R-15
知りたくなかったこの気持ちに
指名を拒否するのは絶対ダメなのはさすがの私でも分かっていた
それでも会いたくなくて逃亡を図った。
けどそれは結果的に無理だった。
千広くんのせいで全部私をおかしくさせる。
時々は無しに出てくる元カレのことの話。
まさか実際に再会するとは思わなかったけれど、おかげで忘れていたい、思い出したくない記憶。当時のことがぶり返す。
過去は思いだしたくない。忘れたくて思いださないようにしていたのに。
元カレは好きだから付き合っていたわけじゃない。
利用されていただけ。だからこっちも利用しただけの話。
千広くんは時々私の心を傷つける。
それでも今まで通りに感情を隠すのが得意なだけあって私は傷ついた心に耐えてなんとか隠し通していた。
千広くんの言うことは絶対とはいえ、甘く囁かれるからいともたやすく簡単に反応してしまう。
いつも私のことをぐちゃぐちゃにさせてくるんだ…。
ううん、絶対だからじゃない。
本能が…感情が…そう感じさせてしまうんだ。
だいぶ薄まってきたとはいえこう見えて先祖は人殺しの血筋引く家系で何があって命令されても千広くんのことだけは仲間のふりして何度も裏切った。毒薬とかも隠して能力でぶっ壊した。
これは全部個人の感情…
たとえ、個人の感情でも言われたことは必ずやり遂げる。
この家系なんかに産まれたからには必ず命令は聞かなきゃいけない。
それがこの家系の決まり
黒帝に入ったのはもう一つわけがある。
命令が下されたから――――
聞いたとき吐き気がしそうだった。
命令を拒否することは厳禁。
だから途中までやった。やるふりをした
けれど私にはそう言うのどうでも良かった。
命令を素直に聞くふりをしただけ。
実際には人を殺したりはしない。絶対に殺さない。
「殺るわけないでしょ」
このためにもらった毒薬。
だけど、思いっきり壁に向けて投げつけた
ダンっと踏みつけると粉々に割れた。
野良猫たちが間違ってなめてしまわないように能力で存在を隠す。
跡形もなく見えなくなった。
たとえ千広くんでなくてもやりたくない。
別にその家系で好きで産まれたわけじゃないのになんで聞かなきゃいけないのよ。
この決まりが嫌いだった。
裏切りがばれて殺されかけたら殺した。
ううん、怖くて本能で殺ってしまったのだ。
これが人殺しの家系のやり方だ。
このやり方は納得いかない。
いくら仲間同士でも許さなかったから。
感情を無くせなんてのも全部そのせい。
それに、家系だからと言ってそんなことに捉われるのも人殺しなんていい加減ごめんだ。
ただ互いを傷つけ合うだけのことで、いったい何を得たというんだろう。
そう思いながらも、結局は変わるわけないのに。
組織を支配する権力者たちに逆らえないから。
──ううん、違う。
逆らおうという思いさえしないから、だ。
必死に抗えば、なにか変わるかもしれない。
たとえ、今以上に組織が壊れて傷つく結果になったとしても……
私に前世の記憶が目覚めたのは千広くんと出会って好きになった後。
千広くんとは関わることが無くなった高校生になったばかりの春だった。
それでも会いたくなくて逃亡を図った。
けどそれは結果的に無理だった。
千広くんのせいで全部私をおかしくさせる。
時々は無しに出てくる元カレのことの話。
まさか実際に再会するとは思わなかったけれど、おかげで忘れていたい、思い出したくない記憶。当時のことがぶり返す。
過去は思いだしたくない。忘れたくて思いださないようにしていたのに。
元カレは好きだから付き合っていたわけじゃない。
利用されていただけ。だからこっちも利用しただけの話。
千広くんは時々私の心を傷つける。
それでも今まで通りに感情を隠すのが得意なだけあって私は傷ついた心に耐えてなんとか隠し通していた。
千広くんの言うことは絶対とはいえ、甘く囁かれるからいともたやすく簡単に反応してしまう。
いつも私のことをぐちゃぐちゃにさせてくるんだ…。
ううん、絶対だからじゃない。
本能が…感情が…そう感じさせてしまうんだ。
だいぶ薄まってきたとはいえこう見えて先祖は人殺しの血筋引く家系で何があって命令されても千広くんのことだけは仲間のふりして何度も裏切った。毒薬とかも隠して能力でぶっ壊した。
これは全部個人の感情…
たとえ、個人の感情でも言われたことは必ずやり遂げる。
この家系なんかに産まれたからには必ず命令は聞かなきゃいけない。
それがこの家系の決まり
黒帝に入ったのはもう一つわけがある。
命令が下されたから――――
聞いたとき吐き気がしそうだった。
命令を拒否することは厳禁。
だから途中までやった。やるふりをした
けれど私にはそう言うのどうでも良かった。
命令を素直に聞くふりをしただけ。
実際には人を殺したりはしない。絶対に殺さない。
「殺るわけないでしょ」
このためにもらった毒薬。
だけど、思いっきり壁に向けて投げつけた
ダンっと踏みつけると粉々に割れた。
野良猫たちが間違ってなめてしまわないように能力で存在を隠す。
跡形もなく見えなくなった。
たとえ千広くんでなくてもやりたくない。
別にその家系で好きで産まれたわけじゃないのになんで聞かなきゃいけないのよ。
この決まりが嫌いだった。
裏切りがばれて殺されかけたら殺した。
ううん、怖くて本能で殺ってしまったのだ。
これが人殺しの家系のやり方だ。
このやり方は納得いかない。
いくら仲間同士でも許さなかったから。
感情を無くせなんてのも全部そのせい。
それに、家系だからと言ってそんなことに捉われるのも人殺しなんていい加減ごめんだ。
ただ互いを傷つけ合うだけのことで、いったい何を得たというんだろう。
そう思いながらも、結局は変わるわけないのに。
組織を支配する権力者たちに逆らえないから。
──ううん、違う。
逆らおうという思いさえしないから、だ。
必死に抗えば、なにか変わるかもしれない。
たとえ、今以上に組織が壊れて傷つく結果になったとしても……
私に前世の記憶が目覚めたのは千広くんと出会って好きになった後。
千広くんとは関わることが無くなった高校生になったばかりの春だった。