残酷な描写あり
R-15
第26話 夕焼けの教室にて、少女は対峙する
夕日が照らす一年A組の教室でこれから帰ろうとする明嗣と、全力疾走してきた事で息を切らす澪の視線がぶつかり合う。お互いに無言のまま見つめ合う時間が過ぎ、先に明嗣が視線を外して歩き出した。すると、澪が「あ、待って!」と静止した。
初めて会った時と同じような状況だな、と思いつつ、明嗣が視線で用を尋ねた。
「あ、その、えっと……」
澪は明嗣の視線にたじろぐように後ずさった。以前は普通に話せていたのに、銃を突きつけてためらいなく引き金を引く現場を見た後だと、じっと見つめられるだけでも背筋が冷えるような感覚を覚えてしまう。
「あ、あたし……その……えっと……」
勢いで引き止めはしたが、そこから先の言葉が出てこない。いつまでも次の言葉が来ないことに痺れを切らした明嗣は澪へ呼びかける。
「なんだよ。何か用があるんじゃないのか?」
「あたしは、その……ただ明嗣くんに話があって……」
「それ、今しなきゃなんねぇ事か?」
「う、うん……」
おずおずと澪は首を縦に振った。一方、引き止められた明嗣は窓の外を一瞥すると、壁に身体を預けて澪の話に応じる姿勢を見せた。
「で、話って?」
「えと……その……久しぶりだね。しばらく学校、休んでたし」
「まぁ、色々立て込んでてな」
澪に見られたから、とは言わないよう、明嗣は理由をぼかして答えた。“切り裂きジャック”にやられた後は、少し貧血気味で動けないなんて事もあったので、嘘は言っていない。
「そう……なんだ……。あたし、もしかしてあの夜の事で来れないのかなって思ってた」
澪は意を決して本題を口にした。瞬間、澪は明嗣の纏う空気が変わった事を感じ取った。銃を持っている時と同じ、人を殺す時と同じような空気だった。正直、逃げ出したいと思う程に明嗣は威圧感を放っている。しかし、澪は逃げ出す事はせず、ただ明嗣の返事を待つ。今、ここで逃げ出したら、勇気を出して明嗣と対峙した意味がないから。もし、ここで背を向けてしまったら、もう二度と明嗣と話す機会は訪れない。そんな予感が澪にはあった。それに、ここでまた逃げてしまったら、鈴音の言葉を信じて明嗣の元へ来た意味がない。
対して、明嗣は何も言わずに澪を見つめていた。澪の顔に向けるその視線は、まるで品定めでもするような目つきだ。やがて、怯えた表情ながらも視線をそらさずに見つめ返す澪に、明嗣はため息を吐いた。
「驚いたな。そっちから話題にしてくるとはな」
「……あの時、あたしは何も聞かないで逃げたから。でも、今度は逃げないよ。説明してくれるっていうなら聞かせて。どうしてあんな事をしたの? 人に向けて銃を撃つなんて……」
「そうだな……。当然そこを聞くわな。日本じゃ銃を持つのは違法だ。頭を吹っ飛ばしたから銃刀法違反のついでに殺人罪まで追加されちまう」
「それが分かっているならなんで……!」
「まぁ、わざわざまた俺の前に立った勇気を認めてちょっとだけ教えてやろうか。俺はそういう世界には生きてない」
「どういう事? あたし、言ってる意味が……」
澪は怪訝な表情を浮かべ、明嗣を見つめた。すると、明嗣は仕方ないと言った様子で肩を竦めた。
「俺が生きているのは法の外の世界なんだよ。警察じゃどうにもできないから自分でどうにかしてるだけだ」
「でも、だからって人を殺すなんて……」
「話し合いでどうにかできるなら、とっくにそうしてる」
「でも……!」
やっぱり人を殺すのは駄目。澪は至極まっとうな、人として当然の事を訴えようと食い下がる。だが、明嗣は諦めているような笑みを浮かべた。
「まぁ、そう言うしかないよな。もう隠すのは無理っぽいから教えてやるよ。お前は初めて会った日の夜に見ただろ? 首に穴を開けられていた女の死体を」
「うん……。警察の人が吸血鬼の仕業だって言ってたけど……」
「ああ。俺はその吸血鬼を掃除しなきゃならない。そうすることでしか生きていけないんだよ」
「うそ……!?」
明嗣の口から飛び出してきた言葉に澪は衝撃を受けたように言葉を失った。空想の生き物のはずの吸血鬼が実在すると言われて、すぐに受け入れろというのは無理な話だ。明嗣もそれを承知の上で話を進めていく。
