残酷な描写あり
第七十九話「謎に塗れし乱闘」
アルスタリア高等学院 1年B組
「よし、全員来たな! じゃあやるぞ〜!」
クラス分けによってこのB組に配属された亜玲澄は、計37名の生徒と共に授業を受けていた。そう、座学である。
『おい、ダリィなって思わねぇのかよ!
そもそも属性魔法の基礎知識なんてとっくに身についてるだろ!?』
――俺もそれには同感だけどな、でもせっかく一時的に学生になったんだから青春ってのを体験したいんだよ。
『ったく……、お前も含めて人間共は皆脳みそ青春パーリナイだぜ! こんな無駄な教育してる暇あったら実戦させろ! ここにいる奴ら皆そう思ってるぜ!?』
まぁまぁ……と心の中で粒やく。するとその直後だった。
「オラァ!!」
一人の生徒が席から立ち上がり、先生に向かって短剣のようなものを投げつけた。
「――!?」
は……? いきなり何なんだよ! 今授業中だぞ……!?
クリムゾンレッドの光を帯びた短剣が先生目掛けて一直線に飛んだ。だが先生はそれを見ずとも左手の二本指で短剣を抑えた。
そして授業をしながらそれを手首のスナップだけで生徒が投げた50倍はあると思われる速さで短剣を投げた。空間をも穿つ速さで生徒の左頬を掠り、後ろの壁を貫通させた。
「――!!」
立ち上がった生徒はあまりの恐怖にそのまま動けなくなっていた。その生徒に気づき、先生は表情を一切変えずに言った。
「俺の隙を狙おうだなんてまだ30年早いぜ。何たって俺は元ネフティスメンバーだからな」
「ええええ!!??」
「マジかよ!?」
あれほど静かだった生徒達がそれぞれ驚きの表情を顕にする。もちろん亜玲澄もその一人だった。
「だが、隙を突くタイミングは悪くはない。後は投げる速さを極める事だな!」
「くっ……」
これ、本当に授業になるのか……と心底疑い始めたのも束の間、先程短剣を投げた生徒に向かって他の生徒達がそれぞれ攻撃を始めた。
「何してんだよ!」
「授業の邪魔しないで!!」
「先生と同じ目に遭わせてやるよ!!」
数多の怒号が武器や魔法の光となって短剣を投げた生徒に迫る。
『おいおい、何の騒ぎだこりゃ!』
「分からねぇ……そもそも授業中に何で先生を殺そうとしたのか……」
まだ始まってから1日も経ってないというのに、早速問題が大事になりつつあった。先生はなんとそれを止める仕草すら見せなかった。
「どうなってんだよ……何もかもが分からねぇ……!!」
『おいまずいぜ、あの短剣投げた奴もうボコボコにされてるぞ!』
色々聞きたいことが山程あるが、まずはこの乱闘を止めなければ……
「ていうか、あんなタイミングで先生に傷つけようだなんて馬鹿じゃないの!?」
「ナイフ投げた程度じゃ傷なんてつかねーよ!!」
「くっ……!」
段々と事はエスカレートしていく。何もかも意味不明な出来事に対処しようが無い亜玲澄だが、運命は彼に悩んでる暇すら与えてはくれなかった。
「止めても大事に繋がるだけ……このままだとあの短剣を投げた人は死ぬ……どうすれば……」
こんな時、大蛇なら……皆ならどうしていたんだろうか。止めただろうか。それとも他の方法を探していただろうか。
今まであいつらについてばっかりだった。今度は俺に回ってきた。さぁどうする。これによって今後の学校生活といい命の保証といい、かなり変わってくる……
俺はどうする。どっちを選ぶ。このまま黙るか、止めるか。この際正しい選択なんてものは無い。後は未来の運命によって事が動き出すだけだ。
「俺は――」
今正に、白神亜玲澄の身に運命が呪おうとしていた――
「よし、全員来たな! じゃあやるぞ〜!」
クラス分けによってこのB組に配属された亜玲澄は、計37名の生徒と共に授業を受けていた。そう、座学である。
『おい、ダリィなって思わねぇのかよ!
そもそも属性魔法の基礎知識なんてとっくに身についてるだろ!?』
――俺もそれには同感だけどな、でもせっかく一時的に学生になったんだから青春ってのを体験したいんだよ。
『ったく……、お前も含めて人間共は皆脳みそ青春パーリナイだぜ! こんな無駄な教育してる暇あったら実戦させろ! ここにいる奴ら皆そう思ってるぜ!?』
まぁまぁ……と心の中で粒やく。するとその直後だった。
「オラァ!!」
一人の生徒が席から立ち上がり、先生に向かって短剣のようなものを投げつけた。
「――!?」
は……? いきなり何なんだよ! 今授業中だぞ……!?
クリムゾンレッドの光を帯びた短剣が先生目掛けて一直線に飛んだ。だが先生はそれを見ずとも左手の二本指で短剣を抑えた。
そして授業をしながらそれを手首のスナップだけで生徒が投げた50倍はあると思われる速さで短剣を投げた。空間をも穿つ速さで生徒の左頬を掠り、後ろの壁を貫通させた。
「――!!」
立ち上がった生徒はあまりの恐怖にそのまま動けなくなっていた。その生徒に気づき、先生は表情を一切変えずに言った。
「俺の隙を狙おうだなんてまだ30年早いぜ。何たって俺は元ネフティスメンバーだからな」
「ええええ!!??」
「マジかよ!?」
あれほど静かだった生徒達がそれぞれ驚きの表情を顕にする。もちろん亜玲澄もその一人だった。
「だが、隙を突くタイミングは悪くはない。後は投げる速さを極める事だな!」
「くっ……」
これ、本当に授業になるのか……と心底疑い始めたのも束の間、先程短剣を投げた生徒に向かって他の生徒達がそれぞれ攻撃を始めた。
「何してんだよ!」
「授業の邪魔しないで!!」
「先生と同じ目に遭わせてやるよ!!」
数多の怒号が武器や魔法の光となって短剣を投げた生徒に迫る。
『おいおい、何の騒ぎだこりゃ!』
「分からねぇ……そもそも授業中に何で先生を殺そうとしたのか……」
まだ始まってから1日も経ってないというのに、早速問題が大事になりつつあった。先生はなんとそれを止める仕草すら見せなかった。
「どうなってんだよ……何もかもが分からねぇ……!!」
『おいまずいぜ、あの短剣投げた奴もうボコボコにされてるぞ!』
色々聞きたいことが山程あるが、まずはこの乱闘を止めなければ……
「ていうか、あんなタイミングで先生に傷つけようだなんて馬鹿じゃないの!?」
「ナイフ投げた程度じゃ傷なんてつかねーよ!!」
「くっ……!」
段々と事はエスカレートしていく。何もかも意味不明な出来事に対処しようが無い亜玲澄だが、運命は彼に悩んでる暇すら与えてはくれなかった。
「止めても大事に繋がるだけ……このままだとあの短剣を投げた人は死ぬ……どうすれば……」
こんな時、大蛇なら……皆ならどうしていたんだろうか。止めただろうか。それとも他の方法を探していただろうか。
今まであいつらについてばっかりだった。今度は俺に回ってきた。さぁどうする。これによって今後の学校生活といい命の保証といい、かなり変わってくる……
俺はどうする。どっちを選ぶ。このまま黙るか、止めるか。この際正しい選択なんてものは無い。後は未来の運命によって事が動き出すだけだ。
「俺は――」
今正に、白神亜玲澄の身に運命が呪おうとしていた――