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作者: 金星タヌキ
R-15
part Aki 5/13 am 6:09



 コンビニへと続く最後の坂道を愛用のママチャリで下る。
 駐車場が見えたけど こんのさんの姿は 見えない。……たいてい 先に来て待っててくれるのにな…。少し残念な気持ちになるけど まぁ そういう日もあるさ。国道の角で自転車を降り〈烈風伝〉の方を見ると ちょうど こんのさんが扉から出てくるところだった。

 ボクに気づいてくれたのか ダッシュでこっちに向かって来てくれる。相変わらずの大荷物だけど 走り方のフォームが綺麗だ。信号が点滅し始めてたけど 気にせず駆け渡ってくる。短めのスカートから伸びる 健康的な白い太腿が 五月の朝日に光って 眩し過ぎる。

 
「こんのさん おはようございます」

「はぁ はぁ あきちゃん 中間試験 はぁ いつから…?」

 
 こんのさんの話は たいてい唐突に始まる。……この感じも だいぶ慣れてきた。

 
「再来週の23日からですけど… どうかしました?」

「じゃあさ 聖心も来週は 部活禁止期間?」

 
 部活禁止期間… そういや そうなるのかな? うちの学校の美術部は かなり緩い。さすがに文化祭前とかは みんな来るけど それ以外の時期は 基本自由参加だ。一応 毎週 水曜日にミーティングは あるけど 気が向いたら 美術室へ行って作品製作 みたいなスタイル。
 ボクも聖歌隊の活動がメインだし…。
 まぁ 聖歌隊も火曜日の礼拝以外は 朝の声出しと昼休み練習ぐらいで 1日1時間くらいしか活動していないワケだけど。部活中心に生活のすべてを送っている こんのさんとは まったく別世界の高校生活だ。

 
「あー そうです。確か そうだったと思います」

「あのさ じゃあさ 来週のどっかで 学校の帰りに一緒にお茶しよ? どっかお店寄ってさ ちょっと ゆっくり話さない?」

 
 学校帰りに どっかお店に寄って ちょっと話すとか ボクの基準では 完全に〈デート〉! こないだから考えていた デート計画とは 違う形になったけど こんのさんと2人でお茶… 夢みたいだ。……いや わかってる。ボクだってなっちゃん達と学校帰りにコンビニのカフェでアイスティー啜ったりすることもある。こんのさんにとっては〈友達とお茶する〉だけなんだ。それでも 友達認定だったとしても ボクと『ゆっくり話したい』なんて言ってもらえるとか… 幸せ過ぎる。
 もしかして 夢見てるんだろうか…?
 ………。
 ……。
 …。



                           to be continued in “part Aki 5/13 am 6:17”





 
 
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