異世界転生なのか転移なのか、それが問題だ
以前異世界×野球な物語書いたけどぶっちゃけ異世界のことあまりお勉強してない
ってことで、今回はちょっとお勉強しながらやりたい
ってことで、今回はちょっとお勉強しながらやりたい
おいしいものたべたい。
みんなとたくさんあそびたい。
おやつたーべて、おにごっこして、それでそれで、そうだなー……またみんなとあそびたい!
でも、あれ?
なんでみんなあっちに行っちゃうの?
まって、待ってよ。ねえちょっと!
まだ終わるには早すぎない? だってまだ時間たっぷりあるじゃん! いや、お勉強の時間だってわかるけどせめてもうちょっとキャッチボールとかさ! なんかあるじゃん!! ねえってば、だってまだはじまったばっかり――
「…………………………んぁ?」
まぶしい。ああ、なんだそうか。
「ゆめか」
じゃあお勉強しなくていーんだ……じゃなくて。
「んーとりあえず背伸び」
一日中寝てたくらいに背中がメキメキいった。もしかして新記録? 背中メキメキぐらんぷり世界一みたいな?
「はぁ~……で、ここどこ?」
お部屋の中だとおもったらなんか外なんだけど。
「そとっていうか、公園? でも柵ないしブランコもすべり台もないしずぅ~っと同じ景色だし」
でもまあ見晴らしがいいっていいことだね、うん。いやまあ見えすぎだけどそんなのはどうでもいいか。
「あっちこっちかゆ、くないけど、地面に寝てたせいで砂がうるさいなぁブルブル」
って、そんなことしなくてもいいか。とりあえず立ちましょう。
「ぉぅわっ」
こけた。
ねすぎた。
おねぼけばんざい。とか言ってそのまま倒れたらあたまぶつけちゃうから。
「っぶねー」
さすがに顔面ブッチするのはイヤなので華麗な受け身をとりました。その結果ケモノのようなヨツンヴァインになってしまったのは御愛嬌。まあでも周りに見てる人いないからセーフ。
「っはは、人間なんだから二本足で立ちましょうねっと」
気を取り直して立ち上がり――ただ立つだけなのになんでこんな違和感あるん? まあいいや、とりあえず立って、さて、いよいよ本題だ。
「ここはどーこだ?」
わかりません。はじめて見た場所です。
見渡す限りの草原だ。いっぱい走り回れてキモチーかもしんないけど人の気配どころか人がつくったモノまでなーんもなしじゃあ手がかりすら掴めない。
和風にも見えるし西洋風にも見える。っていうかこんな場所に和風西洋なんて分別があるわけなく、でもここが『じぶんの場所』だということだけはハッキリしてる。だってこ呼吸できるし。
「なるほど、これが最近はやりだという異世界転移というヤツか」
わたしはクンクンクンと鼻を鳴らして言った。
トラックに轢かれる以外にもあるんだなーなんて。いやでもわたしどうやって異世界に来た? 飛ばされるまでのキッカケというかそこんトコロの記憶がないのですが。っていうか、アレ?
「帰るとこ……どこ?」
えっと、あれ?
「わたし、家族のもとに帰らないと……でも、家族ってだれ?」
思い出したい、思い出さなきゃいけない。そんな気がするのに記憶を辿ろうとするとヘンなモヤがかかって霞んでいってしまう。
「ちょっとまってよ。トレンドだと元の世界に戻るつもりない系のが人気なのは知ってるけどわたしは帰りたい――と思うよ? だってホラ、なんかこう、ゼッタイおうちに帰りたいんだって気持ちあるし」
そしたらおいしいごはんとか食べられるし。いや、これじゃまるでわたしが食欲の権化のように見えるちょっとまってキャンセル。えーっとたくさんお勉強もしたいなーなんて、そういや進路がどうとか言ってたなーなんて、へへ。
「とりあえず歩くか。なんか見つかるかもしんないし……ってことで、わたしは新天地を目指して旅に出たのである」
とりあえず人に会いたい。んでおいしいものたべたい。ってことでわたしはアテもなく歩き始めた。
はじめはスタスタ、そのうちトボトボ、最終的にはヨチヨチになった。
「いやーこんな長旅期待してないんですけどー?」
異世界転移ってアレじゃん? その、序盤にお助けキャラみたいなのが現れて王国へ連れられてなんか知らんけど王様に会って王子様と婚約させられてすぐ破棄されて城下町に捨てられてそこから始まるストーリー! みたいな感じじゃないの?
いつも読み聞かされてたから、てっきりそういうモノだと思ってたんだけど?
