関係というものが形成されていきます
集団において個性は不要。しかし人はそもそも向上欲求がある。なかなか難しい生き物ですねぇ人間というものは
そのような心理のなか「他者からもっと認められたい!」という思いが生まれてきます。それこそが承認欲求です
マズローっていう有名な心理学者は、人がもつ欲求を複数の段階に分けて考えました
① 生理的欲求
→ 寝る、食う、ヤるなど
② 安全欲求
→ 命の危険がないこと
③ 所属と愛の欲求
→ なんらかの"集団"に属すること
④ 承認欲求
→ 集団のなかで認められること
⑤ 自己実現の欲求
→ 自分がやりたいことをやること
わたしたちにとって『①』は避けられない欲求です。その後に続く『② ~ ④』は満たされない場合不安や焦燥感を覚えるため欠乏欲求ともよばれています
それらすべてが満たされた後、人はようやく自分自身がやりたいことに着手できるという理屈。どうでしょう? どこかしら心当たりがありますか?
承認欲求をもつことは悪いことじゃありません。今回は『承認欲求が関係する社会的報酬』に関して書いていきますが、これらは人として当たり前の心理、脳のしくみです。問題なのは、承認欲求をもつことではなく、承認欲求によってよろしくない行動をしてしまうことなのです
ここで紹介するあれこれを知るだけでも、アナタ自身の承認欲求をコントロールできるようになります。うまーくおつきあいしていきましょうね
:社会的報酬を意識しよう:
承認欲求は、その人が所属する集団に認められた、と感じた場合満たされていきます。アナタがなんかのテストで100点をとったらそりゃあもう鼻が高くなるっしょ? んでそのテストをあえて机の上に置いといたり――したことある方はいいねとコメントをおねがいします
100点印がついたテストを見たクラスメートは「すっげぇー」とか「おまえ頭いいんだな!」みたいな称賛の声を贈るでしょう。こういった『所属する集団から受け取る報酬』を社会的報酬と呼びます
社会的報酬となるものはいくつかありますが、まあだいたい以下のようなヤツは社会的報酬になりますね
・承認
・評価
・信用や信頼
・尊敬
ちなみにお給料は『金銭的報酬』と呼ばれます。で、働いたぶんだけ食べ物をもらえるよ的なのは『生理的報酬』ですね。いずれも大脳基底核っつー脳のおくーのほうにある『線条体』ってとこが関わってきますが、まあ専門的な話はナシにしましょう
――と思ったけどちょっとだけ。線条体は運動機能に関わってるんだけど、人が意思決定する際にもふかーく関わっており、たとえば線条体が機能低下に陥ると対人や社会に対する恐怖心があるケースが多いんですね。さらに詳しく知りたいって方は『大脳基底核 線条体』みたいな感じでググるか、まあいちおうテケトーな論文でも紹介しておきましょうか
東京医科歯科大学
ttps://www.tmd.ac.jp/press-release/20230912-1/
承認欲求を満たすなら上記のような社会的報酬を得るのがいちばんです。よくある『バカなことやって周囲の視線をもらう』ことで承認欲求を満たすのはぁ……うーんまあちょっと違うんじゃないのかなぁと思ったりします――まあ、いちおう『知名度の向上』も承認欲求のひとつではあります
:正しい承認欲求の覚え方:
アナタがテストで100点をとったとしましょう。え? そんな高得点むりだって? ――じゃあ高得点でよろしく。なんかひとつくらいあるでしょ?
