残酷な描写あり
第22話 この世界は
登場人物に名前があまりない、
とりあえず在るということが始まりで、
名乗りをあげない限りには現れない。
「わたしはトンベリだ」
こう名乗ったら彼は在るし、彼について詳しく、
話も出来るようになる
「街一番の名士だ」
となれば、彼は街に住んでる人だろうと続いていく、
神様が大きな名前を作っているわけでもなく、
人の名を記した瞬間から物語は急速に構築されていき、
やがてそのお話が終わるまでずっと一定のリズムを描く。
「すーはー」
息を吸って吐くような感覚で過ぎていく時計の針の、
音と同期して次々と物事を吐いていく。
「わたしはあの悪竜を始末してくれたら
これこうしての代金を出すと約束した
だからお前たちに、支払うことにする」
文字列が出来たところで誰にと見回すのが君と僕の仕事だ、
たぶん、後ろの方にいた彼らだろう。
彼らは、約束の代金を受け取って去っていった。
「悪竜は何故生まれるのか?」
同じことである、人が文章を書くことによって紡ぎだされる、
キャラクターと同じである。同じように息をして吐いている。
「すーはー」
ただそれを記述するだけで人は満足しない、
もっと抑揚をつけて、もっとはしゃいで、
楽しそうにしていないとつまらないと言いたげ、
「もの憂い」
文士はひたすら書きつづける物語を、
まずとある世界に住んでいた普通の中学生が突然死に見舞われる。
その死は仕組まれたものであり、死んではならないと、
異世界へ転生しそこで運命を知るものに話しかけられる。
「生きなさい」と、
生きるのだからかなりの量、派手に生きる派目になる。
自分を含め、名前を得てから、沢山の仲間を従えて歩くことになる。
文字の一番最初のところに立って歩くことになる。
それがとても退屈だとしても続けなければならない、
一度歩き出したからには終えることが許されないのが人生であって、
そうたやすくリセットボタンに手をかけるなと何度も言われる。
自分のデータには責任を持てと、もっと自分のデータを磨けと、
ステータスを上げるための行動を繰り返していく、
いい人になる為になのか徳もつみはじめる、
とりあえずこなすクエスト欄でもみてみようか?
おつかい、たたかい、あらそい、もめごと、
はからい、おしごと、ともだち、あくにん、
なんでもこいである、まずはおつかいから、
「薬草を買ってきてください
薬草を買うための準備もどうぞ」
それなりの装備を与えてくれる、
薬草を隣町まで買いにいくクエストだ。
道中、野犬などに絡まれて厄介だが、
特段の強敵もなく、とんとん拍子で歩き進む、
道の途中で喉が渇いたので水筒の水で喉をうるおし、
次にやることを考えながら堅いパンを口でやらかくする。
道は続いている、何度も足で踏み固められた道で、
巡礼道ともよばれるため、苔むした石などもいくらかある。
どんどんと進んでいけば道中、日も落ちてきたとあれば、
一泊の宿を巡礼に与えてくれる家などに休ませてもらえるか、
交渉をして、馬屋で休ませてもらうことになる。
次の日、お馬さんに別れを告げて、
またひたすら隣町まで歩く、
何故、このクエストを他の人がやらないのかと言えば、
一日掛かる時間が惜しいからだろうといえばわかりやすく、
やっとのことついた隣町で情報収集し、
「あっこの薬草売りに訊いてみな」ってな具合でなんとか、
目的の品を数揃えることが出来た。 あとは帰るだけ。
代金差し引いても充分に手に入ったものを眼にして満足、
続きは知らないが、またあっこの巡礼宿によしてもらって、
今度は土産のひとつも見せてみれば、
帰りの労いで帰ってきた主に夜食を誘われる。
お誘い断らず、喉をうるおし、温かいスープをいただけば、
この世界、悪くもないなと実感して通り過ぎることも可能だ。
次の日になったが、なんとか薬草を依頼主に届けることが出来た。
薬草はなんでも若い娘に使うらしいが、そこまでは訊かないお約束、
そこそこの額面を手に入れたからこれを元手に宿でも借りる。
さてこの街に居つく準備が取れた、すこし難しいクエストにうつろうか。
おつかい、たたかい、あらそい、もめごと、
はからい、おしごと、ともだち、あくにん、
たたかいには武器が必要だ、とりあえず軽い剣を見繕ってもらって、
扱い方試して素振りと、木偶の坊に斬り込んでみる。
間合いは充分かと思えれば、剣の腕のある御仁は一撃で、
木偶を真っ二つにしてしまうというから手が出ない。
で、たたかいのクエストはとりあえず、
現れた小鬼をとっちめてしまえばいいという話で、
古くなった家にたびたび現れては荒らすやな野郎だということで、
待ち伏せして、現れるのを待つ、
「けっけっけ」 出てきたな、
「野郎!逃さねえぞ!」
「うけっ!?」
一撃は浅い傷を与えたが、無事では済まねえだろう
「きいいいいいい!!」反撃か!? くらえ!!
