残酷な描写あり
魔女と彼女と昼休み
翌日しんどい気持ちを引きずりながら学校へ向かう。
もう彼女は学校には来ないだろう、そう思いながら陰鬱として授業を聞き流した。
昼休み。
彼女と過ごしたいつもの場所へ。
もう彼女は居ないだろうと思いながら行く。
「やぁ」
いつもと変わらない感じでそこには彼女が居た。
「なんで、居るの?」
「なんでって、いつもいるじゃない」
彼女は不思議そうな顔で首を捻る。
「もしかして昨日のことを考えてる?」
「そりゃ、そうだろ。昨日あったことをなかったことには出来ない」
彼女は一つため息を吐くと「君はいちいち気にしすぎなんだよ」と彼女は笑った。
昨日斬った彼女の首を見ると見慣れないチョーカーを着けていた。
それは?とチョーカーを指すと、彼女はバツが悪そうにチョーカーを撫でた。
またため息を一つ吐くと、チョーカーを外して僕に見せる。
外したところには丁度輪になるように傷跡が残っている。
「この傷跡は治らなかったんだよね、でもデートの記念ってことで良いかなって。ついでに傷物にされたし責任取ってね♡」
「お前の口から♡が出るのはちょっとキモいかも」
そう言うと僕らは顔を見合わせて笑った。
きっと僕にとって彼女が恋する相手ではなく、友人であったのならこれ以上に良い関係もなかったのだろうなと思った。
彼女もきっとそう思っているからこそ、今日もこうして来たのだろう。
来てくれたことは、素直に嬉しかった。
僕らが話をする間、彼女は時折首の傷を撫でていた。
僕は彼女に「首が痛む?」と聞く。
「痛むわけではないんだけど、ずっと、それこそ気の遠くなるくらいずっとなかったものだから違和感があるのよね」
彼女はハニカミながらそう答えた。
僕のつけた傷……。そう考えるとなんだか少し罪悪感が芽生える。
どんな風に彼女を斬っても元通りになると思っていただけに、影響が少し落ちる外ではやっぱりこっちにも可能性はあるってことか。
「なーに、考えてるのー」
彼女にジト目で顔を覗かれる。
「なんで治らなかったのかなって」
「そんなことより、さ。私は君が外でも剣を顕現できるようになっていた方が驚きなんだけど!!」
本来君には出来ないはずだったんだけどなぁなどと彼女は一人で呟いていた。
「コイツの所為じゃないの?」
僕は自分の胸を指しながら、彼女に問うた。
「それくらいじゃ、箱の中以外で顕現するのは難しいはずよ。そのうえ私の首を斬り落とすレベルの密度を持たせるなんて本来は不可能なはずなんだけどな」
彼女は手刀で自分の首を斬るジェスチャーをしながら言った。
彼女に言われて剣を出そうとしてみる。
いつものように剣が顕現する。
「ホントにいつでも出せるのね」
少し関したように彼女は僕の剣をマジマジと見る。
「あなたの剣って出るたびに色や形状がちょっとずつ変わるのね」
そういえば色の変化には気づいていたけど、形まで変化していたのか。
形状は言われてみればだけど、どんどん薄く幅が広がっていっている気がする。
色も濃いピンクへと変わっていっているように見える。
「あなたの覚悟も少しだけ見られたわけだし、そろそろ決着をつけましょうか。ね?」
彼女はそう言うと人差し指で僕の胸をトントンと突く。
彼女はきっと僕の中にいる彼に語り掛けたのだろう。
学校で僕と居る時は、魔女の彼女ではなく、学校での彼女でいて欲しかったからちょっとモヤッとする。
これはおそらくいきなり出てきて僕の中で居座っている彼への嫉妬でもあるのだろうな、とどこか冷静な自分がいる。
そんなことよりも
「決着ってどこでどうやって?」
僕らは最後の望みだと思っていた外での攻撃すら届かなかったのだ、それ以上にどこがあるというのだろうか。
「私と彼とが戦った、初めての場所よ。今のあなたなら私の心臓を突けば、死ぬんじゃないかしら。ふふふ」
そういうと彼女は笑った。
自分の死を笑うなんて……。
僕にはその感覚はやっぱりわからない。
わからないけど、彼女はただ愉快そうに笑っている。
彼女の笑い声の間で昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴る。
「あっ、もう昼休みも終わりかー。じゃあ、また明日ね」
彼女はそう言って、この場から立ち去る。