いつまでたっても白馬の王子様どころかゲヘヘと笑うオークやゴブリンさえもいないのですが? え、なに、わたしもしかして追放済みの悪役令嬢かなにかなの?
「はぁ……みず」
とりあえずHP回復したい、なんて考えてる時に都合よく水場があるんだわ。
「はーよかったぁ死ぬトコだった。ンく、ン――ん?」
ここに川がある。フツーに飲んじゃったけどなんか飲めるっぽい。こういう時の流れは近くに民家とか水車小屋的ななにかがあるのでは?
「っと思ったらホントにはっけーんマジか。んじゃさっそく」
人はいないけど人工物がある。つまりそのうち人がくるってこと。見たところいかにも中世ヨーロッパ風な小屋って感じがする。え? なんで中世ヨーロッパの知識もないのにそんなのわかるんだって?
「そんなのカンよ。女のカンは当たるんだから」
「何が女のカンだって?」
「わひゃあ!!」
わたしは背後からの声に思わず飛び退いた。おのれ不意打ちとは卑怯な!
「ああ悪い、驚かせたか……にしても女にしちゃすっげーフットワークだな」
(あん?)
おめーいま女ぁディスったな? って言うのは今後の関係にヒビが入りそうなので言わんでおこう。わたしは気を取り直してヒゲ面のオジサンに声をかけた。
「あ、あの、あなたは?」
「それはこっちのセリフだ。狩りから帰ってきたと思いきや、だれもいない水車小屋に女がいるとは」
「ッ!」
男の背中には猟銃があった。そしてその左手は仕留めたらしい鳥の足を握りしめている。このオジサン、30代後半くらいに見えるけどヒゲを沿ったらもうちょい若そうな気がする。っていうかその格好どういうことよ?
「ワラのぼうし……」
よく知らないけどアレだよね? あの、俗に言うマタギって人たちがする衣装。
(え、ここ中世ヨーロッパ風の世界じゃないの? だっていかにもヨーロッパ風な水車小屋だったしいやカンでそう思っただけだけど。いやでもこのオッサン金髪だし鼻高いしどーみてもヨーロッパ顔だよね? ってかそもそもヨーロッパ顔ってなによ?)
「おい、ちょっと?」
「あ、はい」
オッサンからの空想キャンセルを食らった。
「街のもんか? 見慣れない服だな」
「いや、ちょっと道に迷って、えーっと冒険者です。はい! わたし冒険者ですとおい国からやってきました!」
「冒険者? とてもそんな風には見えないが……それよりお前さんヒドいあり様だな」
「あ、わかります? いやーここに来るまでにタイヘンだったんスよぉ~」
どうやらゲヘヘ顔で襲いかかってくるゴブリン系男子ではなかったようだ。安心感が高まってくるとこんどは好奇心のほうがうずうずしてくる。そう、わたしは根っからの人間好きなのだ!
「ねえオジサン! ここってドコなの? 街までどのくらいで着けるかな? おいしいゴハンある?」
「お、おおゲンキな子だな……って、冒険者が国の名前すら知らんのか」
「えへへ」
「えへへじゃなくてだな。まあいい、ここはアインマラハだ」
「あいんまらは」
やばい、すごいヨーロッパ臭がする。んにゃちょっぴり中東風味かな?
「城下町の名前はフラーってんだがここからじゃ遠い。歩きなら少なくとも数日かけなきゃたどり着けん。行きたいんだろ? そこに」
「うん行きたい!」
「ゲンキだなぁ。ただなあ、これから近場の村まで行くっつっても遅いし、オジサンが怖くなきゃ今日はここに泊まってくか?」
「ホント!」
やった、このオジサンはいいオジサンだ――あ、でもちょっとまって。
(男性と女性がひとつ屋根のしたってアブナイんだよね? んーでもこのオジサンべつに悪い人じゃなさそうだし、でもえーっと)
「あはは。うん、まあ信じらんねぇよな。ムリにとは言わんが、出てくならせめて食料と護身用のナイフでも持ってってくれ」
「え……いいの?」
「いや逆だろフツー」
わりとガチなトーンで言われた。
「なんで女ひとり旅で着の身着のままなんだよ。見てるこっちのほうが心配するだろ」
「あ、それもそうか……えへへ」
「そんなんで冒険者してるのかよ」
ぶつくさ言いつつも親切にしてくれる。そうやって、オジサンは小袋に食料を詰め込んでくれた。
「おじさんほんっといい人だね!」
「わからんぞ?」
「わかるよ! だってものすごくやさしーんだもん。ねえねえオジサン名前はなーに? わたしはグレースっていうの! ――あれ」
わたし日本人じゃなかったっけ?
