Exspetioa2.12.20
昨晩、夢を見ました。
昨日の日中、ニゲラ様を見た時に一瞬見えた、あの不思議な映像が再びよみがえってきたのです。
ニゲラ様は、光沢感のある黒の短いスカートを履き、短い羽織を着ていらっしゃいました。そして、私を見降ろすように立ち、銃口を向けていらっしゃいました。
「どうして、ニゲラ……君は、孤独を知っているのに……どうして、僕を……僕を、愛して……」
初めて聞く低いお声が聞こえてきました。
「煩いわ」
ニゲラ様のお声が冷たく吐き捨てられました。
遠くから、悲鳴のようなお声が、「神様!」と口々に叫びました。
「私の楽園は、私がつくる」
ニゲラ様はそうおっしゃると、容赦なく、引き金を引きました。
私の夢は、ここまでです。これは、夢だったのでしょうか。それとも、私の中にある記憶……?
私は、だんだんと不安になってきました。何がかはわからないのですが、どうしても落ち着かなかったのです。朝の光は、まだ昇っていませんでした。私は、ニゲラ様のお部屋に走りました。ニゲラ様はまだ眠っていらっしゃいましたが、私の足音に気付いたのでしょう――瞼を擦りながら体を起こしてくださいました。
「珍しいわね、セナ。悪い夢でも見たの?」
やさしいお声に、不安が全部溶けていくようになって……私は、ぼたぼたと涙を流してしまいました。
ニゲラ様は少しびっくりした様子で、
「入って」
と布団をめくり、私を招き入れてくださいました。私は涙を拭いながらお邪魔しました。ニゲラ様のぬくもりと、ニゲラ様の濃い香りに包まれて、不安で凍っていた心が溶けていくようでした。
私は、少しずつ夢のことを話しました。
ニゲラ様は、私の肩をやさしく抱きしめ、
「大丈夫。あなたは、何も恐れることなんてないの。私は、あなたを愛してる」
と、ささやき、額にキスをくださいました。
あの時はただ怖くて泣いていたためにあまりびっくりしなかったのですが、今思い返すと、とても恥ずかしいです……。
ニゲラ様のおかげで、その後の時間は、落ち着いて過ごすことができました。礼拝、食事、祈り、「神の学び」。色々な時間で少しずつ、夢のこと、そして、夢に対する自分の気持ちを整理しました。
休息の時間、私はニゲラ様に、夢について考えたことをお話ししました。
私は、どうしてもあの夢は、記憶――つまり、現実だったようにしか思えないのです。
だとすると、私は、あの場にいたことになります。
私は、何ものなのでしょう。もしかしたら、ニゲラ様を傷つけたのでしょうか。でも、ニゲラ様は私を「愛してる」とおっしゃってくださっています。ニゲラ様が私にそんな気持ちを向けてくださっているのは、過去の出来事と何か関係があるのでしょうか。
色々な想いが渦巻く中で、自分の知らない自分が過去に存在していたかもしれない……その怖さが一番にありました。
「ニゲラ様は、私をご存知ですか?」
「あなたはセナよ」
「それはそうなのですが……もしかしたら、過去の私をご存知なのではないかと……」
ニゲラ様は、私の頬を、指で一度、くすぐられました。
「あなたはセナ。私が言える真実はそれだけ」
私はもやもやを抱えたまま、午後の「神の学び」に向かいました。
私は、夢の話をし、マザーに、何かご存知ないか尋ねました。マザーは北の修道院ご出身。そして、神様の記憶をおもちです。マザーなら、すべてを知っていらっしゃるはず。
「私は、何ものなのですか」
マザーは、しばらく沈黙して、
「もう少ししたら教えてあげる」
とおっしゃいました。
やはり、マザーは何か知っていらっしゃるようです……。
「もう少し」の日が待ちきれず、とてももやもやしているのですが、なんとか辛抱し、穏やかにその日を待ちたいと思います。
神様、どうか、明日を穏やかに迎えられますよう、お導きください。
昨日の日中、ニゲラ様を見た時に一瞬見えた、あの不思議な映像が再びよみがえってきたのです。
ニゲラ様は、光沢感のある黒の短いスカートを履き、短い羽織を着ていらっしゃいました。そして、私を見降ろすように立ち、銃口を向けていらっしゃいました。
「どうして、ニゲラ……君は、孤独を知っているのに……どうして、僕を……僕を、愛して……」
初めて聞く低いお声が聞こえてきました。
「煩いわ」
ニゲラ様のお声が冷たく吐き捨てられました。
遠くから、悲鳴のようなお声が、「神様!」と口々に叫びました。
「私の楽園は、私がつくる」
ニゲラ様はそうおっしゃると、容赦なく、引き金を引きました。
私の夢は、ここまでです。これは、夢だったのでしょうか。それとも、私の中にある記憶……?
