残酷な描写あり
R-15
第14話 昼休みの一時
ナイトクラブでの仕事を終えて二週間が経過した。
最初は仲違いするなどのトラブルがあった明嗣と鈴音だが、二週間も時間が経過したのなら、それなりに互いの扱い方も心得てくる物だ。学校生活も同じで入学初日は注目を集めた真っ白な頭髪も馴染んできたのか、すれ違う同級生は特に好奇の目を向けてくる事もなくなってきた。それは明嗣としてもありがたい事だ。別に好きこのんで真っ白な髪に生まれてきた訳じゃないので、いちいち会う度に珍しい物を見るような視線を向けられてはたまった物ではないので非常に助かる。
だが、白い髪の問題点はこれだけではなかった。
午前の授業を終えて昼休みに突入し、騒がしくなる教室の雰囲気を嫌った明嗣は、コンビニで確保した昼食のサンドイッチやカスクートなどの惣菜パンとブラックの缶コーヒーを手に廊下に出た。
向かうは、適当に散策していく内に見つけた空き教室。一人で静かに過ごせて風通しが良く、その上日光浴まで出来る、いわゆる穴場スポットだ。そこへ向かい、昼食を適当に済ませた後は昼寝するも良し、スマートフォンで電子書籍を読み漁るも良し、はたまた空を眺めているだけでも良しの穏やかな場所である。
今日は電書でラノベでも読むかな……。いや、読みかけのハードボイルドも……。
などと考えながら、鼻歌まじりに廊下を歩いていると、明嗣は不意にトントンと肩を叩かれた。だいたいの予想がついているので、面倒くさそうに背後を向くとそこにはにっこりと笑い、弁当箱の包みを抱えた澪の姿があった。
「これからお昼なんでしょ? 一緒に食べよ!」
「……もしかして暇なのか?」
「違うよ? あたし、新聞部に入ったんだよね。もちろん、写真担当で」
「で?」
「学校新聞で一年生の特集組む事になったから、明嗣くんを取材しようかと思って! ほら、明嗣くん目立つから一面を飾るのにピッタリだし!」
「帰れ」
澪の言葉をバッサリと切り捨てて、明嗣はスタスタと歩いて行く。理由はこの取材にかこつけて、この間の自分は何に命を狙われていたのか説明するかしないかの問答の続きをしよう、という澪の魂胆が透けて見えているからだ。対して、澪はめげる事なく明嗣へ食らいついていった。
「ちょ、ちょっと待って! 一面だよ!? 雑誌で言えば表紙だよ!? なんで断るの!?」
「目立つのは嫌いなんだよ。他に良さそうな奴いるだろうからそっち当たってくれ」
「まぁそんな事言わずに話だけでもさ、ね!」
明嗣の前に立ちはだかるように澪は取材を受けるように説得を試みる。このままでは離してくれないだろう、と感じた明嗣は気だるげにため息を吐き、足を止めた。
「ほら、周りをよく見てみろよ。俺よりもぴったりな奴がたくさんいると思うけどな」
明嗣は澪の背後を指差し、周りを見ろと促した。それに従い、澪は自分の背後を振り返る。見たところ、確かに取材を受けてくれそうな同学年の生徒がいるにはいる。だが、真っ白な髪というインパクト十分な特徴を持つ明嗣と比べると、見劣りしてしまうのが正直な感想だった。
「うーん……たしかに他の人でも良さそうなんだけど、明嗣くんと比べてしまうとやっぱりパンチが弱いっていうか――」
いまいちピンとこない、と言いたげな表情で澪は明嗣の方へ向き直る。だが、向き直った時には、すでに明嗣の姿は消えていた。
「え!?」
驚いて澪は周囲を見回した。そして、理解した。あぁ、これは撒かれてしまったな……と。