「ない」って言う方は自分の得意分野をさがしましょう。あるいは、アナタの自己肯定感が低くて"アナタ自身の強み"に気づいてないだけかもしんない。友人と相談してそれぞれの強みを話し合ってみてください
テストで高得点をゲッチュした! この時点ではまだ承認欲求ではなく社会的報酬でもありません。まだ『自分自身がよろこんだ』というだけです。そこから「平均点は何点だろう?」という疑問が出てきます
アナタが81点獲得しても、平均点が82.3点であれば社会的報酬にはなりません。だって平均点とは社会的、集団的、つまりアナタが所属するクラス全体の獲得点数より低かったという事実があるのでね
逆に平均点が61.8点とかであれば「やった!」となります。堂々とテスト用紙を机の上に置いといて称賛の声を受け止めてください
アナタがもし集団を率いる存在、上記例でいうなら学校の先生とか、ある程度の規模をまとめる課長や部長とかであれば『Iメッセージ』を使うと相手への社会的報酬になりえます。以下のような言い回しを意識してみましょう
・アナタは素晴らしい成績だね
・キミはこの部署のなかでも頑張ってくれてるよ
・ふつうの人はみんなこの手法でなんとかやってるのに、キミはこんな手を使って乗り越えたのか! すごいなぁ
人は集団に属しつつも『そのなかの自分』を意識しています。それをピックアップして集団の中のアナタをしっかり見てあげることで報酬になるんですね
これは小説、ラノベでもよく見られるシーンです。たとえばメッチャ強いキャラが主人公の前に立ちふさがって、主人公をさもモブかのように軽くあしらう。んで「〇〇国の兵はこの程度か……くだらん」みたいな言葉を言う。それに悔しさを覚えた主人公がめっさ修行してリベンジして「フッ――キサマは他の連中と違うようだな。名を名乗れ」的な感じで主人公を認めて主人公の成長を演出しつつ、主人公に感情移入してる読者のこころをトゥンクさせることもできる
まあ今は主人公が無双系になってるほうが流行ってるのでね、こういう描写はほとんどないでしょう。もしくはサブキャラでこういう演出がある感じ。心当たりあるでしょ?
:どんな方法でも"報酬"はおなじ:
上記でかるく『生理的報酬・金銭的報酬』みたいな単語も紹介しました。これらはすべて脳みそちゃんの同じトコがビクンビクンしてるわけですが、それってつまり『いずれの方法でも人は同じように"報酬"と感じる』ってことです
すなわち、本来お給料としてあげなきゃいけない金銭を「いやぁキミはすごいな!」ですませることができちゃったりするし、お金で愛を買えちゃうんだよっていう言い方もできるってことです
あ、いやもちろんアレよ? わたしたちは『金で愛を買うことはおかしい』的な倫理教育をされてる――よね? まあされてるでしょうから実際に行動に出る人はそれほど多くはありません
でもゼロじゃありません。だって報酬だもん。これは心理学、脳科学的な研究で「そう言えるよね」ということが明らかになった事実です。慈善団体に寄付をするという行為でさえ、その行為によって慈善団体や人々から「あの人は慈善団体に寄付したすばらしい人だ」という社会的報酬が得られるから、とも言えますし、いやいや寄付したことを黙っているタイプの人はどうなんだ? って疑問だって、黙っていたとしてもバレたときメッチャ称賛受けるやろなぁというイメージが容易にできるし、黙って寄付することでさらに『わたしは寄付した事実を黙っているような控えめで道徳観ある人だ』という満足感を得られたりするし――これを偽善ととらえるかどうかはアナタ次第。わたし自身はとても善い行いだと思います
ってことでみんなたっぷり寄付しましょう
国境なき医師団
ttps://www.msf.or.jp/donate/select/
日本赤十字社
ttps://www.jrc.or.jp/contribute/
日本補助犬協会
ttps://www.hojyoken.or.jp/cooperate/indivisual/donate
:報酬の種類とモチベーション:
寄付は済ませましたか? じゃあ次の話に行きましょう
心理学的な研究で、人はどのような条件で上記『報酬』の種類の優先度が変わるのか? 的な研究がいろいろ続けられてきました。その歴史は古く、たとえば1945年にあった『ろうそく問題』というのがあります
壁に密着したテーブル。そこにろうそく、マッチ、画鋲がたくさん入った箱が用意されてます。そんで「テーブルに蝋が垂れないように、ろうそくを壁に貼り付けてください」という課題をもらうんですね
被験者はだいたい画鋲でろうそくを留めようとしたり、ろうそくに火をつけて蝋を垂らし、そこにろうそくをくっつけて固定したりしようとします。が、この課題はこの手法ではうまくいかない設計になっています
これ、実は『画鋲の箱が台になる』ということに気づけるかどうかにかかってきます。なんかいい動画ないかなぁ~と思ってたら神戸大学さんがメッチャええもの作ってたのでシェアりんぐ
YouTubチャンネル、神戸大学公式チャンネル [Kobe University]
ttps://youtu.be/9UhUCOcvsDw
この問題をね、心理学者はとある条件をプラスしてやらせたんですよ
① この問題を解くのに一般的に何分かかるかを知りたい
② この問題を早く解いた上位25%に5ドル、1着は20ドル差し上げます
眼の前にエサぁチラつかせた『②』グループ、さぞメッサ早く解き終わるんやろなぁ……と思うじゃん? けどね、実際『②』のグループは『①』より平均3分半ほど余分に時間をかけちゃったんです
驚きだよねぇ……けど、さらに驚くべき実験があります
もうひとつ紹介するのは『ろうそく問題』です。いやさっきと同じじゃねーかというツッコミ、ありがとうございます。けどまって、今回は『画鋲が箱に入ってない』んです!!
