【第二話】お着替えっ!(前編)
彼女の姿は、ザ・魔法少女と言えるくらい特徴的だった。このままでは、外出できない。
魔法界へ帰れない、ヨルンデ。
「そうなの。呪文をとなえて、ニンゲンカイへ着こうとする5秒前くらいに悟ったの。この魔法を使ったその瞬間から、私は4ヶ月ほど魔法が使えなくなった。だから、他の人に変身することが出来ない。ただ、ニンゲンカイで活動するにしても、私はイルボン、ましてやこの世界中どこの国へ行っても、戸籍が存在しないから、就職したり、学校へ入学したりも出来ない。あ、私は19歳ね。」
「ふ〜ん、19歳か。それは置いておいて…う〜ん、仕方ない。4ヶ月くらいなら…何とかする。ただし、一つだけ条件がある。それは、『料理をする』ということだ。ご飯を炊いたり、揚げ物を揚げたり。俺は、はっきり言って料理下手なんだ。だから、とびきり旨い飯を頼む。」
「…また仕方ないよね。こうでもしないと、ニンゲンカイで生きていけないもんね。分かった。」
「おけ。ただ、それにしてもこの格好は派手やねぇ。何と言ったらいいのか。ザ・魔法少女的な…。こういうのを好むオッサンもいるけれど、多くの人は君のことを白い目で見るだろう。それにしても君…」
「たしかにね。…って、変な妄想はやめてよね!」
「ああ、ごめん。だが、この格好で町中を歩けば、たちまち有名人だ。」
「分かった。着替えるね。」
「う〜ん。今は難しいな。ぶっちゃけ、俺は生粋の男。女性向けの服なんて置いてないからな…。」
「じゃあ買えば良いじゃん。」
「ただね、親でもない男が、女性の下着を買うとか、恥ずかしいったらありゃしない」
「まあ我慢してよ。私と同棲(?)するの、楽しみでしょう。私と毎晩楽しく会話するのが楽しみでしょ。それだったら、頑張って耐えて買ってきなさいよ。」
そう言われると、困る。しかし、彼女は俺の好みの娘だ。かなりスタイルも良い。顔つきも良い。こりゃあ得じゃないか。
「分かった。服を買ってこればええんやろ。行ってきます」
「ヨルンデ君、アリガトーーッ!」
可愛い。俺のハートは射抜かれた。彼女の、この「アリガトーーッ!」て言うのが本当に可愛い。愛でたい。俺はついつい興奮してしまった。
そして、俺は駅へ向かう。この辺りは、いい感じの服屋さんが無いので、電車を使い、街の中心へと行く。土日は、基本家に籠もっているので、何だか新鮮だ。そうして、程なくして最寄り駅に到着した。それなりの田舎で、単線。本当に大阪の隣県だとは思えぬ。俺は、やってきた電車に乗る。4両編成。人はまばらで、空席が目立っていた。大学へ行くときは、比較的混んでいる。終点で、別の列車に乗り換えて、またまた乗り換えて、そこからバスに乗る。
「いやあ、ヨルンデは最高の『彼女』だなぁ。かなり可愛いし、家事得意そうだし。あの時、あの番組を見ててよかったなあ。」
そう思いながら、呑気に携帯電話を見る。そこには、一件のメールが届いていた。親友の花月敬斗からだ。何々、と興味を持った。…え。マジで!?俺は非常に驚いた。電車の中だからあれだけど、家にいるときだったら発狂していたであろう。何と、彼に彼女が出来たのだ。俺はヨルンデがいるから、憎いわけではない。彼は、生粋のオタクなのである。そう、絶対モテないようなオタクだ。そんな彼に彼女が出来たのか…。俺は、ちょっぴり悲しくなった。
「まあ、気にすんな自分。俺にゃヨルンデがおるんちょぎむだ。」
約20分して、電車は終点の駅に着いた。駅前には、阪急百貨店や西友などがある。地方都市にしては、それなりに充実している駅前ではないだろうか。
「さあ、どこへ行き、どこで買おうか。」
俺は、改札を出て立ち止まり、地図を開いた。土地勘がアレなので、俺は常に地図を持ち歩いている。
「う〜ん。やっぱし阪急だな。阪急百貨店は何でも揃っている。では、南の出口から出て、少し南へ歩こう。」
俺は、地図を片手に歩き出した。
「いやあ、川西の中心部を歩くのはいつぶりだろうか。いつも光風台か山下で何かと済ましていたからなぁ。」
俺はココロの中でそう思った。そう、俺の最寄りは笹部駅。かなり山が近くまで迫っており、雰囲気はバツグン。ただ、施設の充実度は微妙なところである。だから、歩いて山下まで行って買い物する。