今から追いかけても捕まえられる気がしないので、澪はとりあえず引き下がる事にして、成果を期待しているであろう部員たちが待つ新聞部の部室へ戻ることにした。
澪を振り切る事に成功した明嗣は、やっと昼食へありつけると日当たり良好の空き教室へ向かった。すると、明嗣より先にやってきた者がいた。その先客はガラガラと引き戸を開けて入ってくる明嗣の姿を見ると親しげに手を上げて挨拶した。手元には楕円形の弁当箱が広がっている。
「あ、遅かったね。先食べてるよ」
「……」
今日は知り合いが誰もほっといてくれない日なのか、と明嗣は頬をひくつかせた。すると、親しげに手を上げた先客の鈴音はどうかしたのかと首を傾げた。
「あれ? 何かあった?」
「なんでお前がここにいるんだよ、鈴音」
「あー、その事? ふっふっふ……それではあちらの窓にご注目〜」
意味ありげな含み笑いしながら鈴音は、パチンと指を鳴らした。すると、その音を合図に開け放たれていた窓から火の粉のような赤い羽根を散らして、一羽の鳥が飛び込み鈴音の肩へと降り立った。先日のナイトクラブでの戦いの時、吸血鬼に囲まれていた明嗣を助け出した鈴音の式神、朱雀である。
「朱雀に明嗣を尾行させて先回りしたんだよね。どうせだから、ちょっと驚かせようかと思ってさ」
「普通に声かけろ」
「え〜、だって教室にはいないし、食堂とか体育館探してもいないじゃん。明嗣のクラスの人に聞いても知らないって言われたし、それで普通に声かけろって無理じゃない?」
「うぐっ……」
ぐうの音も出ない正論だった。返す言葉が見つからないので、明嗣は素直に白旗を上げて降参するしかなかった。
「で、なんの用だよ。まさか、ただ一緒に昼メシ食おうって訳じゃないんだろ?」
「え? 用なんてないよ?」
「はぁ?」
「え、この間のあれって、これから仲良くしようねの流れじゃないの?」
この間のあれ、とはナイトクラブを後にして公園でジュースを飲みながらしたやり取りの事だろう。だが、明嗣としてはビジネスライクに組む程度のやり取りであり、学校でも仲良くするだなんて一言も言った覚えがない。
「誰がそこまで言った」
明嗣は鈴音の純粋な言葉をあっさりと一蹴した。すると、鈴音はグスッっとすすり声をあげて涙ぐみ始めた。
「うぅ……やっと仲間と認めてもらえたって思ったのに……。あれはアタシの勘違いだったのかぁ……」
「それとこれとは話が別だ。あと、手の中に目薬見えてんぞ」
「あーあ、バレてたか〜」
舌を出して、鈴音は泣く直前のような涙声から元通りのトーンへ戻し、笑ってみせた。明嗣は呆れた表情で油断も隙もない、と言いたげなため息をこぼした。
「茶番はここまでだ。さっさと本題入れよ」
「はぁ……はいはい。ノリ悪いなぁ、もう……」
残念といった表情で鈴音は肩を落とした。その後、ブレザーのポケットから自分のスマートフォンを取り出して指を滑らせ、ネットニュースを明嗣に見せた。
「なんか最近、変な死に方する人がいっぱい出てるでしょ? 血を抜かれて内臓一個持っていかれているって奴」
「あー、その事か。言いたい事は分かるぜ。俺がロンドンにいた時、向こうで話題になってた『切り裂きジャック』がこっちにいるんじゃないか。そう言いてぇんだろ」
「そうなの。だから、ちょっと意見を聞いてみたいなぁ、と思って」
「ただの模倣犯だろ。殺人でしか興奮できないサイコ野郎が日本にもいた、それだけだろ」
「うん。それだけなら良いんだけど、内臓だけじゃなくて血を抜くって所が引っかかってね……。もしかしたら……」
そこまで言った所で明嗣は、鈴音の言わんとすることを理解した。彼女はこう言いたいのだ。
