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作者: 金星タヌキ
R-15
part Kon 7/24 pm 9:46



 帰りの電車の中も あきちゃんは ショック状態継続。

 
 たぶん 何か言いたいことがあるんだってゆーのは 判るんだけど。
 俯いて何か考えてたかと思うと 何か言いたそうに あたしの方を見てたりする。
 
 でも『どうしたの?』って訊くと 目を逸らしてゴニョゴニョ言うってことの繰り返し。

 どんなこと言おうとしてるのか 見当もつかないから 助け船も出せない。
 あたしが もう少し賢かったら 巧く聞き出せたかもしれないけど。
 
 アヤノさんが 性同一性障害ってことと あきちゃんがあたしに伝えたいこと。
 そこの間に嵌まるピースが何なのか?

 
 結局 何も解らないままに 電車は 桜橋に着く。


 
 
 改札口を出たところに綺麗な女の人が1人立っていて こちらに手を振りながら駆け寄ってくる。

 
「お帰りなさい 亜樹ちゃん」

「ただいま ママ…」

 
 思った通り あきちゃんのお母さんみたいだ。
 50手前ってハナシだったけど どう見ても30代にしか見えない。
 
 あきちゃんに よく似た顔立ちだけど お母さんの方が いかにもハーフって雰囲気。
 身長は あきちゃんよりも高くて160㎝越えたくらいかな?

 
 あきちゃんフラフラだし心配だったけど お母さんに会えたなら一安心。

 
「じゃあ もう夜遅いんで 帰りますね。あきちゃん 今日は ありがと。またね~」

 
 そう言い残して 立ち去ろうとするけど お母さんに引き留められる。

 
「あの 紺野さん お家まで送るから 車 乗ってってちょうだい」

「いや もう直ぐそこなんで大丈夫です。ありがとうございます」

「ダメよ。女の子の1人歩きは危ないから。ほら 乗って」

 
 そう言って ターミナルに停められた赤色の高級車に 押し込まれる。

 
「背が高いのねぇ。何㎝? それに スゴい美人。そのお化粧 自分でしたの?」

 
 お母さんが 矢継ぎ早に話しかけてくる。

 
「174㎝です。いえ これは あきちゃんに…。 あっ そこのコンビニで停めてもらったら…」

「そこのお好み焼き屋さんでしょう? お店の横につけるわね」

 
 そう言って信号を右折して 裏口の前に車を停めてくれる。

 
「あの 送っていただいて ありがとうございました」

「ううん いいのよ。ちょっとお話 してみたかったし。真面目そうな子で 安心したわ。また 家にも 遊びに来てくださいね」

「はい。ありがとうございます。あきちゃん じゃあ また。後で メッセージ送るね」

「あー はい…。じゃあ また…」

 
 車の中でも あきちゃんは ほとんど 口を開かなかった。
 
 ホントに どーしちゃったんだろ?
 お母さんと一緒だから 家には 帰れるだろうけど。
 心配な気持ちと一緒に テールランプが 角を曲がるまで見送った。
 ………。
 ……。
 …。

 

「ただいま~」

 
 裏口から家に入ると 厨房から ママが血相変えて飛んできた。

 
「アンタ 今日 デートだったんだって!? 相手は どんな男なんだい? ……避妊は ちゃんとしてるんだろうね?」

 
 ……うっわ。
 マジか。
 
 なんか 面倒なことに なってる。
 ヤレヤレだ…。
 ………。
 ……。
 …。
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5章の終わりまで 読んでいただきありがとうございます。

紺野さんの勇気を振り絞った告白は 空振り。
亜樹は 性同一性障害をカミングアウトしたAYANO.にショックを受けます。

2人の関係は 大きく動き始めましたが もう一歩 届きません。
6章は 亜樹のお誕生日デートです。

最終章になります。
もどかしい2人を最後まで 見守っていただければと思います。

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                      to be continued in “Chapter 6:A Fairy-tale ”
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