みんなとたくさんあそびたい。
おやつたーべて、おにごっこして、それでそれで、そうだなー……またみんなとあそびたい!
でも、あれ?
なんでみんなあっちに行っちゃうの?
まって、待ってよ。ねえちょっと!
まだ終わるには早すぎない? だってまだ時間たっぷりあるじゃん! いや、お勉強の時間だってわかるけどせめてもうちょっとキャッチボールとかさ! なんかあるじゃん!! ねえってば、だってまだはじまったばっかり――
「…………………………んぁ?」
まぶしい。ああ、なんだそうか。
「ゆめか」
じゃあお勉強しなくていーんだ……じゃなくて。
「んーとりあえず背伸び」
一日中寝てたくらいに背中がメキメキいった。もしかして新記録? 背中メキメキぐらんぷり世界一みたいな?
「はぁ~……で、ここどこ?」
お部屋の中だとおもったらなんか外なんだけど。
「そとっていうか、公園? でも柵ないしブランコもすべり台もないしずぅ~っと同じ景色だし」
でもまあ見晴らしがいいっていいことだね、うん。いやまあ見えすぎだけどそんなのはどうでもいいか。
「あっちこっちかゆ、くないけど、地面に寝てたせいで砂がうるさいなぁブルブル」
って、そんなことしなくてもいいか。とりあえず立ちましょう。
「ぉぅわっ」
こけた。
ねすぎた。
おねぼけばんざい。とか言ってそのまま倒れたらあたまぶつけちゃうから。
「っぶねー」
さすがに顔面ブッチするのはイヤなので華麗な受け身をとりました。その結果ケモノのようなヨツンヴァインになってしまったのは御愛嬌。まあでも周りに見てる人いないからセーフ。
「っはは、人間なんだから二本足で立ちましょうねっと」
気を取り直して立ち上がり――ただ立つだけなのになんでこんな違和感あるん? まあいいや、とりあえず立って、さて、いよいよ本題だ。
「ここはどーこだ?」
わかりません。はじめて見た場所です。
見渡す限りの草原だ。いっぱい走り回れてキモチーかもしんないけど人の気配どころか人がつくったモノまでなーんもなしじゃあ手がかりすら掴めない。
和風にも見えるし西洋風にも見える。っていうかこんな場所に和風西洋なんて分別があるわけなく、でもここが『じぶんの場所』だということだけはハッキリしてる。だってこ呼吸できるし。
「なるほど、これが最近はやりだという異世界転移というヤツか」
わたしはクンクンクンと鼻を鳴らして言った。
トラックに轢かれる以外にもあるんだなーなんて。いやでもわたしどうやって異世界に来た? 飛ばされるまでのキッカケというかそこんトコロの記憶がないのですが。っていうか、アレ?
「帰るとこ……どこ?」
えっと、あれ?
「わたし、家族のもとに帰らないと……でも、家族ってだれ?」
思い出したい、思い出さなきゃいけない。そんな気がするのに記憶を辿ろうとするとヘンなモヤがかかって霞んでいってしまう。
「ちょっとまってよ。トレンドだと元の世界に戻るつもりない系のが人気なのは知ってるけどわたしは帰りたい――と思うよ? だってホラ、なんかこう、ゼッタイおうちに帰りたいんだって気持ちあるし」
そしたらおいしいごはんとか食べられるし。いや、これじゃまるでわたしが食欲の権化のように見えるちょっとまってキャンセル。えーっとたくさんお勉強もしたいなーなんて、そういや進路がどうとか言ってたなーなんて、へへ。
「とりあえず歩くか。なんか見つかるかもしんないし……ってことで、わたしは新天地を目指して旅に出たのである」
とりあえず人に会いたい。んでおいしいものたべたい。ってことでわたしはアテもなく歩き始めた。
はじめはスタスタ、そのうちトボトボ、最終的にはヨチヨチになった。
「いやーこんな長旅期待してないんですけどー?」
異世界転移ってアレじゃん? その、序盤にお助けキャラみたいなのが現れて王国へ連れられてなんか知らんけど王様に会って王子様と婚約させられてすぐ破棄されて城下町に捨てられてそこから始まるストーリー! みたいな感じじゃないの?
いつも読み聞かされてたから、てっきりそういうモノだと思ってたんだけど?
いつまでたっても白馬の王子様どころかゲヘヘと笑うオークやゴブリンさえもいないのですが? え、なに、わたしもしかして追放済みの悪役令嬢かなにかなの?