切り裂きジャックの影には吸血鬼がいるんじゃないのか、と。
しかし、明嗣は鈴音の疑問に対して首を横に振った。
「ありえねぇな。そもそもアイツは十九世紀の殺人鬼だ。ギネス記録だともっとも生きた人間は114歳くらいの婆さんだったはずだろ。その上、人間の最大寿命は現時点で理論上120歳。今ほど医学が発達していない十九世紀なら、とっくに寿命でくたばってるだろうよ」
「切り裂きジャックの話は五人目の娼婦を殺したのを最後にぱったり消えた、でしょ? じゃあ、なんで五人目で姿を消したのかな?」
「知るかよ。飽きたから別の趣味を始めたんじゃねぇか? それに、もし現代まで生きていたと仮定して、アイツはパスポートを持っていない。日本に来る事はおろか、海外渡航ひとつできやしねぇよ」
「そう言われたら……そうなんだけど……。でも、同じ手口っていうのがどうしてもね……」
確かに明嗣の言う事も一理あるかもしれない。だが、それでも鈴音はいまいち釈然としないと言いたげ表情をしていた。これでは埒が明かないので明嗣は、打ち切るように言葉を畳み掛ける。
「現代は科学捜査だってある。もう昔と同じ手を使って霧みてぇに消えるなんて事はできねぇよ。俺はそんな事より早く腹ごしらえを済ませたいね」
「あ、ごめん。そういえばまだだったね。ちなみに明嗣のお昼は?」
「惣菜パンと缶コーヒー」
「うわぁ……お店の時と違って質素……」
「こういう時は手軽が一番だろ?」
そう言うと、明嗣はバリッっと音を立てて、ソーセージにからしマヨネーズが塗られた惣菜パンの封を切った。器用に中身を少しだけ出すと一口かじって、缶コーヒーで流し込むと、明嗣はぼうっと外の様子を眺め始めた。一方、鈴音は先程のやり取りにまだ納得がいってないようで、考え込むように腕を組んでいた。
最初は仲違いするなどのトラブルがあった明嗣と鈴音だが、二週間も時間が経過したのなら、それなりに互いの扱い方も心得てくる物だ。学校生活も同じで入学初日は注目を集めた真っ白な頭髪も馴染んできたのか、すれ違う同級生は特に好奇の目を向けてくる事もなくなってきた。それは明嗣としてもありがたい事だ。別に好きこのんで真っ白な髪に生まれてきた訳じゃないので、いちいち会う度に珍しい物を見るような視線を向けられてはたまった物ではないので非常に助かる。
だが、白い髪の問題点はこれだけではなかった。
午前の授業を終えて昼休みに突入し、騒がしくなる教室の雰囲気を嫌った明嗣は、コンビニで確保した昼食のサンドイッチやカスクートなどの惣菜パンとブラックの缶コーヒーを手に廊下に出た。
向かうは、適当に散策していく内に見つけた空き教室。一人で静かに過ごせて風通しが良く、その上日光浴まで出来る、いわゆる穴場スポットだ。そこへ向かい、昼食を適当に済ませた後は昼寝するも良し、スマートフォンで電子書籍を読み漁るも良し、はたまた空を眺めているだけでも良しの穏やかな場所である。
今日は電書でラノベでも読むかな……。いや、読みかけのハードボイルドも……。
などと考えながら、鼻歌まじりに廊下を歩いていると、明嗣は不意にトントンと肩を叩かれた。だいたいの予想がついているので、面倒くさそうに背後を向くとそこにはにっこりと笑い、弁当箱の包みを抱えた澪の姿があった。
「これからお昼なんでしょ? 一緒に食べよ!」
「……もしかして暇なのか?」
「違うよ? あたし、新聞部に入ったんだよね。もちろん、写真担当で」
「で?」
