残酷な描写あり
第60話 ユジリア同盟
超大国は瓦解し、このことからユジリア王は、
自ら魔法で覇道を行くことをとりやめ、
おおきな同盟のまとまりで国を治める方向へ推移した。
のちにいうところのユジリア同盟である。
ユジリア一つの国だけで覇権を握ることは、悪竜が発生した時に、
すみやかな対応が出来ないこともあるだろうとことしれた故に、
隣国の魔術師ギルドを通じて、ユジリアの分割を提案したのである。
もってもとあった王家の元に同盟の書簡が送られ、
覇をしたユジリアの中で解体された王家は復興され、
同盟という形でユジリアの地が護られることが決まったのである。
この同盟の中には文士の文化も大きく取りいれられ、幅広いチャンネルから、悪竜との戦いに備える事ができるように、敷かれた文士達のコミュニティーと、
魔法使いのコミュニティーが連絡を取り合って、結ばれることとなった。
「文士の法には詳しくは在りませんが、魔法でお手伝いできるならなんなりと」
かくて開かれた世界へと着々と形を為す中で、
同盟という形であれば参入も可能かとした、複数の隣国も登場し、
モヒカなどもその国の筆頭として加わることとなった。
また今回、悪竜の発端となった地、クシ王国もこの同盟に参入し、
世界に超大国を越えた規模の同盟関係が誕生したのである。
これを期に飛躍的に各国の平和と平等が護られ、治世の安定も確かなものとなる。
「ここがユジリアか」クシ王国家臣団の筆頭としてトマフというものが選ばれた、
「トマフどのお元気ですかな」「おお、あなたは竜騎士シンボリック!」
「シテイとマイどののことはお気の毒に」「いやあなたこそ悪竜相手に随分の戦いぶりだったそうで」
「ところで、シンボリックどのは何故ここにやってきたのですか?」
「決まっております、あの憎き、悪竜使いめを懲らしめてやろうと思い参じました」
「なるほど、わかります、そのお気持ち、あの一等文士がここまでのことを」
もとはといえば、悪竜の子種を運んだのが一等文士のやり口だったことを知れば、
それを悪竜使いと呼んで、皆が畏れ、また捜索の対象となることも知れたことである。「ユジリアの地は初めてですゆえに、シンボリックどのもご一緒できれば」
「ええ!喜んで、一人旅では竜退治の功績を話す相手もおりませなんだからな」
竜騎士という職業は、竜を駆る専門の騎士ということであり、名家が竜を倒したことでうける呪いや非業の死というものをさけるために作りだした、いわば竜の呪いを代行して受けてくれる職種であって、その一撃が竜を仕留めることで自らの家を貶めたとしても大丈夫なように、俗世からは隔離された孤独な気質を持っている。
どこの家にも仕えないがかわりに竜退治に際してはいの一番に呼び出されて戦いこなすという役柄で、その派手さから、引き受けたい騎士も多くいる。
「家臣団、一行殿がつきました、ユジリア開門!」
「おおっクシ王国からはるばるよく来ていただいたものですな」
「クシ王は平和平等を貴ぶお方と訊いて、ぜひお会いしたいものだとトマフどの」
「ええ、ありがとうございます、して悪竜を退治したものはどこに?」
「おおっ、今は自由に国内を旅しているところで、今回の旅で出会えるかどうか」
「そうなのか、冒険者というものはいつの時代も道の先を行くものなのだな」
「では、あちらでごゆるりとお休みください、旅の疲れもございましょうから」
超大国ユジリアがユジリア同盟国になってから、始めてこの地を踏んだものの、この国が超大国と呼ばれた所以もトマフにはなんとなく知ることとなった。
行き届いた設備に、いたるところにいる魔法使い、このような文明国に来たことは、トマフの経験上はじめてのものだったのでふと物思いに駆られる。
「シテイとマイに見せてやりたかったものだな、きっと筆を振るったに違いない」
今は休むことに徹するものの、
「しっておりますかな? どうもユジリア同盟に北の国が加われそうにないということを」すこし噂を訊きつけて、その話とやらに加わる羽目となった。
「なんでも北の国は壊滅状態で、連絡が取れず、ユジリアから送った外交官も帰らぬという話で、原因の究明が早くなされるように祈られているらしいです。
「なんと、北の国が壊滅状態とはな、武勇で誇ったあの国、大国ユジリアを前にしてひるまなかったあの国が、いったいどのような状況なのだろうか?」
「暗闇に覆われてしまって、定かではないとだけ、訊きます」
今は休もう、ユジリアのことだけで精いっぱいの現状で、クシの家臣団とトマフが北の国にまで足を延ばすことも無かろうことであるから。