「はぁ……みず」
とりあえずHP回復したい、なんて考えてる時に都合よく水場があるんだわ。
「はーよかったぁ死ぬトコだった。ンく、ン――ん?」
ここに川がある。フツーに飲んじゃったけどなんか飲めるっぽい。こういう時の流れは近くに民家とか水車小屋的ななにかがあるのでは?
「っと思ったらホントにはっけーんマジか。んじゃさっそく」
人はいないけど人工物がある。つまりそのうち人がくるってこと。見たところいかにも中世ヨーロッパ風な小屋って感じがする。え? なんで中世ヨーロッパの知識もないのにそんなのわかるんだって?
「そんなのカンよ。女のカンは当たるんだから」
「何が女のカンだって?」
「わひゃあ!!」
わたしは背後からの声に思わず飛び退いた。おのれ不意打ちとは卑怯な!
「ああ悪い、驚かせたか……にしても女にしちゃすっげーフットワークだな」
(あん?)
おめーいま女ぁディスったな? って言うのは今後の関係にヒビが入りそうなので言わんでおこう。わたしは気を取り直してヒゲ面のオジサンに声をかけた。
「あ、あの、あなたは?」
「それはこっちのセリフだ。狩りから帰ってきたと思いきや、だれもいない水車小屋に女がいるとは」
「ッ!」
男の背中には猟銃があった。そしてその左手は仕留めたらしい鳥の足を握りしめている。このオジサン、30代後半くらいに見えるけどヒゲを沿ったらもうちょい若そうな気がする。っていうかその格好どういうことよ?
「ワラのぼうし……」
よく知らないけどアレだよね? あの、俗に言うマタギって人たちがする衣装。
(え、ここ中世ヨーロッパ風の世界じゃないの? だっていかにもヨーロッパ風な水車小屋だったしいやカンでそう思っただけだけど。いやでもこのオッサン金髪だし鼻高いしどーみてもヨーロッパ顔だよね? ってかそもそもヨーロッパ顔ってなによ?)
「おい、ちょっと?」
「あ、はい」
オッサンからの空想キャンセルを食らった。
「街のもんか? 見慣れない服だな」
「いや、ちょっと道に迷って、えーっと冒険者です。はい! わたし冒険者ですとおい国からやってきました!」
「冒険者? とてもそんな風には見えないが……それよりお前さんヒドいあり様だな」
「あ、わかります? いやーここに来るまでにタイヘンだったんスよぉ~」
どうやらゲヘヘ顔で襲いかかってくるゴブリン系男子ではなかったようだ。安心感が高まってくるとこんどは好奇心のほうがうずうずしてくる。そう、わたしは根っからの人間好きなのだ!
「ねえオジサン! ここってドコなの? 街までどのくらいで着けるかな? おいしいゴハンある?」
「お、おおゲンキな子だな……って、冒険者が国の名前すら知らんのか」
「えへへ」
「えへへじゃなくてだな。まあいい、ここはアインマラハだ」
「あいんまらは」
やばい、すごいヨーロッパ臭がする。んにゃちょっぴり中東風味かな?
「城下町の名前はフラーってんだがここからじゃ遠い。歩きなら少なくとも数日かけなきゃたどり着けん。行きたいんだろ? そこに」
「うん行きたい!」
「ゲンキだなぁ。ただなあ、これから近場の村まで行くっつっても遅いし、オジサンが怖くなきゃ今日はここに泊まってくか?」
「ホント!」
やった、このオジサンはいいオジサンだ――あ、でもちょっとまって。
(男性と女性がひとつ屋根のしたってアブナイんだよね? んーでもこのオジサンべつに悪い人じゃなさそうだし、でもえーっと)
「あはは。うん、まあ信じらんねぇよな。ムリにとは言わんが、出てくならせめて食料と護身用のナイフでも持ってってくれ」
「え……いいの?」
「いや逆だろフツー」
わりとガチなトーンで言われた。
「なんで女ひとり旅で着の身着のままなんだよ。見てるこっちのほうが心配するだろ」
「あ、それもそうか……えへへ」
「そんなんで冒険者してるのかよ」
ぶつくさ言いつつも親切にしてくれる。そうやって、オジサンは小袋に食料を詰め込んでくれた。
「おじさんほんっといい人だね!」
「わからんぞ?」
「わかるよ! だってものすごくやさしーんだもん。ねえねえオジサン名前はなーに? わたしはグレースっていうの! ――あれ」
わたし日本人じゃなかったっけ?