R-15
part Kon 10/17 pm 5:38
(作者注:キャラクターの発言に女性の同性愛者を『レズ』あるいは 性同一性障害の人物を『オカマ』と侮蔑的に表現する場面がありますが 作者は そのような立場に与するものでは ありません)
「だいたい わかった。つーか ワカンねぇけど」
ママが 3本目の煙草を踏み消しながら言った。
最近 1日2本って決めてるママが 続けて3本吸ったってゆー時点で ママのイライラ度合いがわかる。
……怒られるのかな。
亜樹は あたしを庇うように 半歩前に立ってくれてる。
……でもな。
別に悪いことしてないし。
あたしに彼氏できて 何が悪い?
大吾兄貴だって 高校のとき彼女いたし。
啓吾だって彼女持ち。
だいたい 自分だって 高校んとき 子どもできて退学してんだし。
もし 亜樹の身体とか見た目のことで 文句言うんだったら それこそ差別。
そんなの絶対 許さない。
そんなことで 文句言ってきたら とことんまで 戦う覚悟。
確かに 家のドアの前で 思いっきりキスしてたのは マズかった。
けど それだって 兄貴とユキちゃんしてるの 見たことあるし。
まあ そーゆー意味では家族に見られる可能性は あったワケで うかつはうかつ。
でも キスして怒られるとか 理不尽じゃない?
とりあえず あたし達は 悪いことはしてない。
それは 自信を持って言える。
……ただな。
ママ 時々 意味わかんないことでキレるからな。
そして キレたママは 超コワい。
慣れてる あたしでも ビビるくらいだから 亜樹とか たぶん無理。
あたしを 守る気持ちで立ってくれてるのは嬉しいけど。
最悪 刃物 飛んでくるからな……ハサミとか。
当たったことないけど。
4本目の煙草を取り出そうとするのを 押し止めて ママが言う。
「ちょいと いきなりだったから 面喰らったけど 考えたら キレるようなことじゃないねぇ」
少し深く息を吸い タメ息をついてから 煙草の箱を胸のポケットにしまう。
怒りのボルテージが下がってるのが わかる。
とりあえず 物が飛んできたり 怒鳴られたりする事態は 回避できたみたい。
……油断は できないけど。
「アンタ達みたいな年頃の子が 惚れたの 好いたの言ってるときに 親が横からナニ言ったって ムダ。それは アタシも経験あるし…」
頭の後ろを掻きながら ママが続ける。
「……ハァ。化粧なんかして 色気づいてるとは 思ってたけど……。…まさか 相手が あきちゃんとは ねぇ……」
「なんか 悪い?」
「別に 悪かないけど…。……ハァ。娘がレズか…。人生 イロイロあるもんだね」
「レズじゃないし。亜樹 男の子だから」
「性ナンチャラってヤツなんだって? 中身が男なんだろ? ……そうは 見えないけどねぇ…」
チラッと亜樹の方を見て ママが言う。
そして もう一度 頭の後ろを掻いた後 亜樹の方に向き直る。
そして 亜樹の目を真っ直ぐ見て言った。
「あきちゃん。アンタが性ナンチャラだろうが レズだろうが オカマだろうが 瞳と好きあってるんだったら アタシが とやかく言う筋合いは ないよ。ただ 大吾や啓吾にも言ったことだから アンタにも言っとくけど… 子ども作るのだけは 絶対 勘弁しとくれよ。アンタ 男の子なんだろ? そこは 男が責任持ちな。そういうのは 自分らで飯 食えるようになってから。いいね?」
「はい。それは 絶対 大丈夫です。お約束できます」
亜樹は ママの目を見て しっかりした声で答える。
ってゆーか アタシと亜樹で そーゆーことしても 赤ちゃんできたりは しないハズ。
キスで妊娠するワケじゃなし…。
「瞳。アンタも 自分の身は自分でちゃんと守るんだよ。いいねッ!」
「うん。わかってる」
亜樹との赤ちゃんか……。
ホントに 一生 一緒にいるんだったら そんなこと考える日がくるのかな?
……今は ぜんぜん ピンとこないけど。
「それと 万が一 そんなことになったときも 駆け落ちとか家出とか そんな考えナシなことだけは 絶対 よしとくれよ? 後生だから 高校だけは 卒業しておくれ。必ずだよッ?」
ママの目尻が潤んでるのがわかる。
兄貴がお腹にいるって判って ママ 苦労したんだろうな…。
同じような歳になってきて その気持ちは よくわかる。
今 赤ちゃんできたら バレーも進学も 全部 諦めなきゃなんない。
ゾッとするような事態だけど きっと お腹の赤ちゃん守りたいとも 思うだろうし…。
ママ ホント 大変だったんだな。
その気持ちは きちんと受け止めよう。
「うん。あたし ママの娘だから ちゃんとできる。約束する」
あたしの返事を聞いて ママは頷いてくれる。
「ああ? もう こんな時間!日曜の掻き入れ時だってのに…」
腕時計をチラッと見て そう叫ぶと ママは慌てて 厨房に戻っていく。
「瞳!さっさと支度して 店 入んな!アンタ パパにぶち殺されるよ!」
ママに急かされ あたしも勝手口に引き込まれる。
ドアから 亜樹の方を振り返り 今日のお別れ。
「亜樹。 ごめん。バイトの時間だし もう行くね。また 後で連絡する」
「うん。待ってる」
「瞳!さっさとしな!遅れた分は バイト代から キッチリ引くからね!」
「はーい!すぐ行く!」
そう言うと あたしは 勝手口の扉を閉めた……。
………。
……。
…。
to be continued in “part Aki 10/17 pm 6:18”
「だいたい わかった。つーか ワカンねぇけど」
ママが 3本目の煙草を踏み消しながら言った。
最近 1日2本って決めてるママが 続けて3本吸ったってゆー時点で ママのイライラ度合いがわかる。
……怒られるのかな。
亜樹は あたしを庇うように 半歩前に立ってくれてる。
……でもな。
別に悪いことしてないし。
あたしに彼氏できて 何が悪い?