「信じられなくても彩城、お前が見たのが全てなんだよ。警察じゃどうにもできない吸血鬼が存在して、俺はそいつを掃除している。それにただ巻き込まれたのが彩城。それでいいだろ?」
「よ、よくない……。良くないよ! それじゃあ明嗣くん、ずっとあんな事していかなきゃならないの?」
「俺はアイツらに命狙われてっからな。たぶん一生続く。だから、この話は終わりなんだよ」
言葉を失って立ち尽くす澪に明嗣はトドメを刺すように言葉をぶつける。
「サービスでもう一度だけ言ってやるよ。正義感で首突っ込もうとしてるなら、やめといたほうが良いぜ。お前だってあんな事になるのはごめんだろ」
そう言い残すと、明嗣は壁に預けていた身体を起こし、教室から出て歩き出した。対して、澪はまだ何か言おうとするが、言葉が出てこなかった。なぜなら明嗣の言う事には言い返す余地がない。
それでも、なにか言わなければならない気がして、澪は言葉を探した。言い返す余地がなくとも、納得できるかどうかは別の話だ。だが、掛ける言葉が見つからず、明嗣の背中が遠ざかっていく。
結局の所、この時の澪は何も言うことができずに明嗣を見送ることしかできなかった。
家に到着した時にはもう、すでに日は落ちてしまっていた。学校の制服から私服のブルーのTシャツと黒いスラックスに着替えた明嗣は、愛銃のホワイトディスペルとブラックゴスペルが収まっているホルスターを装着した。そして、赤いフードが垂れ下がった黒いロングコートをハンガーから外す。その際、コートの裾が当たり、台に置いてある写真立てが床へと落ちてしまった。写真立ての中には、澪も持っている家族写真が収まっている。
あ、やっべ。
床へ落ちた写真立てはガシャンと音を立て、ガラスの破片を撒き散らした。
「あーあ……。やっちまった……」
無事な木製の枠組みの部分を拾いあげ、明嗣はため息を吐いた。ただの写真立てとは言え、物心ついた頃からある物が壊れてしまったのは少し悲しい。
コルクボードでも買うかな……。えーと、ちりとりとほうき持ってこねぇと……ん?
明嗣は拾い上げた木製の枠組みの下に、なにか白くて四角い物が落ちているのを見つけた。拾い上げて確認すると白い物の正体は二つに折られた紙切れだった。
なんでこんなモンが写真立てにあるんだ? 中に何が……。
明嗣は紙切れを開いて中身を確認した。書いてあった内容は英文だった。どうやら誰かに向けた手紙らしい。
えーと、書いてある内容は……。
勝手に人の手紙を読むのは良くない事だが、写真立てから出てきたのでおそらく明嗣の父親、アーカードが明嗣の母親、朱渡 晴華へ向けた物だろう。もしくは、晴華からアーカードへ向けた物かもしれない。どちらにせよ、二人は故人であり、明嗣はその息子なので咎める事ができる者はおそらくいない。
そういや俺、親父とおふくろの事を全然知らねぇんだよな……。小さい頃に両方死んじまったし。
唯一の思い出である写真をひとまず台の上に置いた明嗣は、手紙の内容を日本語に訳しつつ読み進めていく。内容は概ね予想通りというか、アーカードが自分の妻へ向けた物だった。
書き出しは突然いなくなってしまった事の謝罪だった。どうやら、明嗣の父、アーカードは吸血鬼の追手から逃げるために生まれたばかりの明嗣と晴華の元から離れる決断をしたらしい。生まれて間もない明嗣のそばにいてやれない事が残念だという気持ちも合わせて記してあった。そして、自分へ差し向けられた追手を全部討ち倒した後、必ず二人の元へ戻ってくる。和訳すると、だいたいこのような意味の内容が記された手紙だった。
必ず戻るって……。そう言って死んじまったら駄目だろ親父……。
死亡フラグを回収するのはフィクションの中にしてくれよ、などと感想を述べつつ明嗣は苦笑いを浮かべて続きを読む。
そこからの内容は戻ってきてからの展望が記してあった。色々な場所を回ったりして明嗣の成長を見守っていきたいなどありふれた物であったが一つだけ、目を引く物があった。それは今まさに頭を悩ませている問題の一つに触れる内容だった。
俺の吸血鬼の能力――!!