「学校新聞で一年生の特集組む事になったから、明嗣くんを取材しようかと思って! ほら、明嗣くん目立つから一面を飾るのにピッタリだし!」
「帰れ」
澪の言葉をバッサリと切り捨てて、明嗣はスタスタと歩いて行く。理由はこの取材にかこつけて、この間の自分は何に命を狙われていたのか説明するかしないかの問答の続きをしよう、という澪の魂胆が透けて見えているからだ。対して、澪はめげる事なく明嗣へ食らいついていった。
「ちょ、ちょっと待って! 一面だよ!? 雑誌で言えば表紙だよ!? なんで断るの!?」
「目立つのは嫌いなんだよ。他に良さそうな奴いるだろうからそっち当たってくれ」
「まぁそんな事言わずに話だけでもさ、ね!」
明嗣の前に立ちはだかるように澪は取材を受けるように説得を試みる。このままでは離してくれないだろう、と感じた明嗣は気だるげにため息を吐き、足を止めた。
「ほら、周りをよく見てみろよ。俺よりもぴったりな奴がたくさんいると思うけどな」
明嗣は澪の背後を指差し、周りを見ろと促した。それに従い、澪は自分の背後を振り返る。見たところ、確かに取材を受けてくれそうな同学年の生徒がいるにはいる。だが、真っ白な髪というインパクト十分な特徴を持つ明嗣と比べると、見劣りしてしまうのが正直な感想だった。
「うーん……たしかに他の人でも良さそうなんだけど、明嗣くんと比べてしまうとやっぱりパンチが弱いっていうか――」
いまいちピンとこない、と言いたげな表情で澪は明嗣の方へ向き直る。だが、向き直った時には、すでに明嗣の姿は消えていた。
「え!?」
驚いて澪は周囲を見回した。そして、理解した。あぁ、これは撒かれてしまったな……と。
今から追いかけても捕まえられる気がしないので、澪はとりあえず引き下がる事にして、成果を期待しているであろう部員たちが待つ新聞部の部室へ戻ることにした。
澪を振り切る事に成功した明嗣は、やっと昼食へありつけると日当たり良好の空き教室へ向かった。すると、明嗣より先にやってきた者がいた。その先客はガラガラと引き戸を開けて入ってくる明嗣の姿を見ると親しげに手を上げて挨拶した。手元には楕円形の弁当箱が広がっている。
「あ、遅かったね。先食べてるよ」
「……」
今日は知り合いが誰もほっといてくれない日なのか、と明嗣は頬をひくつかせた。すると、親しげに手を上げた先客の鈴音はどうかしたのかと首を傾げた。
「あれ? 何かあった?」
「なんでお前がここにいるんだよ、鈴音」
「あー、その事? ふっふっふ……それではあちらの窓にご注目〜」
意味ありげな含み笑いしながら鈴音は、パチンと指を鳴らした。すると、その音を合図に開け放たれていた窓から火の粉のような赤い羽根を散らして、一羽の鳥が飛び込み鈴音の肩へと降り立った。先日のナイトクラブでの戦いの時、吸血鬼に囲まれていた明嗣を助け出した鈴音の式神、朱雀である。
「朱雀に明嗣を尾行させて先回りしたんだよね。どうせだから、ちょっと驚かせようかと思ってさ」
「普通に声かけろ」
「え〜、だって教室にはいないし、食堂とか体育館探してもいないじゃん。明嗣のクラスの人に聞いても知らないって言われたし、それで普通に声かけろって無理じゃない?」
「うぐっ……」
ぐうの音も出ない正論だった。返す言葉が見つからないので、明嗣は素直に白旗を上げて降参するしかなかった。
「で、なんの用だよ。まさか、ただ一緒に昼メシ食おうって訳じゃないんだろ?」
「え? 用なんてないよ?」
「はぁ?」
「え、この間のあれって、これから仲良くしようねの流れじゃないの?」