大吾兄貴だって 高校のとき彼女いたし。
啓吾だって彼女持ち。
だいたい 自分だって 高校んとき 子どもできて退学してんだし。
もし 亜樹の身体とか見た目のことで 文句言うんだったら それこそ差別。
そんなの絶対 許さない。
そんなことで 文句言ってきたら とことんまで 戦う覚悟。
確かに 家のドアの前で 思いっきりキスしてたのは マズかった。
けど それだって 兄貴とユキちゃんしてるの 見たことあるし。
まあ そーゆー意味では家族に見られる可能性は あったワケで うかつはうかつ。
でも キスして怒られるとか 理不尽じゃない?
とりあえず あたし達は 悪いことはしてない。
それは 自信を持って言える。
……ただな。
ママ 時々 意味わかんないことでキレるからな。
そして キレたママは 超コワい。
慣れてる あたしでも ビビるくらいだから 亜樹とか たぶん無理。
あたしを 守る気持ちで立ってくれてるのは嬉しいけど。
最悪 刃物 飛んでくるからな……ハサミとか。
当たったことないけど。
4本目の煙草を取り出そうとするのを 押し止めて ママが言う。
「ちょいと いきなりだったから 面喰らったけど 考えたら キレるようなことじゃないねぇ」
少し深く息を吸い タメ息をついてから 煙草の箱を胸のポケットにしまう。
怒りのボルテージが下がってるのが わかる。
とりあえず 物が飛んできたり 怒鳴られたりする事態は 回避できたみたい。
……油断は できないけど。
「アンタ達みたいな年頃の子が 惚れたの 好いたの言ってるときに 親が横からナニ言ったって ムダ。それは アタシも経験あるし…」
頭の後ろを掻きながら ママが続ける。
「……ハァ。化粧なんかして 色気づいてるとは 思ってたけど……。…まさか 相手が あきちゃんとは ねぇ……」
「なんか 悪い?」
「別に 悪かないけど…。……ハァ。娘がレズか…。人生 イロイロあるもんだね」
「レズじゃないし。亜樹 男の子だから」
「性ナンチャラってヤツなんだって? 中身が男なんだろ? ……そうは 見えないけどねぇ…」
チラッと亜樹の方を見て ママが言う。
そして もう一度 頭の後ろを掻いた後 亜樹の方に向き直る。
そして 亜樹の目を真っ直ぐ見て言った。
「あきちゃん。アンタが性ナンチャラだろうが レズだろうが オカマだろうが 瞳と好きあってるんだったら アタシが とやかく言う筋合いは ないよ。ただ 大吾や啓吾にも言ったことだから アンタにも言っとくけど… 子ども作るのだけは 絶対 勘弁しとくれよ。アンタ 男の子なんだろ? そこは 男が責任持ちな。そういうのは 自分らで飯 食えるようになってから。いいね?」
「はい。それは 絶対 大丈夫です。お約束できます」
亜樹は ママの目を見て しっかりした声で答える。
ってゆーか アタシと亜樹で そーゆーことしても 赤ちゃんできたりは しないハズ。
キスで妊娠するワケじゃなし…。
「瞳。アンタも 自分の身は自分でちゃんと守るんだよ。いいねッ!」
「うん。わかってる」
亜樹との赤ちゃんか……。
ホントに 一生 一緒にいるんだったら そんなこと考える日がくるのかな?
……今は ぜんぜん ピンとこないけど。
「それと 万が一 そんなことになったときも 駆け落ちとか家出とか そんな考えナシなことだけは 絶対 よしとくれよ? 後生だから 高校だけは 卒業しておくれ。必ずだよッ?」
ママの目尻が潤んでるのがわかる。
兄貴がお腹にいるって判って ママ 苦労したんだろうな…。
同じような歳になってきて その気持ちは よくわかる。
今 赤ちゃんできたら バレーも進学も 全部 諦めなきゃなんない。
ゾッとするような事態だけど きっと お腹の赤ちゃん守りたいとも 思うだろうし…。
ママ ホント 大変だったんだな。
その気持ちは きちんと受け止めよう。
「うん。あたし ママの娘だから ちゃんとできる。約束する」
あたしの返事を聞いて ママは頷いてくれる。
「ああ? もう こんな時間!日曜の掻き入れ時だってのに…」
腕時計をチラッと見て そう叫ぶと ママは慌てて 厨房に戻っていく。
「瞳!さっさと支度して 店 入んな!アンタ パパにぶち殺されるよ!」
ママに急かされ あたしも勝手口に引き込まれる。
ドアから 亜樹の方を振り返り 今日のお別れ。
「亜樹。 ごめん。バイトの時間だし もう行くね。また 後で連絡する」
「うん。待ってる」
「瞳!さっさとしな!遅れた分は バイト代から キッチリ引くからね!」
「はーい!すぐ行く!」
そう言うと あたしは 勝手口の扉を閉めた……。
………。
……。
…。
to be continued in “part Aki 10/17 pm 6:18”