明嗣の中に眠る吸血鬼の能力。それを目覚めさせて使用する方法だった。手紙によると明嗣の中に眠る吸血鬼は、真祖としての能力を受け継いでおり、赤ん坊の明嗣には制御不能なほどに強大だったので、一部を切り離して封印したらしい。そして、時が来た時に封印を解いて、明嗣に扱い方を教える予定だったようだ。
そして、明嗣が父から受け継いだ能力とは……。
身体能力強化と……剣を依り代にした業火を操る能力? ……あれか!
この時、明嗣の脳裏に浮かんだのは内なる吸血鬼と戦った時に見た大剣だった。柄をひねった瞬間に轟音を上げて炎を纏う刀身。どうやら、あれは明嗣自身の異能だったらしい。ならば、その剣を握っていた自分と同じ顔をしたアイツは、その能力を守る番人と言った所か。
そして、その能力の封印を解く鍵は――。
封印を解くには……嘘だろ……!?
続きを読んだ明嗣は、穴が開くほどに手紙を見つめた。そして、最後まで読み終えた後、言葉を失い脱力した。なぜなら、その封印は血肉を食らう事でしか解く事ができない、としか記されていなかったのだから。
初めて会った時と同じような状況だな、と思いつつ、明嗣が視線で用を尋ねた。
「あ、その、えっと……」
澪は明嗣の視線にたじろぐように後ずさった。以前は普通に話せていたのに、銃を突きつけてためらいなく引き金を引く現場を見た後だと、じっと見つめられるだけでも背筋が冷えるような感覚を覚えてしまう。
「あ、あたし……その……えっと……」
勢いで引き止めはしたが、そこから先の言葉が出てこない。いつまでも次の言葉が来ないことに痺れを切らした明嗣は澪へ呼びかける。
「なんだよ。何か用があるんじゃないのか?」
「あたしは、その……ただ明嗣くんに話があって……」
「それ、今しなきゃなんねぇ事か?」
「う、うん……」
おずおずと澪は首を縦に振った。一方、引き止められた明嗣は窓の外を一瞥すると、壁に身体を預けて澪の話に応じる姿勢を見せた。
「で、話って?」
「えと……その……久しぶりだね。しばらく学校、休んでたし」
「まぁ、色々立て込んでてな」
澪に見られたから、とは言わないよう、明嗣は理由をぼかして答えた。“切り裂きジャック”にやられた後は、少し貧血気味で動けないなんて事もあったので、嘘は言っていない。
「そう……なんだ……。あたし、もしかしてあの夜の事で来れないのかなって思ってた」
澪は意を決して本題を口にした。瞬間、澪は明嗣の纏う空気が変わった事を感じ取った。銃を持っている時と同じ、人を殺す時と同じような空気だった。正直、逃げ出したいと思う程に明嗣は威圧感を放っている。しかし、澪は逃げ出す事はせず、ただ明嗣の返事を待つ。今、ここで逃げ出したら、勇気を出して明嗣と対峙した意味がないから。もし、ここで背を向けてしまったら、もう二度と明嗣と話す機会は訪れない。そんな予感が澪にはあった。それに、ここでまた逃げてしまったら、鈴音の言葉を信じて明嗣の元へ来た意味がない。
対して、明嗣は何も言わずに澪を見つめていた。澪の顔に向けるその視線は、まるで品定めでもするような目つきだ。やがて、怯えた表情ながらも視線をそらさずに見つめ返す澪に、明嗣はため息を吐いた。
「驚いたな。そっちから話題にしてくるとはな」
「……あの時、あたしは何も聞かないで逃げたから。でも、今度は逃げないよ。説明してくれるっていうなら聞かせて。どうしてあんな事をしたの? 人に向けて銃を撃つなんて……」