それがどう違うんだって話。いやいや前回の実験では『ろうそく・マッチ・画鋲が入った箱』という認識を与えたのに対し、今回紹介する実験の場合、被験者は『ろうそく・マッチ・画鋲・箱』という認識になっているんです。これがどう違うのか?
――この実験でも『①・②』グループに分けられました。そしてなんと、こちらの実験では『②』グループが『①』グループに圧勝する成績を残したのです
さいしょのろうそく問題では『画鋲が入った箱』という固定観念をぶっ壊す作業が必要だったのに対し、今回の実験はただ『箱を台として使う』ことさえわかればいい。つまり単純作業になったんですね
上記ふたつの実験でわかったことはなにか? それは『金銭的報酬は、単純作業に関するモチベーションを強力に向上させる』ということです。さらに書けば『金銭的報酬は視野を狭めこころを集中させる』効果をもつということです
②は金銭的報酬をチラつかされた結果、眼の前の作業に集中する心理が働き上記のような結果になったのですね。ちなみに『①』グループは実験に協力し、感謝されるという社会的報酬を得る形になります。社会的報酬は単純作業の効率を上げる効果はなさそうですね
人は『報酬』を受けて、あるいは与えて相互的に社会を形成しています。それらのバランスを観察しつつ、自分自身がどのような報酬でやる気をアップさせるのか、自身の承認欲求を満足させるにはどのような工夫をすれば良いか考えてみましょう
人は社会を形成する動物です。家族、友人、クラスメートや職場仲間、上司に部下に先輩後輩まあいろんな関係がありますが、それらがチームとしてまとまっていくひとつの指標として、どうぞこれらの報酬をご活用ください
このお話が役に立った、ためになったという方は高評価をおねがいします。また「もっとわかりやすく書けよ」とか「〇〇について書いてよ」的なコメントをいただければ嬉しいです。具体的に挙げてくださるとさらにテンション上がりまくります
では、アナタの集団生活に幸多からんことを
社会のなかで生きていくということは『集団』のなかに自分も含めるということ。そのような環境において、集団のなかで『個性』を出すことはなかなかはばかられることです
が、人はもともと上に向かいたいという欲求があります。だからこそ人は他者との"差"を意識するし、集団のなかにおいても上下関係というものが形成されていきます
集団において個性は不要。しかし人はそもそも向上欲求がある。なかなか難しい生き物ですねぇ人間というものは
そのような心理のなか「他者からもっと認められたい!」という思いが生まれてきます。それこそが承認欲求です
マズローっていう有名な心理学者は、人がもつ欲求を複数の段階に分けて考えました
① 生理的欲求
→ 寝る、食う、ヤるなど
② 安全欲求
→ 命の危険がないこと
③ 所属と愛の欲求
→ なんらかの"集団"に属すること
④ 承認欲求
→ 集団のなかで認められること
⑤ 自己実現の欲求
→ 自分がやりたいことをやること
わたしたちにとって『①』は避けられない欲求です。その後に続く『② ~ ④』は満たされない場合不安や焦燥感を覚えるため欠乏欲求ともよばれています
それらすべてが満たされた後、人はようやく自分自身がやりたいことに着手できるという理屈。どうでしょう? どこかしら心当たりがありますか?
