R-15
part Aki 7/23 pm 1:55
「ありがとね~。楽しかったわ。また 近くに来たら寄ってちょうだいね?歓迎するから~」
七海さんに 見送られて 七海堂をあとにする。
外は 相変わらず暑いけど ハーブティーの効果なのか 少し爽やかな気分。ちょっと元気が出てきた気がする。
『てっきり男の子だとばっかり思ってたんだけど 女の子みたいな格好してるしさ…』
七海さんが そう言ったときは この人何を知ってるんだ!?……って 超ビビった。店の 神秘的な雰囲気とか 七海さんの思わせ振りな態度とかに 引き込まれて てっきりボクの秘密に気づかれたって思っちゃった。眼を覗き込まれて『知ってるのよ?』って感じで悪戯っぽく微笑まれると 頭の中は 真っ白。目眩がして 部屋中のモノがグルグル回ってる感覚に襲われた。
絶対 バレてる。
誤魔化しようもないくらい 七海さんは 確信してるんだって そのときは 完全に思った。
『なんでボクが男だって知ってるんですか?』
って 声に出して言いそうになった瞬間に こんのさんの声が店中に響いた。
『あっ あの あたし こんなカッコしてて デカいし ガサツだし 間違われるのも仕方ないのかもしれないんですけど…… いっ 一応 女なんです』
いつものことながら 目が点になる。
どう考えたって さっきの会話の対象は ボクであって こんのさんじゃあない。しかも こんのさんのことを 男と間違えるとか有り得ない。確かに背は 高いけど 顔立ちは女の子っぽいし 服装も体型も女の子。けど こんのさん的には 他の人に男っぽいって思われてるんじゃないかって いつも気にしてたから あの発言になったんだろう。そういえば 前に『一重瞼が男っぽくて…』みたいなこと言ってたけど あれって けっこう本気だったんだな…。
でも こんのさんを男とは 間違えないだろ……フツー?
とはいえ これは ボク自身にも当てはまる。
ボクだって顔立ちも 服装も 体型も 完全に女の子(身長も…だ)。もしかしたら 立ち居振舞いとかは 男っぽいとこがあるかもしれないけど 店に入ってきてからの少しの時間に見抜かれるレベルじゃないハズ。オーラとか そういうのが見えて分かるってゆーんならともかく 普通にボクを見て男だと思うってゆー方がどうかしてる。
少し落ち着いて よく考えてみたら ママに連れられて 桜橋の七海堂に行き始めたころは まだ 小学生で髪も短くしてたし 服装も男の子っぽい格好してた。それが 中学になったら 急に女の子らしい服装になり 髪の毛はツインテールだ。前の格好を知ってる人にしてみれば『何があったの?』ってゆーのも当然かも。
〈不思議な雰囲気〉ってゆーなら 七海さんの方が断然ミステリアス。年齢不詳でアンティークショップ経営の美女で自称〈魔女〉。ハーブティーも〈魔女の手作り〉とか書いてるし。さっきのお茶の〈夏の夜の夢〉ってゆーのも 元ネタは 魔法の森が出てくるお話のハズ。
七海さん自身のセルフプロデュースもあると思うけど 神秘的な女性って感じがスゴくするから オーラとか見えてそうとか思ってしまう。そんな雰囲気に吊られて 思わず大変なことをカミングアウトしてしまうところだった。まぁ こんのさんの天然発言のおかげで 助かったワケだけど…。あんまり意識し過ぎると 逆にポロっと喋っちゃいそうだから 気をつけないとね。
神秘的って話で言うと こっちの店では まだ見てないけど 桜橋の店ではタロットカードとかの占いグッズも売ってる。場合によっては七海さんに占ってもらえることもあるみたい。占い師でもあるってあたりで 余計に神秘的って感じてしまうのかな…?
たぶん 気がついてると思うけど ボクは けっこう占いが好きだ。
ってゆーか気になるタイプ。本気の本気で信じてるワケじゃないけど 運気とか運命とかって やっぱり あるんじゃないかなって 心の片隅で思ってる。そんなボクとしては できることなら こんのさんとの相性とか占って欲しいワケなんだけど そんなこと頼んだら それこそ 中身が男ってバラしてることになるしな…。
ちなみに 今朝は 起きるのが少し遅かったから TVの星占いは見逃したけど 行きの電車の中で スマホを使って運勢は チェック済み。
10月17日生まれ 天秤座のボクの運勢は 総合運3。恋愛運4。 金銭運は3。まぁまぁ…ってとこかな。ラッキーアイテムは ティッシュで ラッキーカラーは 赤らしい。ティッシュは トートバッグに入ってるけど 赤いモノは 無かった気がする…。
5月19日生まれ 牡牛座のこんのさんの運勢は 総合運5。恋愛運5。金銭運4。で絶好調。『恋愛:運命的な出会いがあるかも』ってゆーのは ボク的には ハズレて欲しいけど…。ラッキーアイテムはDVD。ラッキーカラーは クリーム色。
そういえば さっき七海さんから買ってたレースの端切れ クリームベージュだったよね。
こんのさんに 良いことありますように…。
………。
……。
…。
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3章の終わりまで 読んでいただきありがとうございます。
買い物デート いかがだったでしょうか?
街の設定やお店の叙述など 作者の趣味全開の3章でした…。
起承転結で言うと【承】の部分になるのかなぁと思います。
これまで順調(?)に仲良くなってきた2人にも【転】が訪れます。
次回から第4章。
街に雨が降ります。
雨降って地固まるとなるのでしょうか?
それとも……。
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to be continued in “Chapter 4 :A Midsummer Night Dream”