「そうだな……。当然そこを聞くわな。日本じゃ銃を持つのは違法だ。頭を吹っ飛ばしたから銃刀法違反のついでに殺人罪まで追加されちまう」
「それが分かっているならなんで……!」
「まぁ、わざわざまた俺の前に立った勇気を認めてちょっとだけ教えてやろうか。俺はそういう世界には生きてない」
「どういう事? あたし、言ってる意味が……」
澪は怪訝な表情を浮かべ、明嗣を見つめた。すると、明嗣は仕方ないと言った様子で肩を竦めた。
「俺が生きているのは法の外の世界なんだよ。警察じゃどうにもできないから自分でどうにかしてるだけだ」
「でも、だからって人を殺すなんて……」
「話し合いでどうにかできるなら、とっくにそうしてる」
「でも……!」
やっぱり人を殺すのは駄目。澪は至極まっとうな、人として当然の事を訴えようと食い下がる。だが、明嗣は諦めているような笑みを浮かべた。
「まぁ、そう言うしかないよな。もう隠すのは無理っぽいから教えてやるよ。お前は初めて会った日の夜に見ただろ? 首に穴を開けられていた女の死体を」
「うん……。警察の人が吸血鬼の仕業だって言ってたけど……」
「ああ。俺はその吸血鬼を掃除しなきゃならない。そうすることでしか生きていけないんだよ」
「うそ……!?」
明嗣の口から飛び出してきた言葉に澪は衝撃を受けたように言葉を失った。空想の生き物のはずの吸血鬼が実在すると言われて、すぐに受け入れろというのは無理な話だ。明嗣もそれを承知の上で話を進めていく。
「信じられなくても彩城、お前が見たのが全てなんだよ。警察じゃどうにもできない吸血鬼が存在して、俺はそいつを掃除している。それにただ巻き込まれたのが彩城。それでいいだろ?」
「よ、よくない……。良くないよ! それじゃあ明嗣くん、ずっとあんな事していかなきゃならないの?」
「俺はアイツらに命狙われてっからな。たぶん一生続く。だから、この話は終わりなんだよ」
言葉を失って立ち尽くす澪に明嗣はトドメを刺すように言葉をぶつける。
「サービスでもう一度だけ言ってやるよ。正義感で首突っ込もうとしてるなら、やめといたほうが良いぜ。お前だってあんな事になるのはごめんだろ」
そう言い残すと、明嗣は壁に預けていた身体を起こし、教室から出て歩き出した。対して、澪はまだ何か言おうとするが、言葉が出てこなかった。なぜなら明嗣の言う事には言い返す余地がない。
それでも、なにか言わなければならない気がして、澪は言葉を探した。言い返す余地がなくとも、納得できるかどうかは別の話だ。だが、掛ける言葉が見つからず、明嗣の背中が遠ざかっていく。
結局の所、この時の澪は何も言うことができずに明嗣を見送ることしかできなかった。
家に到着した時にはもう、すでに日は落ちてしまっていた。学校の制服から私服のブルーのTシャツと黒いスラックスに着替えた明嗣は、愛銃のホワイトディスペルとブラックゴスペルが収まっているホルスターを装着した。そして、赤いフードが垂れ下がった黒いロングコートをハンガーから外す。その際、コートの裾が当たり、台に置いてある写真立てが床へと落ちてしまった。写真立ての中には、澪も持っている家族写真が収まっている。
あ、やっべ。
床へ落ちた写真立てはガシャンと音を立て、ガラスの破片を撒き散らした。
「あーあ……。やっちまった……」
無事な木製の枠組みの部分を拾いあげ、明嗣はため息を吐いた。ただの写真立てとは言え、物心ついた頃からある物が壊れてしまったのは少し悲しい。
コルクボードでも買うかな……。えーと、ちりとりとほうき持ってこねぇと……ん?