承認欲求をもつことは悪いことじゃありません。今回は『承認欲求が関係する社会的報酬』に関して書いていきますが、これらは人として当たり前の心理、脳のしくみです。問題なのは、承認欲求をもつことではなく、承認欲求によってよろしくない行動をしてしまうことなのです
ここで紹介するあれこれを知るだけでも、アナタ自身の承認欲求をコントロールできるようになります。うまーくおつきあいしていきましょうね
:社会的報酬を意識しよう:
承認欲求は、その人が所属する集団に認められた、と感じた場合満たされていきます。アナタがなんかのテストで100点をとったらそりゃあもう鼻が高くなるっしょ? んでそのテストをあえて机の上に置いといたり――したことある方はいいねとコメントをおねがいします
100点印がついたテストを見たクラスメートは「すっげぇー」とか「おまえ頭いいんだな!」みたいな称賛の声を贈るでしょう。こういった『所属する集団から受け取る報酬』を社会的報酬と呼びます
社会的報酬となるものはいくつかありますが、まあだいたい以下のようなヤツは社会的報酬になりますね
・承認
・評価
・信用や信頼
・尊敬
ちなみにお給料は『金銭的報酬』と呼ばれます。で、働いたぶんだけ食べ物をもらえるよ的なのは『生理的報酬』ですね。いずれも大脳基底核っつー脳のおくーのほうにある『線条体』ってとこが関わってきますが、まあ専門的な話はナシにしましょう
――と思ったけどちょっとだけ。線条体は運動機能に関わってるんだけど、人が意思決定する際にもふかーく関わっており、たとえば線条体が機能低下に陥ると対人や社会に対する恐怖心があるケースが多いんですね。さらに詳しく知りたいって方は『大脳基底核 線条体』みたいな感じでググるか、まあいちおうテケトーな論文でも紹介しておきましょうか
東京医科歯科大学
ttps://www.tmd.ac.jp/press-release/20230912-1/
承認欲求を満たすなら上記のような社会的報酬を得るのがいちばんです。よくある『バカなことやって周囲の視線をもらう』ことで承認欲求を満たすのはぁ……うーんまあちょっと違うんじゃないのかなぁと思ったりします――まあ、いちおう『知名度の向上』も承認欲求のひとつではあります
:正しい承認欲求の覚え方:
アナタがテストで100点をとったとしましょう。え? そんな高得点むりだって? ――じゃあ高得点でよろしく。なんかひとつくらいあるでしょ?
「ない」って言う方は自分の得意分野をさがしましょう。あるいは、アナタの自己肯定感が低くて"アナタ自身の強み"に気づいてないだけかもしんない。友人と相談してそれぞれの強みを話し合ってみてください
テストで高得点をゲッチュした! この時点ではまだ承認欲求ではなく社会的報酬でもありません。まだ『自分自身がよろこんだ』というだけです。そこから「平均点は何点だろう?」という疑問が出てきます
アナタが81点獲得しても、平均点が82.3点であれば社会的報酬にはなりません。だって平均点とは社会的、集団的、つまりアナタが所属するクラス全体の獲得点数より低かったという事実があるのでね
逆に平均点が61.8点とかであれば「やった!」となります。堂々とテスト用紙を机の上に置いといて称賛の声を受け止めてください
アナタがもし集団を率いる存在、上記例でいうなら学校の先生とか、ある程度の規模をまとめる課長や部長とかであれば『Iメッセージ』を使うと相手への社会的報酬になりえます。以下のような言い回しを意識してみましょう
・アナタは素晴らしい成績だね
・キミはこの部署のなかでも頑張ってくれてるよ
・ふつうの人はみんなこの手法でなんとかやってるのに、キミはこんな手を使って乗り越えたのか! すごいなぁ
人は集団に属しつつも『そのなかの自分』を意識しています。それをピックアップして集団の中のアナタをしっかり見てあげることで報酬になるんですね
これは小説、ラノベでもよく見られるシーンです。たとえばメッチャ強いキャラが主人公の前に立ちふさがって、主人公をさもモブかのように軽くあしらう。んで「〇〇国の兵はこの程度か……くだらん」みたいな言葉を言う。それに悔しさを覚えた主人公がめっさ修行してリベンジして「フッ――キサマは他の連中と違うようだな。名を名乗れ」的な感じで主人公を認めて主人公の成長を演出しつつ、主人公に感情移入してる読者のこころをトゥンクさせることもできる
まあ今は主人公が無双系になってるほうが流行ってるのでね、こういう描写はほとんどないでしょう。もしくはサブキャラでこういう演出がある感じ。心当たりあるでしょ?