「暗闇とは、いったい?」
自ら魔法で覇道を行くことをとりやめ、
おおきな同盟のまとまりで国を治める方向へ推移した。
のちにいうところのユジリア同盟である。
ユジリア一つの国だけで覇権を握ることは、悪竜が発生した時に、
すみやかな対応が出来ないこともあるだろうとことしれた故に、
隣国の魔術師ギルドを通じて、ユジリアの分割を提案したのである。
もってもとあった王家の元に同盟の書簡が送られ、
覇をしたユジリアの中で解体された王家は復興され、
同盟という形でユジリアの地が護られることが決まったのである。
この同盟の中には文士の文化も大きく取りいれられ、幅広いチャンネルから、悪竜との戦いに備える事ができるように、敷かれた文士達のコミュニティーと、
魔法使いのコミュニティーが連絡を取り合って、結ばれることとなった。
「文士の法には詳しくは在りませんが、魔法でお手伝いできるならなんなりと」
かくて開かれた世界へと着々と形を為す中で、
同盟という形であれば参入も可能かとした、複数の隣国も登場し、
モヒカなどもその国の筆頭として加わることとなった。
また今回、悪竜の発端となった地、クシ王国もこの同盟に参入し、
世界に超大国を越えた規模の同盟関係が誕生したのである。
これを期に飛躍的に各国の平和と平等が護られ、治世の安定も確かなものとなる。
「ここがユジリアか」クシ王国家臣団の筆頭としてトマフというものが選ばれた、
「トマフどのお元気ですかな」「おお、あなたは竜騎士シンボリック!」
「シテイとマイどののことはお気の毒に」「いやあなたこそ悪竜相手に随分の戦いぶりだったそうで」
「ところで、シンボリックどのは何故ここにやってきたのですか?」
「決まっております、あの憎き、悪竜使いめを懲らしめてやろうと思い参じました」
「なるほど、わかります、そのお気持ち、あの一等文士がここまでのことを」
もとはといえば、悪竜の子種を運んだのが一等文士のやり口だったことを知れば、
それを悪竜使いと呼んで、皆が畏れ、また捜索の対象となることも知れたことである。「ユジリアの地は初めてですゆえに、シンボリックどのもご一緒できれば」
「ええ!喜んで、一人旅では竜退治の功績を話す相手もおりませなんだからな」
竜騎士という職業は、竜を駆る専門の騎士ということであり、名家が竜を倒したことでうける呪いや非業の死というものをさけるために作りだした、いわば竜の呪いを代行して受けてくれる職種であって、その一撃が竜を仕留めることで自らの家を貶めたとしても大丈夫なように、俗世からは隔離された孤独な気質を持っている。
どこの家にも仕えないがかわりに竜退治に際してはいの一番に呼び出されて戦いこなすという役柄で、その派手さから、引き受けたい騎士も多くいる。
「家臣団、一行殿がつきました、ユジリア開門!」
「おおっクシ王国からはるばるよく来ていただいたものですな」
「クシ王は平和平等を貴ぶお方と訊いて、ぜひお会いしたいものだとトマフどの」
「ええ、ありがとうございます、して悪竜を退治したものはどこに?」
「おおっ、今は自由に国内を旅しているところで、今回の旅で出会えるかどうか」
「そうなのか、冒険者というものはいつの時代も道の先を行くものなのだな」
「では、あちらでごゆるりとお休みください、旅の疲れもございましょうから」
超大国ユジリアがユジリア同盟国になってから、始めてこの地を踏んだものの、この国が超大国と呼ばれた所以もトマフにはなんとなく知ることとなった。
行き届いた設備に、いたるところにいる魔法使い、このような文明国に来たことは、トマフの経験上はじめてのものだったのでふと物思いに駆られる。
「シテイとマイに見せてやりたかったものだな、きっと筆を振るったに違いない」
今は休むことに徹するものの、
「しっておりますかな? どうもユジリア同盟に北の国が加われそうにないということを」すこし噂を訊きつけて、その話とやらに加わる羽目となった。
「なんでも北の国は壊滅状態で、連絡が取れず、ユジリアから送った外交官も帰らぬという話で、原因の究明が早くなされるように祈られているらしいです。
「なんと、北の国が壊滅状態とはな、武勇で誇ったあの国、大国ユジリアを前にしてひるまなかったあの国が、いったいどのような状況なのだろうか?」
「暗闇に覆われてしまって、定かではないとだけ、訊きます」
今は休もう、ユジリアのことだけで精いっぱいの現状で、クシの家臣団とトマフが北の国にまで足を延ばすことも無かろうことであるから。
「暗闇とは、いったい?」