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作者: 神無城 衛
*2*
 後から来たルイーサはエックハルト艦隊の救助に追われていた。エックハルト艦隊の後方にいる本隊に認知できない範囲を交戦領域にして、そこですべての艦を動かなくするアンダーソン元帥の手腕は見事のひと言に尽きる。
 この作戦に応じ、イレギュラーな状況の中絶妙な距離で交戦したエックハルトの手腕もまた見事だった。
 アンダーソン元帥と会談したエックハルトが最初に申し出たのは部下の権利の保障で、元々孤児で今も学生に過ぎない彼らの保護と、戦争に縛られない自由な生き方を保証してほしいということだった。捕虜の裁量権を与えられていたアンダーソン元帥はそれを承諾し、離反組すべての敵対行動を不問とし、今後の処遇についてはアダルヘイムに任せるとした。
 その後彼らの艦隊は応急修理と武装解除の上、シリウス星系に送られることとなった。

「ところでおじさま、携帯端末に連絡した時にお出にならなかったのはなぜですか?」
「ん?」
エックハルトはポケットの中をかき回してハッとした。
「すまない、どうやらヨトゥンヘイム要塞に着けている空の僚艦に置き忘れてきたらしい」
「まぁ、仕方ないわね。お父様とアンダーソン元帥に相談して新しい端末を回してもらいましょう」
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