明嗣は拾い上げた木製の枠組みの下に、なにか白くて四角い物が落ちているのを見つけた。拾い上げて確認すると白い物の正体は二つに折られた紙切れだった。
なんでこんなモンが写真立てにあるんだ? 中に何が……。
明嗣は紙切れを開いて中身を確認した。書いてあった内容は英文だった。どうやら誰かに向けた手紙らしい。
えーと、書いてある内容は……。
勝手に人の手紙を読むのは良くない事だが、写真立てから出てきたのでおそらく明嗣の父親、アーカードが明嗣の母親、朱渡 晴華へ向けた物だろう。もしくは、晴華からアーカードへ向けた物かもしれない。どちらにせよ、二人は故人であり、明嗣はその息子なので咎める事ができる者はおそらくいない。
そういや俺、親父とおふくろの事を全然知らねぇんだよな……。小さい頃に両方死んじまったし。
唯一の思い出である写真をひとまず台の上に置いた明嗣は、手紙の内容を日本語に訳しつつ読み進めていく。内容は概ね予想通りというか、アーカードが自分の妻へ向けた物だった。
書き出しは突然いなくなってしまった事の謝罪だった。どうやら、明嗣の父、アーカードは吸血鬼の追手から逃げるために生まれたばかりの明嗣と晴華の元から離れる決断をしたらしい。生まれて間もない明嗣のそばにいてやれない事が残念だという気持ちも合わせて記してあった。そして、自分へ差し向けられた追手を全部討ち倒した後、必ず二人の元へ戻ってくる。和訳すると、だいたいこのような意味の内容が記された手紙だった。
必ず戻るって……。そう言って死んじまったら駄目だろ親父……。
死亡フラグを回収するのはフィクションの中にしてくれよ、などと感想を述べつつ明嗣は苦笑いを浮かべて続きを読む。
そこからの内容は戻ってきてからの展望が記してあった。色々な場所を回ったりして明嗣の成長を見守っていきたいなどありふれた物であったが一つだけ、目を引く物があった。それは今まさに頭を悩ませている問題の一つに触れる内容だった。
俺の吸血鬼の能力――!!
明嗣の中に眠る吸血鬼の能力。それを目覚めさせて使用する方法だった。手紙によると明嗣の中に眠る吸血鬼は、真祖としての能力を受け継いでおり、赤ん坊の明嗣には制御不能なほどに強大だったので、一部を切り離して封印したらしい。そして、時が来た時に封印を解いて、明嗣に扱い方を教える予定だったようだ。
そして、明嗣が父から受け継いだ能力とは……。
身体能力強化と……剣を依り代にした業火を操る能力? ……あれか!
この時、明嗣の脳裏に浮かんだのは内なる吸血鬼と戦った時に見た大剣だった。柄をひねった瞬間に轟音を上げて炎を纏う刀身。どうやら、あれは明嗣自身の異能だったらしい。ならば、その剣を握っていた自分と同じ顔をしたアイツは、その能力を守る番人と言った所か。
そして、その能力の封印を解く鍵は――。
封印を解くには……嘘だろ……!?
続きを読んだ明嗣は、穴が開くほどに手紙を見つめた。そして、最後まで読み終えた後、言葉を失い脱力した。なぜなら、その封印は血肉を食らう事でしか解く事ができない、としか記されていなかったのだから。