この間のあれ、とはナイトクラブを後にして公園でジュースを飲みながらしたやり取りの事だろう。だが、明嗣としてはビジネスライクに組む程度のやり取りであり、学校でも仲良くするだなんて一言も言った覚えがない。
「誰がそこまで言った」
明嗣は鈴音の純粋な言葉をあっさりと一蹴した。すると、鈴音はグスッっとすすり声をあげて涙ぐみ始めた。
「うぅ……やっと仲間と認めてもらえたって思ったのに……。あれはアタシの勘違いだったのかぁ……」
「それとこれとは話が別だ。あと、手の中に目薬見えてんぞ」
「あーあ、バレてたか〜」
舌を出して、鈴音は泣く直前のような涙声から元通りのトーンへ戻し、笑ってみせた。明嗣は呆れた表情で油断も隙もない、と言いたげなため息をこぼした。
「茶番はここまでだ。さっさと本題入れよ」
「はぁ……はいはい。ノリ悪いなぁ、もう……」
残念といった表情で鈴音は肩を落とした。その後、ブレザーのポケットから自分のスマートフォンを取り出して指を滑らせ、ネットニュースを明嗣に見せた。
「なんか最近、変な死に方する人がいっぱい出てるでしょ? 血を抜かれて内臓一個持っていかれているって奴」
「あー、その事か。言いたい事は分かるぜ。俺がロンドンにいた時、向こうで話題になってた『切り裂きジャック』がこっちにいるんじゃないか。そう言いてぇんだろ」
「そうなの。だから、ちょっと意見を聞いてみたいなぁ、と思って」
「ただの模倣犯だろ。殺人でしか興奮できないサイコ野郎が日本にもいた、それだけだろ」
「うん。それだけなら良いんだけど、内臓だけじゃなくて血を抜くって所が引っかかってね……。もしかしたら……」
そこまで言った所で明嗣は、鈴音の言わんとすることを理解した。彼女はこう言いたいのだ。
切り裂きジャックの影には吸血鬼がいるんじゃないのか、と。
しかし、明嗣は鈴音の疑問に対して首を横に振った。
「ありえねぇな。そもそもアイツは十九世紀の殺人鬼だ。ギネス記録だともっとも生きた人間は114歳くらいの婆さんだったはずだろ。その上、人間の最大寿命は現時点で理論上120歳。今ほど医学が発達していない十九世紀なら、とっくに寿命でくたばってるだろうよ」
「切り裂きジャックの話は五人目の娼婦を殺したのを最後にぱったり消えた、でしょ? じゃあ、なんで五人目で姿を消したのかな?」
「知るかよ。飽きたから別の趣味を始めたんじゃねぇか? それに、もし現代まで生きていたと仮定して、アイツはパスポートを持っていない。日本に来る事はおろか、海外渡航ひとつできやしねぇよ」
「そう言われたら……そうなんだけど……。でも、同じ手口っていうのがどうしてもね……」
確かに明嗣の言う事も一理あるかもしれない。だが、それでも鈴音はいまいち釈然としないと言いたげ表情をしていた。これでは埒が明かないので明嗣は、打ち切るように言葉を畳み掛ける。
「現代は科学捜査だってある。もう昔と同じ手を使って霧みてぇに消えるなんて事はできねぇよ。俺はそんな事より早く腹ごしらえを済ませたいね」
「あ、ごめん。そういえばまだだったね。ちなみに明嗣のお昼は?」
「惣菜パンと缶コーヒー」
「うわぁ……お店の時と違って質素……」
「こういう時は手軽が一番だろ?」
そう言うと、明嗣はバリッっと音を立てて、ソーセージにからしマヨネーズが塗られた惣菜パンの封を切った。器用に中身を少しだけ出すと一口かじって、缶コーヒーで流し込むと、明嗣はぼうっと外の様子を眺め始めた。一方、鈴音は先程のやり取りにまだ納得がいってないようで、考え込むように腕を組んでいた。