「この辺はやっぱり栄えているな。だが、宝塚や尼崎、西宮と比べたら、何かな…」
「そうなの。呪文をとなえて、ニンゲンカイへ着こうとする5秒前くらいに悟ったの。この魔法を使ったその瞬間から、私は4ヶ月ほど魔法が使えなくなった。だから、他の人に変身することが出来ない。ただ、ニンゲンカイで活動するにしても、私はイルボン、ましてやこの世界中どこの国へ行っても、戸籍が存在しないから、就職したり、学校へ入学したりも出来ない。あ、私は19歳ね。」
「ふ〜ん、19歳か。それは置いておいて…う〜ん、仕方ない。4ヶ月くらいなら…何とかする。ただし、一つだけ条件がある。それは、『料理をする』ということだ。ご飯を炊いたり、揚げ物を揚げたり。俺は、はっきり言って料理下手なんだ。だから、とびきり旨い飯を頼む。」
「…また仕方ないよね。こうでもしないと、ニンゲンカイで生きていけないもんね。分かった。」
「おけ。ただ、それにしてもこの格好は派手やねぇ。何と言ったらいいのか。ザ・魔法少女的な…。こういうのを好むオッサンもいるけれど、多くの人は君のことを白い目で見るだろう。それにしても君…」
「たしかにね。…って、変な妄想はやめてよね!」
「ああ、ごめん。だが、この格好で町中を歩けば、たちまち有名人だ。」
「分かった。着替えるね。」
「う〜ん。今は難しいな。ぶっちゃけ、俺は生粋の男。女性向けの服なんて置いてないからな…。」
「じゃあ買えば良いじゃん。」
「ただね、親でもない男が、女性の下着を買うとか、恥ずかしいったらありゃしない」
「まあ我慢してよ。私と同棲(?)するの、楽しみでしょう。私と毎晩楽しく会話するのが楽しみでしょ。それだったら、頑張って耐えて買ってきなさいよ。」
そう言われると、困る。しかし、彼女は俺の好みの娘だ。かなりスタイルも良い。顔つきも良い。こりゃあ得じゃないか。
「分かった。服を買ってこればええんやろ。行ってきます」
「ヨルンデ君、アリガトーーッ!」
可愛い。俺のハートは射抜かれた。彼女の、この「アリガトーーッ!」て言うのが本当に可愛い。愛でたい。俺はついつい興奮してしまった。
そして、俺は駅へ向かう。この辺りは、いい感じの服屋さんが無いので、電車を使い、街の中心へと行く。土日は、基本家に籠もっているので、何だか新鮮だ。そうして、程なくして最寄り駅に到着した。それなりの田舎で、単線。本当に大阪の隣県だとは思えぬ。俺は、やってきた電車に乗る。4両編成。人はまばらで、空席が目立っていた。大学へ行くときは、比較的混んでいる。終点で、別の列車に乗り換えて、またまた乗り換えて、そこからバスに乗る。
「いやあ、ヨルンデは最高の『彼女』だなぁ。かなり可愛いし、家事得意そうだし。あの時、あの番組を見ててよかったなあ。」
そう思いながら、呑気に携帯電話を見る。そこには、一件のメールが届いていた。親友の花月敬斗からだ。何々、と興味を持った。…え。マジで!?俺は非常に驚いた。電車の中だからあれだけど、家にいるときだったら発狂していたであろう。何と、彼に彼女が出来たのだ。俺はヨルンデがいるから、憎いわけではない。彼は、生粋のオタクなのである。そう、絶対モテないようなオタクだ。そんな彼に彼女が出来たのか…。俺は、ちょっぴり悲しくなった。
「まあ、気にすんな自分。俺にゃヨルンデがおるんちょぎむだ。」
約20分して、電車は終点の駅に着いた。駅前には、阪急百貨店や西友などがある。地方都市にしては、それなりに充実している駅前ではないだろうか。
「さあ、どこへ行き、どこで買おうか。」
俺は、改札を出て立ち止まり、地図を開いた。土地勘がアレなので、俺は常に地図を持ち歩いている。
「う〜ん。やっぱし阪急だな。阪急百貨店は何でも揃っている。では、南の出口から出て、少し南へ歩こう。」
俺は、地図を片手に歩き出した。
「いやあ、川西の中心部を歩くのはいつぶりだろうか。いつも光風台か山下で何かと済ましていたからなぁ。」
俺はココロの中でそう思った。そう、俺の最寄りは笹部駅。かなり山が近くまで迫っており、雰囲気はバツグン。ただ、施設の充実度は微妙なところである。だから、歩いて山下まで行って買い物する。
「この辺はやっぱり栄えているな。だが、宝塚や尼崎、西宮と比べたら、何かな…」