私は、だんだんと不安になってきました。何がかはわからないのですが、どうしても落ち着かなかったのです。朝の光は、まだ昇っていませんでした。私は、ニゲラ様のお部屋に走りました。ニゲラ様はまだ眠っていらっしゃいましたが、私の足音に気付いたのでしょう――瞼を擦りながら体を起こしてくださいました。
「珍しいわね、セナ。悪い夢でも見たの?」
やさしいお声に、不安が全部溶けていくようになって……私は、ぼたぼたと涙を流してしまいました。
ニゲラ様は少しびっくりした様子で、
「入って」
と布団をめくり、私を招き入れてくださいました。私は涙を拭いながらお邪魔しました。ニゲラ様のぬくもりと、ニゲラ様の濃い香りに包まれて、不安で凍っていた心が溶けていくようでした。
私は、少しずつ夢のことを話しました。
ニゲラ様は、私の肩をやさしく抱きしめ、
「大丈夫。あなたは、何も恐れることなんてないの。私は、あなたを愛してる」
と、ささやき、額にキスをくださいました。
あの時はただ怖くて泣いていたためにあまりびっくりしなかったのですが、今思い返すと、とても恥ずかしいです……。
ニゲラ様のおかげで、その後の時間は、落ち着いて過ごすことができました。礼拝、食事、祈り、「神の学び」。色々な時間で少しずつ、夢のこと、そして、夢に対する自分の気持ちを整理しました。
休息の時間、私はニゲラ様に、夢について考えたことをお話ししました。
私は、どうしてもあの夢は、記憶――つまり、現実だったようにしか思えないのです。
だとすると、私は、あの場にいたことになります。
私は、何ものなのでしょう。もしかしたら、ニゲラ様を傷つけたのでしょうか。でも、ニゲラ様は私を「愛してる」とおっしゃってくださっています。ニゲラ様が私にそんな気持ちを向けてくださっているのは、過去の出来事と何か関係があるのでしょうか。
色々な想いが渦巻く中で、自分の知らない自分が過去に存在していたかもしれない……その怖さが一番にありました。
「ニゲラ様は、私をご存知ですか?」
「あなたはセナよ」
「それはそうなのですが……もしかしたら、過去の私をご存知なのではないかと……」
ニゲラ様は、私の頬を、指で一度、くすぐられました。
「あなたはセナ。私が言える真実はそれだけ」
私はもやもやを抱えたまま、午後の「神の学び」に向かいました。
私は、夢の話をし、マザーに、何かご存知ないか尋ねました。マザーは北の修道院ご出身。そして、神様の記憶をおもちです。マザーなら、すべてを知っていらっしゃるはず。
「私は、何ものなのですか」
マザーは、しばらく沈黙して、
「もう少ししたら教えてあげる」
とおっしゃいました。
やはり、マザーは何か知っていらっしゃるようです……。
「もう少し」の日が待ちきれず、とてももやもやしているのですが、なんとか辛抱し、穏やかにその日を待ちたいと思います。
神様、どうか、明日を穏やかに迎えられますよう、お導きください。