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作者: 鈴奈
Exspetioa2.12.28
 今日から、修復をはじめました。私と、シスター・マネチア、木職人のシスター・ヒメウズの三人で神様のベッドをつくることになり、あとの方々が修道院の修復にまわってくださいました。シスター・ヒメウズがさくさくと美しい箱をつくってくださり、シスター・マネチアが銀で装飾を施しました。
 なんと、二時間ほどで完成しました。とても早くてびっくりしました。私はほとんど木を押さえたり材料をお持ちしたりといったことしかできませんでしたが、それでも、とても力になったとお褒めいただきました。
 その後の二時間は、石を運ぶお手伝いをしました。もっと皆さんのお力になれるよう、体力をつけていきたいと思いました。

 午後の労働の時間、私は、皆さんの種を中庭に埋めました。
 ニゲラ様の種は、以前と同じ、日の当たる温かいところに埋めました。
 
 この先の未来で、ニゲラ様が生やかたちを得ることを選ぶかどうかは、ニゲラ様次第です。
 ですが、もしお会いできたら、私は、ニゲラ様にお伝えしたいことがあるのです。
 
 私はずっと、ニゲラ様への気持ちがわかりませんでした。
 正直、今も、ニゲラ様への気持ちを言葉にしようとすると、はっきりひとつの言葉では表せません。
 ニゲラ様のひとつひとつの言葉で、仕草で、熱くなるほどドキドキして。一緒にいたい、と強く思って。目が合うだけで――いいえ、存在していただけるだけで、嬉しくて……。
 幸せになっていただきたくて。私だけの秘密でいていただきたくて。
「自然の意思」のいたわりの気持ちだけではない、私自身の大切な気持ち。
 皆さんを「好き」という気持ちでもなく、神様への「愛」とも違う。
 ニゲラ様がいないと、私は幸せでいられない。
 ニゲラ様こそ、私の幸せ。

 ニゲラ様こそ、私の楽園なのです。

 そう気付いて、私はやっと、ニゲラ様への気持ちの名前を知りました。
 私は、ニゲラ様のことを――。

 いえ。この言葉は、ニゲラ様にさしあげたい。
 お会いできるその日まで、私の心の中に、大切にしまっておきたいと思います。

 もし、この気持ちをお伝えしたら、ニゲラ様は、なんとおっしゃるでしょう。
 いつものほほ笑みをくださるでしょうか。
 また、ニゲラ様の笑顔が見たい。また、お声が聞きたいです。

 いつかお会いできるその日まで……。
 ニゲラ様と皆さんの幸せを祈りながら、私の幸せを求めながら、ニゲラ様と一緒にいられる未来を信じ続けながら……。
 希望の花が開くよう、何度でも何日でも何年でも、私のこの手で、祈りを注ぎ続けます。
  
 私の楽園は、私がつくるのです。 
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