僕はその背中が見えなくなるまで見送って、教室へ戻った。
もう彼女は学校には来ないだろう、そう思いながら陰鬱として授業を聞き流した。
昼休み。
彼女と過ごしたいつもの場所へ。
もう彼女は居ないだろうと思いながら行く。
「やぁ」
いつもと変わらない感じでそこには彼女が居た。
「なんで、居るの?」
「なんでって、いつもいるじゃない」
彼女は不思議そうな顔で首を捻る。
「もしかして昨日のことを考えてる?」
「そりゃ、そうだろ。昨日あったことをなかったことには出来ない」
彼女は一つため息を吐くと「君はいちいち気にしすぎなんだよ」と彼女は笑った。
昨日斬った彼女の首を見ると見慣れないチョーカーを着けていた。
それは?とチョーカーを指すと、彼女はバツが悪そうにチョーカーを撫でた。
またため息を一つ吐くと、チョーカーを外して僕に見せる。
外したところには丁度輪になるように傷跡が残っている。
「この傷跡は治らなかったんだよね、でもデートの記念ってことで良いかなって。ついでに傷物にされたし責任取ってね♡」
「お前の口から♡が出るのはちょっとキモいかも」
そう言うと僕らは顔を見合わせて笑った。
きっと僕にとって彼女が恋する相手ではなく、友人であったのならこれ以上に良い関係もなかったのだろうなと思った。
彼女もきっとそう思っているからこそ、今日もこうして来たのだろう。
来てくれたことは、素直に嬉しかった。
僕らが話をする間、彼女は時折首の傷を撫でていた。
僕は彼女に「首が痛む?」と聞く。
「痛むわけではないんだけど、ずっと、それこそ気の遠くなるくらいずっとなかったものだから違和感があるのよね」
彼女はハニカミながらそう答えた。
僕のつけた傷……。そう考えるとなんだか少し罪悪感が芽生える。
どんな風に彼女を斬っても元通りになると思っていただけに、影響が少し落ちる外ではやっぱりこっちにも可能性はあるってことか。
「なーに、考えてるのー」
彼女にジト目で顔を覗かれる。
「なんで治らなかったのかなって」
「そんなことより、さ。私は君が外でも剣を顕現できるようになっていた方が驚きなんだけど!!」
本来君には出来ないはずだったんだけどなぁなどと彼女は一人で呟いていた。
「コイツの所為じゃないの?」
僕は自分の胸を指しながら、彼女に問うた。
「それくらいじゃ、箱の中以外で顕現するのは難しいはずよ。そのうえ私の首を斬り落とすレベルの密度を持たせるなんて本来は不可能なはずなんだけどな」
彼女は手刀で自分の首を斬るジェスチャーをしながら言った。
彼女に言われて剣を出そうとしてみる。
いつものように剣が顕現する。
「ホントにいつでも出せるのね」
少し関したように彼女は僕の剣をマジマジと見る。
「あなたの剣って出るたびに色や形状がちょっとずつ変わるのね」
そういえば色の変化には気づいていたけど、形まで変化していたのか。
形状は言われてみればだけど、どんどん薄く幅が広がっていっている気がする。
色も濃いピンクへと変わっていっているように見える。
「あなたの覚悟も少しだけ見られたわけだし、そろそろ決着をつけましょうか。ね?」
彼女はそう言うと人差し指で僕の胸をトントンと突く。
彼女はきっと僕の中にいる彼に語り掛けたのだろう。
学校で僕と居る時は、魔女の彼女ではなく、学校での彼女でいて欲しかったからちょっとモヤッとする。
これはおそらくいきなり出てきて僕の中で居座っている彼への嫉妬でもあるのだろうな、とどこか冷静な自分がいる。
そんなことよりも
「決着ってどこでどうやって?」
僕らは最後の望みだと思っていた外での攻撃すら届かなかったのだ、それ以上にどこがあるというのだろうか。
「私と彼とが戦った、初めての場所よ。今のあなたなら私の心臓を突けば、死ぬんじゃないかしら。ふふふ」
そういうと彼女は笑った。
自分の死を笑うなんて……。
僕にはその感覚はやっぱりわからない。
わからないけど、彼女はただ愉快そうに笑っている。
彼女の笑い声の間で昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴る。
「あっ、もう昼休みも終わりかー。じゃあ、また明日ね」
彼女はそう言って、この場から立ち去る。
僕はその背中が見えなくなるまで見送って、教室へ戻った。