:どんな方法でも"報酬"はおなじ:
上記でかるく『生理的報酬・金銭的報酬』みたいな単語も紹介しました。これらはすべて脳みそちゃんの同じトコがビクンビクンしてるわけですが、それってつまり『いずれの方法でも人は同じように"報酬"と感じる』ってことです
すなわち、本来お給料としてあげなきゃいけない金銭を「いやぁキミはすごいな!」ですませることができちゃったりするし、お金で愛を買えちゃうんだよっていう言い方もできるってことです
あ、いやもちろんアレよ? わたしたちは『金で愛を買うことはおかしい』的な倫理教育をされてる――よね? まあされてるでしょうから実際に行動に出る人はそれほど多くはありません
でもゼロじゃありません。だって報酬だもん。これは心理学、脳科学的な研究で「そう言えるよね」ということが明らかになった事実です。慈善団体に寄付をするという行為でさえ、その行為によって慈善団体や人々から「あの人は慈善団体に寄付したすばらしい人だ」という社会的報酬が得られるから、とも言えますし、いやいや寄付したことを黙っているタイプの人はどうなんだ? って疑問だって、黙っていたとしてもバレたときメッチャ称賛受けるやろなぁというイメージが容易にできるし、黙って寄付することでさらに『わたしは寄付した事実を黙っているような控えめで道徳観ある人だ』という満足感を得られたりするし――これを偽善ととらえるかどうかはアナタ次第。わたし自身はとても善い行いだと思います
ってことでみんなたっぷり寄付しましょう
国境なき医師団
ttps://www.msf.or.jp/donate/select/
日本赤十字社
ttps://www.jrc.or.jp/contribute/
日本補助犬協会
ttps://www.hojyoken.or.jp/cooperate/indivisual/donate
:報酬の種類とモチベーション:
寄付は済ませましたか? じゃあ次の話に行きましょう
心理学的な研究で、人はどのような条件で上記『報酬』の種類の優先度が変わるのか? 的な研究がいろいろ続けられてきました。その歴史は古く、たとえば1945年にあった『ろうそく問題』というのがあります
壁に密着したテーブル。そこにろうそく、マッチ、画鋲がたくさん入った箱が用意されてます。そんで「テーブルに蝋が垂れないように、ろうそくを壁に貼り付けてください」という課題をもらうんですね
被験者はだいたい画鋲でろうそくを留めようとしたり、ろうそくに火をつけて蝋を垂らし、そこにろうそくをくっつけて固定したりしようとします。が、この課題はこの手法ではうまくいかない設計になっています
これ、実は『画鋲の箱が台になる』ということに気づけるかどうかにかかってきます。なんかいい動画ないかなぁ~と思ってたら神戸大学さんがメッチャええもの作ってたのでシェアりんぐ
YouTubチャンネル、神戸大学公式チャンネル [Kobe University]
ttps://youtu.be/9UhUCOcvsDw
この問題をね、心理学者はとある条件をプラスしてやらせたんですよ
① この問題を解くのに一般的に何分かかるかを知りたい
② この問題を早く解いた上位25%に5ドル、1着は20ドル差し上げます
眼の前にエサぁチラつかせた『②』グループ、さぞメッサ早く解き終わるんやろなぁ……と思うじゃん? けどね、実際『②』のグループは『①』より平均3分半ほど余分に時間をかけちゃったんです
驚きだよねぇ……けど、さらに驚くべき実験があります
もうひとつ紹介するのは『ろうそく問題』です。いやさっきと同じじゃねーかというツッコミ、ありがとうございます。けどまって、今回は『画鋲が箱に入ってない』んです!!
それがどう違うんだって話。いやいや前回の実験では『ろうそく・マッチ・画鋲が入った箱』という認識を与えたのに対し、今回紹介する実験の場合、被験者は『ろうそく・マッチ・画鋲・箱』という認識になっているんです。これがどう違うのか?
――この実験でも『①・②』グループに分けられました。そしてなんと、こちらの実験では『②』グループが『①』グループに圧勝する成績を残したのです
さいしょのろうそく問題では『画鋲が入った箱』という固定観念をぶっ壊す作業が必要だったのに対し、今回の実験はただ『箱を台として使う』ことさえわかればいい。つまり単純作業になったんですね
上記ふたつの実験でわかったことはなにか? それは『金銭的報酬は、単純作業に関するモチベーションを強力に向上させる』ということです。さらに書けば『金銭的報酬は視野を狭めこころを集中させる』効果をもつということです
②は金銭的報酬をチラつかされた結果、眼の前の作業に集中する心理が働き上記のような結果になったのですね。ちなみに『①』グループは実験に協力し、感謝されるという社会的報酬を得る形になります。社会的報酬は単純作業の効率を上げる効果はなさそうですね
人は『報酬』を受けて、あるいは与えて相互的に社会を形成しています。それらのバランスを観察しつつ、自分自身がどのような報酬でやる気をアップさせるのか、自身の承認欲求を満足させるにはどのような工夫をすれば良いか考えてみましょう
人は社会を形成する動物です。家族、友人、クラスメートや職場仲間、上司に部下に先輩後輩まあいろんな関係がありますが、それらがチームとしてまとまっていくひとつの指標として、どうぞこれらの報酬をご活用ください
このお話が役に立った、ためになったという方は高評価をおねがいします。また「もっとわかりやすく書けよ」とか「〇〇について書いてよ」的なコメントをいただければ嬉しいです。具体的に挙げてくださるとさらにテンション上がりまくります
では、アナタの集団生活に幸多からんことを