「ぎぃや!」
確かな一撃が相手の喉元に入って御陀仏、
墓のひとつでも建てようかの前に、
依頼人にその遺骸を見せる。
「ご苦労、だったな」
「ああ、ありがとう」
謝礼品とあとは、
「使わねえものがあったらなんか見せてくれ」
冬物に夏服一式頂いて、ついでに縄なんかも、
「ありがとうな」
たったこれだけのクエストをこなすだけで、
普通に一週間は掛かっちまう、
随分と時間を掛けたもんだと人は言うが、
大家に家賃を支払うのも週一なら、
とりあえず今のところは、知った顏になれそうだってところ、
お次のクエストは次週ってところかな、
さてどれにしようか、
おつかい、たたかい、あらそい、もめごと、
はからい、おしごと、ともだち、あくにん、
とりあえず在るということが始まりで、
名乗りをあげない限りには現れない。
「わたしはトンベリだ」
こう名乗ったら彼は在るし、彼について詳しく、
話も出来るようになる
「街一番の名士だ」
となれば、彼は街に住んでる人だろうと続いていく、
神様が大きな名前を作っているわけでもなく、
人の名を記した瞬間から物語は急速に構築されていき、
やがてそのお話が終わるまでずっと一定のリズムを描く。
「すーはー」
息を吸って吐くような感覚で過ぎていく時計の針の、
音と同期して次々と物事を吐いていく。
「わたしはあの悪竜を始末してくれたら
これこうしての代金を出すと約束した
だからお前たちに、支払うことにする」
文字列が出来たところで誰にと見回すのが君と僕の仕事だ、
たぶん、後ろの方にいた彼らだろう。
彼らは、約束の代金を受け取って去っていった。
「悪竜は何故生まれるのか?」
同じことである、人が文章を書くことによって紡ぎだされる、
キャラクターと同じである。同じように息をして吐いている。
「すーはー」
ただそれを記述するだけで人は満足しない、
もっと抑揚をつけて、もっとはしゃいで、
楽しそうにしていないとつまらないと言いたげ、
「もの憂い」
文士はひたすら書きつづける物語を、
まずとある世界に住んでいた普通の中学生が突然死に見舞われる。
その死は仕組まれたものであり、死んではならないと、
異世界へ転生しそこで運命を知るものに話しかけられる。
「生きなさい」と、
生きるのだからかなりの量、派手に生きる派目になる。
自分を含め、名前を得てから、沢山の仲間を従えて歩くことになる。
文字の一番最初のところに立って歩くことになる。
それがとても退屈だとしても続けなければならない、
一度歩き出したからには終えることが許されないのが人生であって、
そうたやすくリセットボタンに手をかけるなと何度も言われる。
自分のデータには責任を持てと、もっと自分のデータを磨けと、
ステータスを上げるための行動を繰り返していく、
いい人になる為になのか徳もつみはじめる、
とりあえずこなすクエスト欄でもみてみようか?
おつかい、たたかい、あらそい、もめごと、
はからい、おしごと、ともだち、あくにん、
なんでもこいである、まずはおつかいから、
「薬草を買ってきてください
薬草を買うための準備もどうぞ」
それなりの装備を与えてくれる、
薬草を隣町まで買いにいくクエストだ。
道中、野犬などに絡まれて厄介だが、
特段の強敵もなく、とんとん拍子で歩き進む、
道の途中で喉が渇いたので水筒の水で喉をうるおし、
次にやることを考えながら堅いパンを口でやらかくする。
道は続いている、何度も足で踏み固められた道で、
巡礼道ともよばれるため、苔むした石などもいくらかある。
どんどんと進んでいけば道中、日も落ちてきたとあれば、
一泊の宿を巡礼に与えてくれる家などに休ませてもらえるか、
交渉をして、馬屋で休ませてもらうことになる。
次の日、お馬さんに別れを告げて、
またひたすら隣町まで歩く、
何故、このクエストを他の人がやらないのかと言えば、
一日掛かる時間が惜しいからだろうといえばわかりやすく、
やっとのことついた隣町で情報収集し、
「あっこの薬草売りに訊いてみな」ってな具合でなんとか、
目的の品を数揃えることが出来た。 あとは帰るだけ。
代金差し引いても充分に手に入ったものを眼にして満足、
続きは知らないが、またあっこの巡礼宿によしてもらって、
今度は土産のひとつも見せてみれば、
帰りの労いで帰ってきた主に夜食を誘われる。
お誘い断らず、喉をうるおし、温かいスープをいただけば、
この世界、悪くもないなと実感して通り過ぎることも可能だ。
次の日になったが、なんとか薬草を依頼主に届けることが出来た。
薬草はなんでも若い娘に使うらしいが、そこまでは訊かないお約束、
そこそこの額面を手に入れたからこれを元手に宿でも借りる。
さてこの街に居つく準備が取れた、すこし難しいクエストにうつろうか。
おつかい、たたかい、あらそい、もめごと、
はからい、おしごと、ともだち、あくにん、
たたかいには武器が必要だ、とりあえず軽い剣を見繕ってもらって、
扱い方試して素振りと、木偶の坊に斬り込んでみる。
間合いは充分かと思えれば、剣の腕のある御仁は一撃で、
木偶を真っ二つにしてしまうというから手が出ない。
で、たたかいのクエストはとりあえず、
現れた小鬼をとっちめてしまえばいいという話で、
古くなった家にたびたび現れては荒らすやな野郎だということで、
待ち伏せして、現れるのを待つ、
「けっけっけ」 出てきたな、
「野郎!逃さねえぞ!」
「うけっ!?」
一撃は浅い傷を与えたが、無事では済まねえだろう
「きいいいいいい!!」反撃か!? くらえ!!
「ぎぃや!」
確かな一撃が相手の喉元に入って御陀仏、
墓のひとつでも建てようかの前に、
依頼人にその遺骸を見せる。
「ご苦労、だったな」
「ああ、ありがとう」
謝礼品とあとは、
「使わねえものがあったらなんか見せてくれ」
冬物に夏服一式頂いて、ついでに縄なんかも、
「ありがとうな」
たったこれだけのクエストをこなすだけで、
普通に一週間は掛かっちまう、
随分と時間を掛けたもんだと人は言うが、
大家に家賃を支払うのも週一なら、
とりあえず今のところは、知った顏になれそうだってところ、
お次のクエストは次週ってところかな、
さてどれにしようか、
おつかい、たたかい、あらそい、もめごと、
はからい、おしごと、ともだち、あくにん、